カレイなる日々

隠井迅

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一巡目(二〇二二)

第119匙 アキバ・カムイ伝:スープカレー カムイ(C22)

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 『神田カレー街食べ歩きスタンプラリー2022』も、ラスト・スパートだ。
 最後の最後として残しておいた、来週の初めに巡る予定の、三つのレジェンド・カレー店を除くと、この日の昼に訪問する料理店こそが、最後のジャパニーズ・レストランという事になる。
 それが、秋葉原のエッジに位置する、すなわち、電気街にしてヲタクタウンである〈アキハバラ〉の喧騒を逃れた岩本町の、靖国通りに面している「スープカレー カムイ」なのである。

 この「スープカレー カムイ」は、『食べログ』の店紹介ページによると、二〇一一年一月十七日開店、さらに、件のカレー・ガイドブックによると、「秋葉原最古」の、いわば、アキバにおけるレジェンド的なスープカレー専門店であるらしい。

 さて、スープカレーの本場は北海道で、スープカレーの起源は、札幌の喫茶店「アジャンダ」が、一九七一年に提供した「薬膳カリィ」であるそうだ。
 その後、カレー専門店の「マジックスパイス」において、薬膳カリィを、インドネシアのスープ料理であるソトアヤム風にアレンジしたメニューを、「スープカレー」という名称で提供したのが、「スープカレー」という名称の始まり、だという。
 とまれかくまれ、二十世紀末には、〈スープカレー〉という呼び名は未だ定着していなかったそうなのだが、実情としては、スープ状のカレーを提供する専門店が北海道に次々に出現していったらしい。
 その後、二十一世紀に入ると、〈スープカレー〉が北海道でブームとなり、札幌市内では二百を超える店が「スープカレー」を提供するようになっていた、という。
 つまるところ、スープ〈状の〉カレーは、「アジャンダ」の「薬膳カリィ」の時代から数えて今や既に、半世紀の歴史を誇る、北海道の代表料理となっている次第なのだ。
 ちなみに、書き手が初めてスープカレーを食べたのが、二〇一四年、札幌でであった。

 さて、千代田区の秋葉原に、この北海道のソウル・フードであるスープカレーの専門店が誕生したのが二〇一〇年代初め、それが、この「スープカレーカムイ」で、その後、東京都内においても、続々と、スープカレー屋が開店していったのは周知の如くである。このように東京で先陣を切った、という意味においても、「スープカレーカムイ」は、レジェンド・スープカレー店なのである。

 そして、この「カムイ」さん、秋葉原において、レジェンド的なのは、秋葉原で最古のスープカレー屋という点だけではない。

 そして、店名にもなっている店主の「ムッシュー・カムイ」さんもまた、レジェンド級の人物なのだ。

 カレーガイドブックや、店長のツイッターの「プロフィール」を要約してみると、まず、カムイさんは、北海道出身で、「薬膳コーディネーター」という肩書を持っている。
 スープカレーが、札幌の「アジャンダ」の「薬膳カリィ」を源とする事を思い出せば、これは、基本に忠実な姿勢であるように思われる。
 さらに、だ。
 〈薬膳〉関連の有資格者にして、スープカレー店を運営しているだけではなく、ムシュー・カムイは、「劇団カムイ座」という劇団を主宰しているだけではなく、ミステリ作家でもあるらしい。さらに、アキバらしく、ヲタク・イヴェントの企画者でもあるそうだ。

 店長の、こうした数多の属性が、カレー好きにして、物書きに携わり、さらにヲタクでもある〈書き手〉の興味関心を大いに惹きつけたのであった。

 本当に、スーパーで、レジェンド級のカムイ店長である。

〈訪問データ〉
 スープカレー カムイ;秋葉原・岩本町
 C22
 十二月九日・金・十一時半
 ポークカレー;九九〇円(現金)

〈参考資料〉
 「スープカレーカムイ」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、四十九ページ。 
〈WEB〉  
 『スープカレー カムイ』、二〇二三年七月二十九日閲覧。   
 「【北海道】【スープカレー】とは?発祥・由来を解説」、『にっぽんの郷土料理観光事典』、二〇二三年七月二十九日閲覧。
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