スキル【レベル転生】でダンジョン無双

世界るい

文字の大きさ
19 / 41

第19話 狂喜乱舞

しおりを挟む
「……ふぅ」

 神剣を鞘に収める様は一ノ瀬さんの容姿の美しさと相まって、映画のワンシーンのようだ。

「お疲れ様。一ノ瀬さんやったね」

「はい、辰巳君のおかげで戦い抜くことができました。本当に感謝します」

 腰を深く曲げて礼をする一ノ瀬さんに、そんな大げさな、とは思ったが、これが彼女の性分というか性格なのだろう。

「一ノ瀬さんの役に立てたなら嬉しいよ」

「はい、誰かとパーティを組むということが今までなかったので比較できないのですが、その、辰巳君がサポートしてくれてるとすごく戦いやすくて、その、イイ感じのデュオだったと思いますっ」

 その言葉に道中の雑魚戦や今のボス戦を思い返す。俺は決定打に欠けるが、素早く敵を翻弄し、牽制するカバースタイルだ。逆に一ノ瀬さんは一撃さえ当たればそれが必殺となりうる強ダメージディーラー。

「……確かに、相性がいいかも知れない」

「ですよねっ、ですよねっ。フフ。なんだか私、すごく今嬉しいです」

 第一印象はクールで大人っぽいお姉さんというイメージだったが、感情をストレートに表現して笑顔でクルクルステップを踏んでいる姿を見ると、まったく正反対な印象に変わってくる。

「っと。それよりドロップ、ドロップ」

 俺はブンブンと頭を振り、浮かれた思考を追い払う。

「あ、辰巳君っ、三個も落ちてましたよっ!」

「流石は高LUK」

 なんだか某便秘薬の名前みたいになってしまった。ちなみにボス箱は参加者のLUKの合計値/人数、つまりLUKの平均値で箱の数や中身が変わる。俺は相変わらずの低空LUKだが、一ノ瀬さんが高いため、銀箱、緑箱、青箱の三つが出てきた。

「銀の箱は高級感がありますね……」

「うん、俺も実物は初めて見たけど、ファンタジー感があっていいね。……これは最後に開けない?」

「フフっ、いいですよ。じゃあ私がこの緑と青を開けちゃいますね?」

「お、おう」

 ということは銀箱は俺に開けさせてくれるのか。ちょっと緊張する。

「えぇと、青からは【HPポーション(中)】と、緑からは【ゴブリンの腰ミノ】が出ましたね。ちなみに私は絶対に装備する気はありませんから」

 ニコリと笑って釘を刺された。スライムパーカーの件をまだ根に持っているのだろうか。あれは故意じゃない。事故、過失なんだ。

「まぁ、残念ながら当たりではなかった感じだね。……さて、銀箱を開けてみようか」

「はい……」

「いくぜぇ、ハッ!!」

 気合が入りすぎて、なんか無駄に叫んでしまった。そして銀箱に手が触れた瞬間、ポップアップには──。

火焔単筒かえんたんづつ】AGI+30 DEX+30 乗算ボーナスAGI、DEX1.10倍。通常攻撃時属性付与【火炎】、と。

「うおぉぉおおおお、ハンドガンきたぁぁああああ!! しかもレアっぽいヤツっ!! よっしゃああああああ!!」

 俺はこの一ヶ月ずっと待ち焦がれていた左手武器のドロップに心から喜んだ。そりゃもう狂喜乱舞した。早速装備し、左手に収まった洗練されたフォルムのハンドガンを見つめてニタニタし、ウキウキしながら構える。そんな姿を──。

「……ハッ!?」

 一ノ瀬さんがニコニコしながら見ていたことにようやく気が付いた。

「…………いや、だって、ずっと出なくて、しかもE5ダンジョンで落ちる武器としては最上位クラスで……。あの、ごめんなさい。忘れて下さい」

「フフ。はしゃぐ辰巳君も可愛かったですよ?」

「……恥ずかしすぎる」

 子供っぽいと思われただろうか。いや、まぁ実際大人びているとは思っていないから、間違ってはないのだが、落ち着きがないガキと思われるのは好ましくない。

「フフ、辰巳君。おめでとうございます。装備揃って良かったですね」

 しかし、一ノ瀬さんは全然そんな感じで見ている雰囲気ではない。俺はチラリともう一度火焔単筒を見て、このままだとまたニヤニヤしてしまうと思い、アイテムボックスに仕舞う。そして首を傾げて、肩を揉みほぐした後──。

「うん、ありがとう。その、俺も一ノ瀬さんのおかげで前へ進めそうだよ」

 なんとなく照れくさいけども感謝の言葉を口にする。

「はいっ。これからも一緒に頑張りましょうっ」

 これから……。

「……うん。そうだね」

「……え。もしかして辰巳君は、もう私とのパーティがイヤになって……」

「いや、違う違う。その、一ノ瀬さんとは衝撃的な出会いから流れでこうなったけど、ちゃんとお互いの状況や攻略のスタンスとか予定とか色々相談しなきゃいけないよな、って思って」

 今日のところはオールオッケーだ。だが、明日からは・・・・・どうするつもりなのかを聞く必要がある。

「!? そ、そういうことでしたか……安心しました。てっきり、愛想を尽かされたと落ち込む寸前でした」

「あー、言葉が足りなくてごめん」

「いえ。誤解が解けて良かったです。そうですね、辰巳君の言う通り今後についてしっかり話し合いましょう。では、どうでしょうか? 夕飯を食べつつ、ミーティングをしませんか? ダンジョン攻略ミーティングですっ」

 何が嬉しいのか、目を輝かせながらミーティングをしたいと言う一ノ瀬さん。

「そうだね、そうしよう」

 断る理由もないし、必要なことだと思うのでそれを了承する俺。

「はいっ。では、お店はどこにしましょうか?」

「一ノ瀬さんは食べたいものある?」

「できれば、色々なメニューがあるお店がいいかも、です……」

「なるほど、了解」

 俺は頭に候補がいくつか浮かび上がる。その中で、今の気分で一番食べたいのは──。

「どうだろう、一ノ瀬さんはイタリアンって好き?」

「! イタリアンっ、好きですっ」

「よし、決定。じゃあ行こうか」

「はいっ」

 こうして俺たちは世田谷ダンジョンを後にし、仙川の駅前へ向かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

処理中です...