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どうなってんだ、この屋敷は……
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それから独り、ただだだっ広い静かな部屋に残された俺は、掛けられた温かい布団の中で寝息を付いていたらしく、薄目を開ければ部屋には薄暗い月明かりが青白く照っている。昼間は陽当たりが良さそうだ。
俺が歩いてきた道はこれよりも暗かったはずだけれど、吹き飛ばされたとはいえ、こんな場所があったとは。
外はどうなっているのだろう。連れてこられたときには目にしなかった。もぞもぞとベッドから足を出し、床に足を付けて立ち上がって、窓の方へ歩いて行く。
手を伸ばして無駄にデカい窓を開けてみると………、
「うわぁ………」
薄い雲のような霧のような霞がかった色とりどりの光がふんわり、いちめんに。向こうに広がっていて綺麗だった。街か何かがあるようだ。今度行ってみるか。
「さーて、トイレっと。確か……」
凄くデカい屋敷なもんだからたくさん歩かないとな。ちょっとした散歩だ。健康にいい。……とでも考えなければやっていられないな。部屋から出るのでさえこの距離だから。
さぁ歩こうか。ドアを開けに向かう。ドアも作りが良い。バロックとかそういう感じなのか、小洒落たバイオリンみたいな模様だ。この薄明かりでも高そうな感じがうかがえる。
黄金色のドアノブに手を掛け重いドアを開き、長ったらしい廊下を大きなあくびをしながら歩いて行く。それらしい、他よりも小さめのドアを探す。たぶんそれだろうし。
少し歩いて行くと、メイドっぽい人にすれ違う。
「ロビン様、どうかされましたか?」
「いや、トイレ行きたいなぁと思ったんだ」
「そうでしたか。少々お待ちくださいませ」
他の人に比べて品が良さそうな。あまり長くここに勤めてる訳じゃないのかな……まぁこんなのいきなり覚えろなんて無茶な話だ。記憶力の良い俺でさえ一年かけて覚えられるかどうか。迷宮みたいだなぁ、ココ。
……と、思ったのも束の間、何やら物騒な物を取り出してこっちに来た。何だあれは?!
「さぁ、こちらへどうぞ」
「……はぁ?」
どこからいつの間に取り出したのだろう。目の前に見えたのは馬鹿でかい大砲だった。
「これに乗るのか?」
「ええ!」
「いやええじゃないでしょ」
何でこうもまた、規格外の人やものばかりなのかな。よく屋敷が壊れないなと感心する。保たないだろ、こんなの。金が余ってこんなの付けちゃいましたーって?ないよ、そんなの。
「お乗りください」
「……ううん、歩くよ」
「こちらの方が遙かに効率良いです、さぁどうぞ、キュレル様のからくりへ。目の前にひとっ飛びです」
「屋敷壊れるって」
自信満々な、意気揚々とした目で言ってくる。
「普通に行くよ」
「……お嫌ですか?」
「面白そうではあるけど……それは、まぁ……少なくともここで使うべきじゃないかな」
ただでさえ広い廊下の幅にもギリギリの大きさで立ち塞がる大砲。メイドはしょんぼりした顔でその大砲をガラガラと引き摺り始めた。細い体の何処にそんな力があるのか気になるところだけれど……。少し引き摺ったところでメイドは立ち止まる。
「御手洗いはここをつきあたり右にございます」
「……え?………はぁ?!」
だいぶ近くじゃないか?!そのつきあたりもほぼ目の前。労力のコストの計算どうなっているんだよ!
俺が歩いてきた道はこれよりも暗かったはずだけれど、吹き飛ばされたとはいえ、こんな場所があったとは。
外はどうなっているのだろう。連れてこられたときには目にしなかった。もぞもぞとベッドから足を出し、床に足を付けて立ち上がって、窓の方へ歩いて行く。
手を伸ばして無駄にデカい窓を開けてみると………、
「うわぁ………」
薄い雲のような霧のような霞がかった色とりどりの光がふんわり、いちめんに。向こうに広がっていて綺麗だった。街か何かがあるようだ。今度行ってみるか。
「さーて、トイレっと。確か……」
凄くデカい屋敷なもんだからたくさん歩かないとな。ちょっとした散歩だ。健康にいい。……とでも考えなければやっていられないな。部屋から出るのでさえこの距離だから。
さぁ歩こうか。ドアを開けに向かう。ドアも作りが良い。バロックとかそういう感じなのか、小洒落たバイオリンみたいな模様だ。この薄明かりでも高そうな感じがうかがえる。
黄金色のドアノブに手を掛け重いドアを開き、長ったらしい廊下を大きなあくびをしながら歩いて行く。それらしい、他よりも小さめのドアを探す。たぶんそれだろうし。
少し歩いて行くと、メイドっぽい人にすれ違う。
「ロビン様、どうかされましたか?」
「いや、トイレ行きたいなぁと思ったんだ」
「そうでしたか。少々お待ちくださいませ」
他の人に比べて品が良さそうな。あまり長くここに勤めてる訳じゃないのかな……まぁこんなのいきなり覚えろなんて無茶な話だ。記憶力の良い俺でさえ一年かけて覚えられるかどうか。迷宮みたいだなぁ、ココ。
……と、思ったのも束の間、何やら物騒な物を取り出してこっちに来た。何だあれは?!
「さぁ、こちらへどうぞ」
「……はぁ?」
どこからいつの間に取り出したのだろう。目の前に見えたのは馬鹿でかい大砲だった。
「これに乗るのか?」
「ええ!」
「いやええじゃないでしょ」
何でこうもまた、規格外の人やものばかりなのかな。よく屋敷が壊れないなと感心する。保たないだろ、こんなの。金が余ってこんなの付けちゃいましたーって?ないよ、そんなの。
「お乗りください」
「……ううん、歩くよ」
「こちらの方が遙かに効率良いです、さぁどうぞ、キュレル様のからくりへ。目の前にひとっ飛びです」
「屋敷壊れるって」
自信満々な、意気揚々とした目で言ってくる。
「普通に行くよ」
「……お嫌ですか?」
「面白そうではあるけど……それは、まぁ……少なくともここで使うべきじゃないかな」
ただでさえ広い廊下の幅にもギリギリの大きさで立ち塞がる大砲。メイドはしょんぼりした顔でその大砲をガラガラと引き摺り始めた。細い体の何処にそんな力があるのか気になるところだけれど……。少し引き摺ったところでメイドは立ち止まる。
「御手洗いはここをつきあたり右にございます」
「……え?………はぁ?!」
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