愚者が描いた世界

白い黒猫

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~王子と剣~

2-4 <連隊長の剣>

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 上級修練場は先ほどの飾りっ気の一切ない下級兵士用の修練場とは異なり、壁には伝説上の神々の戦いを主題に描いた壁画が広がっており、シンプルなデザインであるものの黒く塗られた柱が印象を深め、厳かな空間となっている。
  そこでは十五人の連隊長に加え、先ほどフリデリックの前で、新たに連隊長に大抜擢されたテリー・コーバーグが、見事な剣技を披露していた。
  自分と殆ど年齢の変わらないテリーが、連隊長という事実に驚いたものの、その動きを見て納得する。
  体格の良い他の十五人の他の連隊長と戦っていてもひけをとらない見事な戦いを披露していた。速さと鋭さを武器に戦うテリーをフリデリックは目を輝かせて見つめている。
  剣術に関してずぶ素人であるフリデリックの目でみても、その道を究めた十六人の剣術は見事としか言いようがない。しなやか動きと早さに圧倒されるものの目が離せない。
  先ほど修練場でみた一般兵士に比べ、その動きに無駄がないせいか泥臭さがなく、連隊長達の剣はスマートで格好良くみえた。
  他の者がガツガツと互いに剣と剣をぶつかり合いながら闘いあっているのに対して、両の手に剣を持つテリーは相手の攻撃を闘牛士のように優雅に避け、いなして、相手に切り込んでいく。
  その動きは舞をしているかのように華麗で、見ているフリデリックを感動させた。
 「フリデリック王子、如何ですか? 我が軍自慢の連隊長の剣は」
  バラムラスは、興奮で少し頬を赤らめながら、修練場を見下ろしているフリデリックに向かって声をかける。
 「あまりの迫力に、圧倒されています!」
 「我が軍には、彼らの他に七人の連隊長がいます。折りをみて紹介していかせて頂きます」 
  バラムラスは柔らかく微笑みながら、一人一人の連隊長の名と為人を紹介していく。その言葉を頷きながら聞いていたが、フリデリックは眼を修練場から離せずにいた。修練場というより、ある一点に。
  そこにいた全員が フリデリックの目がテリーにすっかり魅入られ、テリーだけしか見ていない事に気付いていた。
  バラムラス以外は、その事実に全員眉をひそめていた事などフリデリックは気がつくはずもなかった。
 「ところで、お前ら一休みするか! こっち来こい!」
  バラムラスは、連隊長達に声をかける。
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