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一巡目(二〇二二)
第118匙 お腹が膨れるその前に:SAINO(C21)
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南インド料理店「シリバラジ」を出た書き手が向かったのは、アジアン・レストラン「サイノ」であった。
「シリバラジ」を出たのが十五時の閉店前で、「サイノ」に着いたのが十五時前なので、まさにものの数分の移動距離である。
この「サイノ」さん、書き手にとっては、ありがたい点が二つある。
まず第一に、平日が、十一時から二十時までの通し営業なのだ。
つまり、十五時から十七時のような、ランチとディナーの二部制でやっている店が休憩に入っているこの時間帯、書き手のように、スタンプラリー目的で、昼から夕方にかけてカレーを連荘する者にとっては、この夕方前のゾーンに営業している店は、実にありがたいのだ。
そして第二は、この店もまた、実にお安いのである。
店の前に置かれたイーゼルには、お持ち帰り用のメニューが掲示されていたのだが、そこに書かれていた「2種のカレー」が八五〇円という安さであった。
コスパが良すぎる。
先に行った「シリバラジ」もそうだったのだが、「サイノ」もまた、学生街に位置しているが故の、こうした価格設定なのだろう。
そもそもの話、学生一般が、ランチに千円以上使うとは考え難いし、薄利多売の戦略なのだろう。
とまれかくまれ、テイクアウトがこのような廉価なので、イートインも然して高くはないだろう、と思いながら、書き手は店に足を踏み入れたのであった。
着座し、メニューを見てみたところ、「ランチメニューセット」が八八〇円、そして学生は、学生証提示をすれば、さらに、ここから二〇パーセント引き、つまり、「ランチメニューセット」は学生には七〇四円という、驚きの安さとなる。
しかもさらに、ランチタイムは、ナンもライスもお代わり自由というオマケ付きで、腹ペコ学生には、この上ないありがたさであるに違いない。
しかし、である。
腹ペコ学生や大食い社会人にとっては、お代わり自由はアドヴァンテージでも、十五分前に、別の店でカレーを一皿食べたばかりの書き手には、残念ながら、この日この時は、さすがに、「サイノ」さんのサービスを享受できるだけのお腹の余裕はなさそうであった。
無限お代わりは、別の機会になろう。
さて、書き手は、この最安の「ランチメニューセット」を注文する事にし、カレーは、日替わり(半熟たまごキーマ)、野菜、ほうれん草チキン、チキン、キーマ、シーフード、マトン、バターチキン、そしてグリーンの中から、「キーマカレー」を、主食は、さきほどのシリバラジでは〈ライス〉だったので、サイノでは「ナン」を、そしてセットのドリンクは、ラッシー、マンゴーラッシー、コーヒー(アイス)、チャイ、ウーロン茶の中から、「マンゴーラッシー」を選んだ。
ちなみに、店内のメニューによると、「サイノ」の「キーマカレー」は「ひと味違うももひき肉のカレー」であるそうだ。
注文品を待ちながら、書き手は、こんな事を考えていた。
十五分さえ置かずして、カレー店をハシゴするなんて、少しやり過ぎなようにも思えるが、「サイノ」での食事を、「シリバラジ」のお代わりとみなせば、然して変な事でもないであろう。
店と店との距離も近いし、食間も短い。
往々にして、食べてから時間を置くと、身体は満腹感を覚えるものだから、スープが覚めない距離に在る店ならば、身体が満腹と判断する前に、お代わりとしての、もう一皿のカレーを平らげる事も可能となろう。
ちょっと待てよ。
スープが覚めない、というかむしろ、お腹が満腹を覚えない距離に、お代わりするが如く、カレーを連荘する、という戦術って、スタンプラリーには有効かもしれない。
と、残り十店を切った今、今更、思い付いた書き手であった。
〈訪問データ〉
SAINO;神保町・水道橋
C21
十二月八日・木・十三時
ランチメニューセット(キーマカレー);八八〇円(現金)
〈参考資料〉
「SAINO」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、三〇ページ。
「シリバラジ」を出たのが十五時の閉店前で、「サイノ」に着いたのが十五時前なので、まさにものの数分の移動距離である。
この「サイノ」さん、書き手にとっては、ありがたい点が二つある。
まず第一に、平日が、十一時から二十時までの通し営業なのだ。
つまり、十五時から十七時のような、ランチとディナーの二部制でやっている店が休憩に入っているこの時間帯、書き手のように、スタンプラリー目的で、昼から夕方にかけてカレーを連荘する者にとっては、この夕方前のゾーンに営業している店は、実にありがたいのだ。
そして第二は、この店もまた、実にお安いのである。
店の前に置かれたイーゼルには、お持ち帰り用のメニューが掲示されていたのだが、そこに書かれていた「2種のカレー」が八五〇円という安さであった。
コスパが良すぎる。
先に行った「シリバラジ」もそうだったのだが、「サイノ」もまた、学生街に位置しているが故の、こうした価格設定なのだろう。
そもそもの話、学生一般が、ランチに千円以上使うとは考え難いし、薄利多売の戦略なのだろう。
とまれかくまれ、テイクアウトがこのような廉価なので、イートインも然して高くはないだろう、と思いながら、書き手は店に足を踏み入れたのであった。
着座し、メニューを見てみたところ、「ランチメニューセット」が八八〇円、そして学生は、学生証提示をすれば、さらに、ここから二〇パーセント引き、つまり、「ランチメニューセット」は学生には七〇四円という、驚きの安さとなる。
しかもさらに、ランチタイムは、ナンもライスもお代わり自由というオマケ付きで、腹ペコ学生には、この上ないありがたさであるに違いない。
しかし、である。
腹ペコ学生や大食い社会人にとっては、お代わり自由はアドヴァンテージでも、十五分前に、別の店でカレーを一皿食べたばかりの書き手には、残念ながら、この日この時は、さすがに、「サイノ」さんのサービスを享受できるだけのお腹の余裕はなさそうであった。
無限お代わりは、別の機会になろう。
さて、書き手は、この最安の「ランチメニューセット」を注文する事にし、カレーは、日替わり(半熟たまごキーマ)、野菜、ほうれん草チキン、チキン、キーマ、シーフード、マトン、バターチキン、そしてグリーンの中から、「キーマカレー」を、主食は、さきほどのシリバラジでは〈ライス〉だったので、サイノでは「ナン」を、そしてセットのドリンクは、ラッシー、マンゴーラッシー、コーヒー(アイス)、チャイ、ウーロン茶の中から、「マンゴーラッシー」を選んだ。
ちなみに、店内のメニューによると、「サイノ」の「キーマカレー」は「ひと味違うももひき肉のカレー」であるそうだ。
注文品を待ちながら、書き手は、こんな事を考えていた。
十五分さえ置かずして、カレー店をハシゴするなんて、少しやり過ぎなようにも思えるが、「サイノ」での食事を、「シリバラジ」のお代わりとみなせば、然して変な事でもないであろう。
店と店との距離も近いし、食間も短い。
往々にして、食べてから時間を置くと、身体は満腹感を覚えるものだから、スープが覚めない距離に在る店ならば、身体が満腹と判断する前に、お代わりとしての、もう一皿のカレーを平らげる事も可能となろう。
ちょっと待てよ。
スープが覚めない、というかむしろ、お腹が満腹を覚えない距離に、お代わりするが如く、カレーを連荘する、という戦術って、スタンプラリーには有効かもしれない。
と、残り十店を切った今、今更、思い付いた書き手であった。
〈訪問データ〉
SAINO;神保町・水道橋
C21
十二月八日・木・十三時
ランチメニューセット(キーマカレー);八八〇円(現金)
〈参考資料〉
「SAINO」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、三〇ページ。
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