Identity

ゆびわ

文字の大きさ
1 / 5

俺はこんな旅、経験したことはないな!笑

しおりを挟む
俺はただ、道なき道を進む。追い求めてやまないものがこの先にあると信じて。
暗い雑木林に知らないうちに飲み込まれてしまったわけだが、先に神秘的な光が見えた気がしたのだ。
ほんの一瞬ではあったが、何か逃したら一生後悔をしてしまう………そんな気に駆り立てられながら、闇の中へと放られてしまったのだ。
オーロラか何か…そんなのなら幾度もこの目で見てきた。充分に神秘的ではあるが、それとはまるで違った。数々の旅を経験している俺でも、こんなにも惹かれるものがあるのかと目を離すことは出来なかったのだ。

「あぁ、また……?」

光は再び現れる。示されたように思って、また歩みを始める。幾分か歩いて行くと、光は散り散りに、消えていく。
幾度も繰り返されて段々と面倒になり始めた。だが、ここで歩みをやめても簡単には引き返せない。
同じような景色に飽きがくる。しかしまた、どこまで続くのか。大分前にそれを見つけたはずだというのに、光度は一向に変わらない。周りにも深い緑がその奥には闇が広がるだけ。
普通じゃないことくらいは分かる。だからこそ好奇心が先行する。そういったところにこそ面白いものはあるのだと、何もなくたって別にいいじゃないか。冒険ってそういうことだろう?
だが、遊ばれてる気がする。見つけたらいたずらくらいさせてくれ!顔に落書きするとか、そういうかわいい感じのでかまわないからさぁ……。そのくらい許してくれ。頼む。
そんなくだらないこと考えながらひたすら進んでいくと、キュウ…と鳴き声が聞こえた。

「狐か…?」

そういえば動物とか虫とか何もいなかった気がする。ゴチャゴチャとつるが伸びきっていたりするにも関わらず、だ。やはり普通じゃない。
動物たちを追い払う理由などないだろう。人なんか当然暮らせるようなところでもないし、燃やしさえすれば開けた場所だってあるはずだ。
無い。そんなものは。あるのは緑と闇。いたずらな光。声の主も姿は見えない。

「いい加減疲れてきたぞ……」

その辺にあった木に体ごともたげて、めくれた木の皮をペリッと引き剥がす。すると、何か勢いよく飛び散ってきた。

「……わぁ、なんだこれ」

きらきらと輝く雫。この暗さでもはっきりと輝くそれは、ふわっと甘く香ばしい香りで辺りを満たしていく。
その匂いが不安だった心をほぐしていく。
単純に喉も腹も限界だったからかもしれない。恵みに感謝してしたたる蜜をすすり始めると、急に頭にゴツンと衝撃を喰らった。

「何をしている」

不気味な低い声が静かに怒りをぶつける。

「ヒッ……?!」
「勝手に引っ剥がして喰ろうたなお前。我が玉体に傷を付けようというのか」

目の前には真っ黒なローブに身を包まれた男が立っていた。恐ろしい形相(に見えた)で問い詰める。

「……まぁ、いい。物好きな人間もおるものだ。しかし見るからに消耗しているように思う。此度の無礼は許してやろう。」
「ありがとうございます…?」

助かったのか?

「そのままではろくに帰ることも出来なかろう、案内してやる。ついてくるがよいぞ」
「え?うわぁっ?!」

ローブの男からかざされた手から閃光が放たれた瞬間、俺の体が宙に浮き、そのままぐるぐると回りながら何処かへ飛んでいった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

処理中です...