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7話 ご対面
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もうイケメンサーファーとのメッセージのラリーを続けたくて、
カフェ行きはどうでもよくなっていた。
なんなら遅刻してきてもいいよぐらいの勢いで、
待ち合わせの13時ギリギリまでメッセージをやりとりしていた。
「ごめんなさい。今から用事だからまた連絡しますね。」
「わかりました~。ありがとうございます。」
しばらくすると白髪の初老の男がこちらに向かって歩いてきた。
マスクをしていても明らかに50歳には見えなかった。
きっと改札口に座っている駅員が
さちこの表情を一部始終観察していたとしたら、
不思議に思ったに違いない。
会う前のスマホに向かって満面の笑みを浮かべているさちこが、
待ち合わせ相手が現れるなり真顔になった。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「お待たせしました。」
「いえいえ。勝手に早く着いてるだけですから。」
「そんなに早く着いてるとは思わなくて。」
「いや、気になさらないで下さい。
いつも15分前行動を心がけているだけですから。」
「へー偉いですね。」
「でないとすぐバタバタしちゃうんで。バタバタするの嫌なんで。」
「そっか。見習わないとね。」
「いえいえ。そんな大したことじゃないです。
性格がだらだらしてるんで強制的にそうすることにしたんです。
焦らすつもりはなかったのでラインするまいと思ったんですけど、
みんなマスクしてて、違うかな?
って思った人がいたのでラインしてみただけです。
ごめんなさいね。」
「いえいえ。」
階段を登って地上に出た。
駅から2分程度のところですぐお店に着いた。
「ここすごい人気みたいだね。」
「行ったことあります?」
「いや、ない。」
「なんか映画とかロケ地にもなるらしくって。」
「そうみたいね。昨日調べたらさ、そう書いてたね。」
「味はどうかわかりませんけど。ランチとかあるのかなあ。」
店の入り口に着くと結構満席気味だった。
「あら、もういっぱいかなあ?」
「大丈夫じゃない?あそこ空いてる。」
「あ、ほんとだ。最後のひと席っぽいですね。
良かった。ラッキー。」
「ここ、全然対策できてないね。」
「え?そうですか?じゃあやめときます?」
(まあ私は一人で入るけど、そんな嫌なら帰ってもいいよ。)
「まあいいや。」
(なんじゃそれ。なんか感じ悪い。
しかも別にちゃんと窓もドアも開けてるし、
何を持って感染対策と言うんだ?
っていうか、昨日調べるって言ってオッケー出したの自分でしょうが。)
席に案内された。
平日の昼間とあって、客は20代の学生風な人が多かった。
明らかに彼だけが浮いているように見えた。
ランチメニューは3種類のみで、パスタとコーヒーセットを注文した。
カフェ行きはどうでもよくなっていた。
なんなら遅刻してきてもいいよぐらいの勢いで、
待ち合わせの13時ギリギリまでメッセージをやりとりしていた。
「ごめんなさい。今から用事だからまた連絡しますね。」
「わかりました~。ありがとうございます。」
しばらくすると白髪の初老の男がこちらに向かって歩いてきた。
マスクをしていても明らかに50歳には見えなかった。
きっと改札口に座っている駅員が
さちこの表情を一部始終観察していたとしたら、
不思議に思ったに違いない。
会う前のスマホに向かって満面の笑みを浮かべているさちこが、
待ち合わせ相手が現れるなり真顔になった。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「お待たせしました。」
「いえいえ。勝手に早く着いてるだけですから。」
「そんなに早く着いてるとは思わなくて。」
「いや、気になさらないで下さい。
いつも15分前行動を心がけているだけですから。」
「へー偉いですね。」
「でないとすぐバタバタしちゃうんで。バタバタするの嫌なんで。」
「そっか。見習わないとね。」
「いえいえ。そんな大したことじゃないです。
性格がだらだらしてるんで強制的にそうすることにしたんです。
焦らすつもりはなかったのでラインするまいと思ったんですけど、
みんなマスクしてて、違うかな?
って思った人がいたのでラインしてみただけです。
ごめんなさいね。」
「いえいえ。」
階段を登って地上に出た。
駅から2分程度のところですぐお店に着いた。
「ここすごい人気みたいだね。」
「行ったことあります?」
「いや、ない。」
「なんか映画とかロケ地にもなるらしくって。」
「そうみたいね。昨日調べたらさ、そう書いてたね。」
「味はどうかわかりませんけど。ランチとかあるのかなあ。」
店の入り口に着くと結構満席気味だった。
「あら、もういっぱいかなあ?」
「大丈夫じゃない?あそこ空いてる。」
「あ、ほんとだ。最後のひと席っぽいですね。
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「え?そうですか?じゃあやめときます?」
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(なんじゃそれ。なんか感じ悪い。
しかも別にちゃんと窓もドアも開けてるし、
何を持って感染対策と言うんだ?
っていうか、昨日調べるって言ってオッケー出したの自分でしょうが。)
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