31 / 33
鳴沢の曲(第30話)
しおりを挟む
学校が始まって、2週間経ったのに、鳴沢は学校に来なかった。
クラスでは大学受験に向けた居残り会が連日行われていて、どこにいても勉強のことばかりが頭の中に浮いていた。
私も、曲はできたけど、見直しや歌詞のずれがないかの確認を怠って、勉強に全ての時間を費やしていた。鳴沢のことも、頭の片隅に追いやって、勉強のことで頭を埋めていた。
多分、勉強ばかりで嫌になってしまったからだと思う。
エクスネクの歌をまた聴きたいと思ってしまったのは。
金曜日の夜に流れもしない鳴沢の歌を期待して、久しぶりにアプリを開けた。
夜中の25時。
鳴沢も忙しいのに、配信なんてしているはずがなかった。そう思っていたのに、スマホからは、鳴沢の声が流れていた。
私が鳴沢と作った曲。いつもは1曲しか流れてないのに、何曲も連続で私が書いた歌が鳴沢の声に乗って流れていた。
『次は、一昨日にできたばかりの歌です。題名は「月を眺めて」です』
月を眺めて
ある夜の月を眺めていた
君と同じ空の下
空っぽだった僕の心を
満たしてくれたのは 君だったよ
何気ない言葉で 僕を見つけてくれた
You came and found me
君と出会ったのはある夏のこと
その日も今日みたいな満月で
月を綺麗だと思ったことないけど
君が綺麗だと言うから
僕も初めて綺麗だと思った
君のことを知りたい
僕の中でそんなことばかり考えてるんだよ
生まれ変わってもまた
君と一緒に毎日を過ごしたい
何気ない日常だって
君といれば安定だって
暗闇でうずくまる僕を
解き放してくれたんだ
君はこの日々をどう思っているか
聞いてみたいけど
I don't want to know
君の周りはいつも人だかり
あの日も今日のような満月で
嫉妬なんてしたことないけど
君が他の人と笑うから
僕は笑うことができなくなった
遠く離れて君の声が
頭の中でずっと聞こえてるんだよ
運命のイタズラでも
君と出会えたことが僕の全てで
何もない毎日だって
君のことばかりなんだって
寂しさで潰れてしまいそうな僕を
解き放してよ
この先もずっと君といられる
世界がいいな
君のことを知りたい
頭の中そんなことばかり考えてるんだよ
孤独な夜にだって
照らし続ける月の明るさが
君の笑顔と重なって
もう離れたくないんだって
僕を照らすのはやっぱり
君だけだったんだ
初めて聞いた曲だった。前は鳴沢が一人で作った曲を聴くのは心がモヤモヤしていたけど、今回は違った。
鳴沢の声がスマホから流れる。
『この曲は僕の大切な人への想いを綴った曲です。聴いてくれているかわかりませんが、届いたらいいな。と思ってます。次は、僕が、エクスネクを始めた時から温めていた曲です。ずっと歌詞が書けずに悩んでいましたが、ついこの間書くことができた曲です。題名は、高嶺の花』
高嶺の花
涼しい風が屋上を吹き抜けてゆく
春風とは違う少し暖かい風
流されるように 背中押され
僕は君と出会ったんだ
君が差し出した その笑顔に
踏み込む勇気持てなくて
今はひとりで いいやと思って
自分で扉閉めたんだ
あの日の風に揺れた声だけが
胸の奥で鳴り続けている
近づけば壊れそうで
触れたなら砕けそうで
目を逸らしたよ 僕は
それでも君は関わることをやめなくて
結局僕は君の隣で日々を重ねていた
投げやりに見えて 楽しくて
この日々が続けばいいのにな
君の才能が 眩しすぎて
隣に立つのが怖くなって
諦めたふりして 諦めきれなくて
押しつぶされそうだった
近づくほどに逃げたくなる僕は
言えないことばかり増えて
君の優しさひとつで
揺れている心が
踏み出せないまま 夜が更けてゆく
気づけば君の声も遠ざかり
半端な気持ちの言葉ばかり
僕が閉じた扉の向こう側で
君はもう 別の空を見てる
あの日の風に揺れた声だけが
今も胸で鳴り続けている
届かないと分かっても
君の隣でいたくて
君に届かないまま
春がやってくる
さよならも言えないまま
別れがやってくる
題名が『高嶺の花』とだけあって、どんなものか気になっていたけど、書かれた歌詞は、私と鳴沢の過ごしたここ何ヶ月かの記録のようだった。
配信が終わって、私はすぐに鳴沢に電話をした。そうしなければならないと感じていたから。
配信が終わったばかりなら、鳴沢も電話に出てくれると思っていた。
でも鳴沢は電話に出なかった。メッセージを送っても、既読はつかなかった。
寂しかったのもあった。悲しかったのもあった。気が付けば、頬に涙が伝っていた。
「鳴沢……お願いだから出てよ……」
大した時間も経過していないのに、スマホを見るのが嫌になった。鳴沢から連絡のこないスマホなんて持ってて意味があるのか。受け入れたくない現実に、スマホの電源を切った。そして、頭まで布団を被り泣きたい気持ちを抑え込みながら、眠った。
朝起きると、スマホに鳴沢から電話がかかっていた。だけど、電源を切ってしまっていて、鳴っていることに気が付かなかった。
何で電源を切ってしまったんだ。と後悔した。
♢♢♢
大学受験まであと1週間になった頃。
鳴沢はまだ学校に来ていなかった。
連絡も取れないままで、寂しさばかりが私の中に募っていた。
クラスのみんなは、初めは鳴沢がいないことに疑問をいだいていたけど、次第に存在を忘れたかのように勉強のことで頭がいっぱいになっていた。
私自身も鳴沢のことばかりに気を取られてはいけないと、鳴沢へ連絡するのを一旦やめて、勉強に集中した。
頭の片隅では鳴沢のことを気にしているつもりでいた。でも、歌のことに気を取られすぎて、勉強はギリギリまで迫っていた。
クラスでは大学受験に向けた居残り会が連日行われていて、どこにいても勉強のことばかりが頭の中に浮いていた。
私も、曲はできたけど、見直しや歌詞のずれがないかの確認を怠って、勉強に全ての時間を費やしていた。鳴沢のことも、頭の片隅に追いやって、勉強のことで頭を埋めていた。
多分、勉強ばかりで嫌になってしまったからだと思う。
エクスネクの歌をまた聴きたいと思ってしまったのは。
金曜日の夜に流れもしない鳴沢の歌を期待して、久しぶりにアプリを開けた。
夜中の25時。
鳴沢も忙しいのに、配信なんてしているはずがなかった。そう思っていたのに、スマホからは、鳴沢の声が流れていた。
私が鳴沢と作った曲。いつもは1曲しか流れてないのに、何曲も連続で私が書いた歌が鳴沢の声に乗って流れていた。
『次は、一昨日にできたばかりの歌です。題名は「月を眺めて」です』
月を眺めて
ある夜の月を眺めていた
君と同じ空の下
空っぽだった僕の心を
満たしてくれたのは 君だったよ
何気ない言葉で 僕を見つけてくれた
You came and found me
君と出会ったのはある夏のこと
その日も今日みたいな満月で
月を綺麗だと思ったことないけど
君が綺麗だと言うから
僕も初めて綺麗だと思った
君のことを知りたい
僕の中でそんなことばかり考えてるんだよ
生まれ変わってもまた
君と一緒に毎日を過ごしたい
何気ない日常だって
君といれば安定だって
暗闇でうずくまる僕を
解き放してくれたんだ
君はこの日々をどう思っているか
聞いてみたいけど
I don't want to know
君の周りはいつも人だかり
あの日も今日のような満月で
嫉妬なんてしたことないけど
君が他の人と笑うから
僕は笑うことができなくなった
遠く離れて君の声が
頭の中でずっと聞こえてるんだよ
運命のイタズラでも
君と出会えたことが僕の全てで
何もない毎日だって
君のことばかりなんだって
寂しさで潰れてしまいそうな僕を
解き放してよ
この先もずっと君といられる
世界がいいな
君のことを知りたい
頭の中そんなことばかり考えてるんだよ
孤独な夜にだって
照らし続ける月の明るさが
君の笑顔と重なって
もう離れたくないんだって
僕を照らすのはやっぱり
君だけだったんだ
初めて聞いた曲だった。前は鳴沢が一人で作った曲を聴くのは心がモヤモヤしていたけど、今回は違った。
鳴沢の声がスマホから流れる。
『この曲は僕の大切な人への想いを綴った曲です。聴いてくれているかわかりませんが、届いたらいいな。と思ってます。次は、僕が、エクスネクを始めた時から温めていた曲です。ずっと歌詞が書けずに悩んでいましたが、ついこの間書くことができた曲です。題名は、高嶺の花』
高嶺の花
涼しい風が屋上を吹き抜けてゆく
春風とは違う少し暖かい風
流されるように 背中押され
僕は君と出会ったんだ
君が差し出した その笑顔に
踏み込む勇気持てなくて
今はひとりで いいやと思って
自分で扉閉めたんだ
あの日の風に揺れた声だけが
胸の奥で鳴り続けている
近づけば壊れそうで
触れたなら砕けそうで
目を逸らしたよ 僕は
それでも君は関わることをやめなくて
結局僕は君の隣で日々を重ねていた
投げやりに見えて 楽しくて
この日々が続けばいいのにな
君の才能が 眩しすぎて
隣に立つのが怖くなって
諦めたふりして 諦めきれなくて
押しつぶされそうだった
近づくほどに逃げたくなる僕は
言えないことばかり増えて
君の優しさひとつで
揺れている心が
踏み出せないまま 夜が更けてゆく
気づけば君の声も遠ざかり
半端な気持ちの言葉ばかり
僕が閉じた扉の向こう側で
君はもう 別の空を見てる
あの日の風に揺れた声だけが
今も胸で鳴り続けている
届かないと分かっても
君の隣でいたくて
君に届かないまま
春がやってくる
さよならも言えないまま
別れがやってくる
題名が『高嶺の花』とだけあって、どんなものか気になっていたけど、書かれた歌詞は、私と鳴沢の過ごしたここ何ヶ月かの記録のようだった。
配信が終わって、私はすぐに鳴沢に電話をした。そうしなければならないと感じていたから。
配信が終わったばかりなら、鳴沢も電話に出てくれると思っていた。
でも鳴沢は電話に出なかった。メッセージを送っても、既読はつかなかった。
寂しかったのもあった。悲しかったのもあった。気が付けば、頬に涙が伝っていた。
「鳴沢……お願いだから出てよ……」
大した時間も経過していないのに、スマホを見るのが嫌になった。鳴沢から連絡のこないスマホなんて持ってて意味があるのか。受け入れたくない現実に、スマホの電源を切った。そして、頭まで布団を被り泣きたい気持ちを抑え込みながら、眠った。
朝起きると、スマホに鳴沢から電話がかかっていた。だけど、電源を切ってしまっていて、鳴っていることに気が付かなかった。
何で電源を切ってしまったんだ。と後悔した。
♢♢♢
大学受験まであと1週間になった頃。
鳴沢はまだ学校に来ていなかった。
連絡も取れないままで、寂しさばかりが私の中に募っていた。
クラスのみんなは、初めは鳴沢がいないことに疑問をいだいていたけど、次第に存在を忘れたかのように勉強のことで頭がいっぱいになっていた。
私自身も鳴沢のことばかりに気を取られてはいけないと、鳴沢へ連絡するのを一旦やめて、勉強に集中した。
頭の片隅では鳴沢のことを気にしているつもりでいた。でも、歌のことに気を取られすぎて、勉強はギリギリまで迫っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる