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5.なぞかけ

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翌日の夜、一枚の写真とともにラインがきた。
「さっちゃん こんばんは。
そういえば以前、東京の上野というところで、こんな人がいました。
僕はしばらく眺めて帰りましたが多分彼はしばらくいたんだと思います。
大喜利としては
{今日父の日なのに誰も相手してくれないから、〇〇〇〇}
○〇〇〇の内容は?白いシャツの人ね。」

写真は駅構内で白いワイシャツに黒のスーツのズボンを履いたおっさんが
大きく足を広げ、ワイシャツの袖をたくし上げて腕を組んで、
上半身のけぞった風に踏ん張っていた。
周りの人はその人をよけるように通り過ぎていく風景で、
小さい男の子がわけもわからず、男の前に取り残されている様子の写真であった。

「こんばんは!ランバダ踊っちゃう どや?」
「1本!」
「やったー。」
(ってそれだけかよ。)

「多分この人、1時間とかずっとこの格好でいたと思うんですよ。
東京もカオスっすね。」
「えーやばいな。怖い怖い。前の子供逃げてーって感じ。
たぶん仕事行くって言って出てきてはったんかなあ。」
「家族に本当のことは伝えられてないでしょうね。」
「うん、多分ね。公園より涼しかったんかなあ。よく写真撮ったね。笑」
「撮らずにはいられませんでした。
混んでるのに皆恐ろしいくらいに避けてる(笑) はい次。」
(は?まだやんの?これおもしろいか?)

「近所の飲み屋のメニュー。
食べ物なのになんでこんなフォント?なんかまずそう・・・。」
写真はお店に貼ってあるメニューのフォントが
いささかお化け屋敷風なヨレヨレな文字のオンパレードであった。

「人捌いた後の包丁でおろしてます。どや?」
<万歳>のスタンプがきた。
「やったー。」
(って、だからそれだけかよ?)

「鶴の恩返しの逆バージョン。
一人一人、おいしくいただいてまーす、みたいな。」
(のりツッコミもいまいちやな。)

とりあえず市原悦子のプルプル震えているスタンプを返した。

「すいませーん、お付き合いありがとう。今日はこの辺で。」
(なんじゃそれ?)

「はい。お疲れ様でした。」
「あれっ?マジそこビジネスライク。」
(え?お前がこの辺でって言いだしたんやろが!あー、めんどくさ。)

「そんなつもりないけど。ラインって難しいね。」
「じゃぁ、またネタ探してくる。またねー。」
(もうええって。それより返しもっと勉強してから出直してこいっ!)

翌朝、
「さすが鮮魚の街、築地。
一般の公道にもマグロが置き去りに、そこで一言。」

写真は築地の大きな交差点で車がほとんど走っていない中、
交差点のど真ん中にマグロの頭だけ転がっているというものだった。

朝のクソ忙しい時間帯に送ってきたこともむかつくし、
なんのツッコミも用意されていないフリにうんざりしていたので、
一旦未読スルーして、3時間後に既読して返信した。

「タクシー捕まらへんなあ。。。」

翌朝に返信が来た。
「おはようございます。
しょうもないことに付き合っていただきありがとうございます。
さっちゃんと大喜利がしたいわけではないので、
この辺でお開きとさせていただきます。
でもこの写真は築地の交差点の写真なんです。さすが築地でしょ?
あとで誰が片付けたんだろうとか思っちゃいましたけど。」
(いやいやいやいや、私のボケに関しての返しは?
返せんのやったらフルなよ。そして謝れっ!)

「おはようございます。ほんまやね。
なかなか見れない光景、よくこんな写真持ってるね。笑 
東京のいろんな観光スポット写真送ってくれてありがとう。笑
いい勉強になりました♪」
(我ながら手本のような返信だわ。)

「そうなんです。これが東京の裏の姿(笑)」
「東京おっかねー笑」
(お前のがやけど。笑)
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