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50話記念SS
しおりを挟む幼い頃から夏休みはいつも爺ちゃん婆ちゃんの家に行って過ごしていた。
そしてそこには俺が物心ついた頃からいる猫がいて周りからはみーちゃんと呼ばれていた。でも幼い俺からしてみたら大人の牝猫で婆ちゃん猫だからみー婆と呼んでいた。
両親の家ではペットなんか飼っていなかったから祖父母の家にいるみー婆が新鮮だったけど何故か俺のことをずっと子供扱いしててどこにいくにしても着いてきてた。
ご飯の時も風呂の時もトイレの時も外に出て散歩する時もそばに居るのが当たり前と言うかなんと言うか。
俺が家に行くと毎回玄関に座ってて足元に来てこれでもかと身体を擦り付けてきてた、両親にはそんなことをしてなかったからちょっと優越感に浸ってたなぁ。
『ナァ~』
「みー婆、どしたの?」
祖父母の家ではゴロゴロとゲームをしていればそばにいる小さなみー婆が声をあげる。ゲームを中断してみー婆を抱っこすると尻尾がふんふんと揺れている。
どうやら構って欲しかったらしい。
「潤ちゃん、みーちゃんに面倒見られてるねぇ」
「違うよー。俺がみー婆の面倒見てるんだよ」
みー婆を抱っこしてなでなでしているとそうやって爺ちゃんや婆ちゃんは俺がみー婆に面倒見られてると言うがとんでもない。
なんて反論するが、爺ちゃんも婆ちゃんも決まって顔をしわくちゃにしながら笑って、そうかいそうかいと言うんだ。
「潤ちゃんがちんまい頃はみーちゃんがお世話してたんだよ? 今じゃ潤ちゃんにだかさってるけどねぇ」
「みー婆、本当?」
『ナァ、ナァ!』
そうよ、覚えてないのかしら!と撫でてる手をしきりにぺろぺろ舐めてお世話してたアピールしてるみー婆に婆ちゃんは笑ってた。
「潤ちゃん、みーちゃん連れてきてくれる? そろそろ晩御飯よ?」
「わかったー、みー婆行くよ」
婆ちゃんがそう言って姿を消せば、俺はみー婆を抱っこしたまま家族がいる居間へと向かう。みー婆を下ろそうとしたんだけどがっしりしがみついてるから抱っこしたままだ。
「潤、まーたみーに面倒見られてたんか? 相変わらず甘えん坊じゃの」
「だから違うって!みー婆の面倒見てたんだよ」
「ほーけほーけ、ほれ今日は寿司取ったからな」
爺ちゃんも婆ちゃんとおんなじ事言って笑って父さんと酒飲んでる、母さんは婆ちゃんと夕飯の準備してるし俺の味方はみー婆だけのようだ。
「みー婆のお世話してるのは俺だよね?みー婆」
『ナァ~』
はいはい、そうね。と呆れる様に鳴くみー婆の肉球をむにむにして鬱憤晴らしをする。みー婆の肉球はぷにぷにしてあんまり触らせてくれないけど今回は無理やり触ってやるもんね!
みー婆の肉球を触っていれば夕飯の用意ができたのか俺の前に小皿とお箸が並べられる。そして出前のお寿司が真ん中に置かれてさっきまでの鬱憤は綺麗になくなった。
「それじゃあ食うけ。遠慮せんでええからな」
『いただきます!』
と手を合わせてみんなでお寿司を食べ始める。膝の上にいるみー婆もふんふんと鼻を鳴らしてテーブルの上を覗いているけど、いい子だから登ったりしないでお座りしてる。
「みーちゃん、ご飯よ」
と婆ちゃんがネタの部分を取り分けるとちらっと見ただけで動こうとせずにじーっと俺の方を見上げてぺろぺろと自身の口元を舐めている。
『ナァ』
「…みー婆、婆ちゃんが用意したじゃん。もー」
お腹すいたわ、と鳴くみー婆に俺は食べようと思ったマグロのネタ部分を取って軽く咀嚼してから手に出してみー婆に近づける。
『ナァ~…ハグ…ハグ…」
「毎回シャリしか食べられないんだけどみー婆ー」
ネタの部分を取られて、俺はシャリだけを醤油につけてなんとも味気ない寿司を食べる。みー婆はといえばマグロを食べ終えて次よ、次と俺の手のひらをぺろぺろしておかわりを催促してくる。
「潤、たまには面倒見てやれ。潤が帰ると寂しそうにしとるからな」
『フシャッ!』
爺ちゃんが酒飲みながら赤い顔して笑ってそんなこと言えばみー婆はだまらっしゃいとばかりに爺ちゃんに威嚇してる。ほんとかなー、みー婆。
「潤ちゃんの分はちゃんと取ってありますよ、だからみーちゃんにご飯お願いねぇ?」
婆ちゃんにそう言われればまぁ…面倒見てあげるか。ほらみー婆、次は何食べたいの?
『ミィ!ミィ!』
あれよ!あれ!と甘える様な声で鳴きながら見つめる先にはサーモンがあった。はいはい、サーモンね?ちょっと待ってて。
ネタの部分をまた軽く咀嚼して食べやすくしてから手に出してみー婆の前に差し出せば大好物なのかガシッと俺の手を押さえて逃がさない様にしてサーモンをハグハグとしていくみー婆…
すっかり俺の手はお皿代わりにされてしまった。はぁ、またシャリだけ寿司だよ。
そんなふうにしてみー婆が食べたいものを選んではネタだけ奪われて、粗方食べて満足したみー婆は俺の膝の上で丸くなってすっかりリラックスモードだ。
「よかったわねみーちゃん、潤ちゃんに食べさせてもらって」
『ナァ~』
膝の上にいるみー婆は婆ちゃん撫でられて目を細めて尻尾をふりふり、俺はおしぼりで手を拭いてからようやく寿司にありつけたのだった。寿司うまうま。
夕飯が終わればお風呂に入って、みー婆に纏わりつかれながら歯磨きして就寝だ。両親は爺ちゃん達と話したりテレビ見てるけど俺はそろそろ眠いからね…ふぁぁ…
『ナァ~』
「潤ちゃんねんねかしら? みーちゃん、よろしくね」
みー婆がそろそろ寝るわね、と婆ちゃんに鳴けばいつの間にか敷いてある布団へとみー婆に案内されて横になる。しかし婆ちゃん…何がよろしくなんだ?
「みー婆、消すよー」
『ナッ』
薄手の毛布に入り込んで電気を消せばみー婆がモゾモゾと毛布の中に入ってきて俺の上に乗って香箱座りで顔を出す。
毛布がもこってして、ふんすふんすとみー婆の鼻息が当たっててくすぐったいけどもう慣れたよ…。
『ナァ~ォン』
「んー、おやすみみー婆…」
みー婆を軽くなでなでして、目を閉じれば胸元があったかくてすぐさま眠気が訪れる。尻尾がゆらゆら揺れてるけどみー婆もまったりできてるんだろうね………
……
…
『ナァ~』
「ん、あぁ…ごめんみー婆。うとうとしてた」
目を開けるとそこにはもこもことした大きなぬいぐるみみたいなみー婆がじっとこちらを見つめて呼んでいた。
『…ナァ…』
お寝坊さんね…と呆れる様な声で鳴くみー婆に苦笑しながら抱きつく様にしてなでなでする。おはようみー婆。
「みー婆との昔の夢見てたんだよ、みんな俺がみー婆にお世話されてるって言うんだけど違うよね?」
『ナァ~』
爺ちゃん婆ちゃん家で遊んだりお寿司食べたりと見ていた夢の話をすれば、みー婆はそうねぇ~、なんてはっきりしない感じで鳴いて機嫌よさそうに尻尾をふりふりするのだった。
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