12 / 15
カッコウの子供
怪奇現象
しおりを挟むもう一つ家の中で変わった出来事があった。インフルエンザで倒れていた時に聞こえていた足跡が、その後も聞こえるのだ。
最初は陽一がまた走り回っていると思っていたのだが。陽一が幼稚園いっている時間や、陽一が一階でお姑さんと遊んでいるのに三階で子供が遊んでいる気配することがある。
気になり覗いてみても誰もいないという事が起こるようになった。
気持ち悪いが、そのドタドタとした足音は前に陽一が散々してきたものに似ていて何故か怖いとは思わなかった。
そして一方陽一があんな音をたてて歩く事が無くなった事にも気が付いていた。
始めはその謎の現象は気のせい? というレベルのものだったが、だんだんとエスカレートしていった。
私のすぐ近くでバタバタ地団駄を踏むような音がしたり、いきなり近くの壁がドンドンと激しい音がしたりするようになった。
さらには水道の水が突然流れだしたり、リビングのモノが散乱していたりと、玩具が家中にちりばめられたりと言うことが起こる。家の中で色々な異常が見られるようになった。舅は陽一がしたとして、激しく叱った。
それに陽一は震え泣きながら謝っていた。確かにその行動は陽一が拗ねた時に良くする行動ではあるものの、それを陽一がやったとするにはオカシナ点があった。
陽一がそこにいないタイミングで起こっている事が多く、幼稚園から二人で帰ってくると台所が滅茶苦茶になっていた。
二人で洗濯物を取り入れて一階に降りるとリビングが汚されていたりした。それを舅に指摘すると舅は困った顔をする。
「陽一はやっていないのか?」
その舅の質問に陽一は困ったように黙り込む。その目が何かを追うように動いているのを感じ私はそれを追っていたがそこには何もいなかった。
「やった事は謝らないとダメだけど、やっていない事を謝るものではない!」
舅のその言葉には、陽一はコクリと頷く。そして『ボクじゃない』と小さい声で言って、部屋のある一点を睨みつけていた。
その後も似たような事件が起こるが、陽一がそれから常に誰かといるような行動をしていた為に、その犯人が陽一の所為ではないというのはハッキリしてきた。
となると、誰なのか? 舅と姑は野良猫の所為として無理やり結論をつけたようだったが私にはそう納得できなかった。そして家にいると常に感じる子供の気配。
何かしていると私を呼ぶようにコンコン何かを叩く音がする。時々誰もいないところで小さい何かが抱き付いてくるような感覚がする
コンコン
家計簿をつけていたら、テーブルを叩く音がする。
「陽ちゃん?」
コンコンコンコンコンコン
そんな音が帰ってくる。
「陽ちゃんそこにいるの?」
コンコンコンコンコンコン
コンコンコンコンコンコン
コンコンコンコンコンコン
何故だろうか? 陽一がやっていないと証明された悪戯、そしてこういった音。それなのに何故かその気配に陽一を感じる。
「ママ! どうしたの?」
突然陽一の声がして顔をあげると、今日はお姑さんのお迎えで幼稚園から帰ってきた所らしい陽一が立っていた。その表情がいつになく硬い。というか怖い。 らしくない険しい顔でコチラをみている。
「おかえりなさい、陽ちゃんどうしたの? そんな顔をして」
陽一はハッとした顔をして慌てて笑顔をつくる。
「ただいま、ママ」
そういって私に抱き付いてくる。その力の強さに驚く。
「どうしたの陽ちゃん。幼稚園で何かあったの?」
私に顔を押し付けたまま顔を横に振る。
「ううん? ただ寒かったから。ママに早く会いたかったの。ママあたたかいね」
そう陽一が言ったとたんに、壁が激しく叩かれる音がする。
「煩い!! そういう悪戯するから、みんなから嫌われるんだよ!」
陽一は私から離れて音のする壁に向かって怒鳴りつける。最近そのように叫んだり怒鳴ったりする事がなかったから私も驚く。その途端にその音は聞こえなくなる。
「陽ちゃん? そこに誰かいるの?」
私がそう聞くと、陽一は慌てたように頭を横にふる。
「ママを困らせている奴から、ボク守るから! 怖がらないで」
陽一はそう言って笑い、その後ある一点を睨みつけた。
その後、陽一の姿が見えないと思っていたら三階にいたようだ。そっと覗くとロフトの所にいて一人でおしゃべりしている。
「なんで、君はそんなに悪い子なの? 悪戯ばっかりして人を困らせて楽しい? みんなすごく怖がっているし、君の事を気持ち悪いと思っているよ。そんなことして嬉しい?」
陽一が誰かを叱っている音がする。声をかけるとその声はピタリと止む。
「お友達と遊んでいるの?」
そう声をかけると陽一は顔を出して顔を横にふる。
「ううん、一人でゲームして遊んでいるの!」
作り笑いと分かるその顔は、明らかに彼が嘘をついているのを示していた。梯子を上り覗き込んでも誰もいないのでそれを信じるしかない。しかしDSの電源も入っておらず遊んでいた感じはない。
「もうすぐご飯だから、そうしたらやめなさいよ!」
陽一は良い子のお返事をして頷く。
「だったら、お手伝いする~」
ニコニコと笑い、ロフトから出て私についてくる。
「今日のご飯はなに?」
「おでんよ!」
そう答えながら、後ろで聞こえた小さな物音に振り返る。しかしそこには暗い電気の消えたロフトが見えるだけだった。
「ママ! 作ろう! おでん作ろ!」
陽一に促されて部屋を出ることにする。出る瞬間、名前を呼ばれた気がして振り返ったがやはりそこには誰もいなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる