『Love Stories。』

日向理

文字の大きさ
上 下
84 / 132
Chapter.4

Episode.2

しおりを挟む
  「うわっ、ヤっベぇ~」

  「これ、俺の超好きな感じだわ」

「よし!」

「マスター、この人もツボにハマったよぉ!」

                 「そりゃどうも」

「店より常連が喜ぶってどうゆこと? 笑」

 「あは 笑」

 「翔は『フワッとしたやつ』が
  あんまり好きじゃないもんね^^」

  「うん、このかたさが超ヤバイ」

「『フワッとしたやつ』って?」

 「スフレとかチーズケーキとかパンケーキとか」
 「フツーのより『フワッとしたやつ』って
  いま結構あるでしょ」

「あ~、ああいうのか」
「んじゃあ、フワとろのオムレツとかは?」

  「ぜってぇ無理 笑」

  「「空気多く含ませてなんで高くしてんねん!」
   って、言いたくてしゃーなかった 笑」

「でも一応、食べには行ってるんだ 笑」

 「それはわたしがだまして行ってるから 笑」

  「「美味しいんだよぉ!」って言われて
   食べに行って、実際本当に美味いとこに
   連れってってくれるんだけど」
  「ちょいちょい『フワッとしたやつ』
   挟んでくんだよ」

 「『わたしが』美味しいって思うからいいの♪」

「でた、Sモードの沙織 笑」


  「こないだなんか、
   パンケーキの美味しいお店行くって言われて、
   一瞬「なぬ!?」って思ったんだけど」
  「「『フワッとした』パンケーキじゃないから
   大丈夫」って言ったから安心してお店行ったら、
   パンケーキの上にめっちゃ生クリーム乗ってて」

「ああ、あれも流行ってるね」

  「店内ほぼ女子でさぁ、
   みんな山盛り生クリームを写メったりして」
  「そん中で俺1人だけ、なんも乗っかってない
   フツーのパンケーキ食って」

  「その店行って、
   フツーのを食うやつがよっぽど珍しいのか、
   ムッチャ女子の視線が集まっちゃってさぁ」

「あはは 爆笑」

  「あん時はホンット辛かったわぁ~」

「でもSモードが発動するってのは、
 それだけ沙織が森田くんに心を許してる証拠だよ?」

「私もノンも半年くらいかかったんだから」

 「そだっけ 笑」



カラコロ~♪


  「お、来た」
                「いらっしゃぁい」


「わっ、ノン…」

 「超キレイになってる~!」





    「希ぃ、沙織ぃ、久しぶり~^^」

  「久しぶり^^」

 「ごめんね、待ったでしょ」

「ううん、大丈夫」
「この夫婦から色々話聞いて盛り上がってたから 笑」

   「でも思ったよりも早かったね」

 「うん」
 「連絡したあと、割と直ぐに運転再開したから」

               「何にする?」

 「あっ」

 「ここ、アンティグアとかって…」
                「あるよ」
 「じゃあそれで」

「ノンってAntigua飲むんだ!」

 「うん」

  「ってか希の、今の何語?」
  「超発音がすごいんだけど」

「ん?スペイン語」

「なんか私、他の人より耳がいいみたいで」
「1度聞けば大体発音はできるのよ」

 「それすごいね」

「18の時にね初めてコーヒーデビューしたんだけど」
「デビューしたお店がQuetzal、
『ケッツァール』ってお店でね」
「結構いろんな種類のコーヒーを扱っててさ、
 そこですっかりハマっちゃって」

「特に中南米のコーヒーが好きだったから、
 その勢いでしばらくそっちに行ってた
 時期もあったんだよ」

  「ふーん」

「…って、またもう興味が失せてるし 笑」

 「それで?」

「それでね、今のお店も、
 現地の小物とか雑貨とか見て
「これだ!」ってなって、んで始めたお店なの」

「だからお店の名前もあれ、スペイン語なんだ」

 「へぇ~」

「…って」
「それよりも何?その、
 ノンの女度の上がりっぷりは!」

 「『おんなど』?」

「めっちゃキレイになってるし」
  「うんうん」

  「3人の中で、ノンが1番変わったかも」

「ってか『このノン』でも女って認識しない、
 森田くんもある意味すごい」

「え!?俺!?」

  「ノンじゃなかったら
  絶対やきもち焼いてる、わたし 笑」

 「そんなことないって 恥」


   「俺はほら、割と
    コンスタントにノンと会ってたから」

「男って、女の微妙な変化に気付かないからねぇ」

  「そうそう」
  「翔、わたしが美容院行っても
   全然気付かないもん 笑」

   「「何センチ切ったんだよぉ」言われても
   「は?」ってなる 笑」

「何だこのおもろい夫婦は 笑」


  「それは全部ノンのせい」

 「え!?私!?」

  「私には絶対嘘はついちゃダメって、
   翔に言い過ぎたから」
  「翔、逆に何でも
   素直に口に出すようになっちゃったんだよぉ」

 「あー、なるほどね 笑」

   「でもおかげで、早い段階で、
   互いの価値観の違いも判明したから」

   「今は結構、2人でいるのがラクでいられてる」


  「まぁ…そこはノン様さまなんだけどね^^」


「今日はそのノンの為に集まったんだから!」


「んでなんかあったの?ノン」



 「うん」


 「あのね…」

 「私、今付き合ってる人がいて
「ぬあーーー!!」

 「な、何?突然」

「また私だけが売れ残り~・・・」

「ノンがキレイになったのも、結局はそれかぁ~・・」

  「希、彼氏と別れたてのホヤホヤなんだってさ」

 「あ、そうだったんだ…」
 「なんかごめん」

  「翔は知ってた

   「詳しくは知らんけど、
    そういう人がいるってのは知ってた」

  よね 苦笑」


 「…希ならまたいい人見つかるよ、そのうち」

「ぬあーーー!!」
「ノンにまでアバウトになぐさめられたぁ~・・」

   「俺が誰か紹介しよっか?」

「ホント!?」

  「希、切り替え早過ぎ 笑」

「ねぇ、沙織!旦那と連絡先、交換していい?」

  「どうぞどうぞ^^」

「えっと、ちょっと待ってね」
ガサゴソ…


 「あ!『過保護カバー』!」

「あ、ノンこれ知ってんだ!」

 「知ってるも何も私、
 そのデザインをした人のところで働いてるんだもん」

「うっそ!?」

   「あ、このカバー、ノンとこのなんだ」

 「あそっか」
 「ここは相棒だから、勤め先くらいは知ってるか」


「私、灯里さんの超ファンなんだけど」

 「そうなんだ!」
 「本人に言っとくよ、同級生がファンだって」

「ホント!!」
「やったねヾ(≧∀≦☆)」


  「過保護感が超出まくってるね、このカバー 笑」
  「おもろーい 笑」
「でしょー!」

「このデザインした灯里さんのセンス、
 私超ツボってるの」

「まさかノンが、
 その灯里さんとこで働いてるとは思わんかった…」


「ノンが来てから私、驚きっぱなし…」

       「はい、アンティグアお待たせ」

 「あ!ありがとうございます^^」

「マスター!アンティグアじゃなくってAntigua!」

                   「うっせ」
            「ここは日本なんだから
           アンティグアでいいんだよ」

「あ~~、常連に対してこの仕打ちぃ・・・」
「そして取り残されてゆく私~~・・・」

   「なぁ、緑川が一番おもろいよな、
    こんなかで」

  「確かに 笑」

 「灯里さんの新作出たら持ってきてあげるから」

「ホント!?」
「やったねヾ(≧∀≦☆)」

   「またすぐ立ち直った 笑」

  「さすがノン、
  もう希の扱い方の勘、取り戻してる 笑」
しおりを挟む

処理中です...