スキル【レベル転生】でダンジョン無双

世界るい

文字の大きさ
31 / 41

第31話 ヘルファイア

しおりを挟む
 さて、四層だ。岩陰に三人で隠れて辺りを見渡す。四層では新たなモンスターは出現しないため、ウルフとポンポコ、カマイタチが仲良く徘徊しているだけだ。

「じゃあ、アンナの実力を見せてもらっていいか?」

「うぃー」

(なぜフランス語?)

 まぁ、特に意味はないのだろうと思い、ツッコミはいれない。そしてアンナは──。

「アンナ、いきまーす」

 世代を超えて愛される名フレーズを口にし、上空へ舞い上がった。

 バババババババ。

 機械式の翼と両足のスラスターから爆音と熱風が巻き起こる。モンスターたちもその音に気付いたようで、何事かとアンナを見上げた。

「アンナ、FOX1」

 アンナはチラリと俺たちの方を向いて何事か喋った。──が、良く聞こえない。

「もっと大きな声で頼むー!!」

 俺がそう言うと、アンナは少しブスッとした表情になり、あのふざけた口の開け方ではなく、きちんと唇を動かし、何かを伝えようとしてきた。

「ヴぉ……、ン……? いや、分からんわ」

 必死に唇の形を見て考えるが、さっぱり分からない。分かったことは唇を噛んだり、閉じたりを強調しているので、英語だということだろう。というか、普通に唇動かせるなら今後もそっちで喋れよと思う。

「アンナさんはFOX1と伝えていますね。これは友軍に対し、今からセミアクティブレーダー誘導ミサイルを撃ちますよというシグナルです。こちらの世界だとスパロー等になりますが、アンナさんの装備のサイズから考えて、単にアンナさんの照準に映った相手に対する誘導ミサイル、ということでしょうね」

 グッ。

 一ノ瀬さんの言葉がアンナにも届いているようで『流石ヒカリ、正解』とでも言わんばかりに、したり顔で親指を立てている。

「……さいですか」

 なんで一ノ瀬さんがそんなことを知っているのかは考えないようにし、とりあえずアンナは誘導ミサイルを撃つらしい。というか、撃った。

 シュー、ドドドド、ドォーン、ドォーン。

「………………」

 攻撃は僅か数秒で終わった。モンスターたちは跡形もなく消え去り、地面からは黒煙が立ち上る。数十メートル先のダンジョンが焦土と化した。

「フフ、これではスパローと言うよりヘルファイアって感じですね」

 そんな惨状を見て一ノ瀬さんは笑いながら冗談らしきことを言った。だが俺にはヘルファイアが何か分からないため、どこが面白いのかさっぱり分からない。

「…………」

 若干気になってしまったため、スマホを取り出して調べてみる。どうやらヘルファイアは空対空ミサイルではなく、空対地ミサイルのことらしい。しかし、調べたところで何が面白いのかはさっぱり分からなかった。

「ふぅ。どう?」

 アンナが地上に降り立ち、一仕事終えたぜー的なさわやかさを出しながら聞いてくる。

「アンナさん、流石です。とても良い絨毯爆撃でした」

「それほどでもある。ヒカリもっと褒めてもいい」

「おい、待て待て。アンナ、お前行く先々のダンジョンを焦土化するつもりかっ!?」

 俺はついにツッコんだ。三人寄らばツッコミが必要とはよく言ったものだ。しかしあえて言うなら俺はツッコミよりボケの方が良かった。

「安心してフレンドリーファイアはしない」

「いや、無理だろ。あの攻撃範囲なら俺たちも絶対巻き込まれる。いやまぁ、百歩譲ってダンジョン内ならいいけど、ダンジョンオーバーの時にあれは絶対ダメだからな?」

 それはそうだ。最悪、ダンジョン内なら俺たちが消し炭になったとしてもリスポーンされるし、ダンジョンは再形成されるだろうから。しかし、ダンジョン外であれに巻き込まれれば、俺と一ノ瀬さんは普通に死ぬし、周りの住民は死ぬし、家屋や建物に甚大な被害が出る。それを考えれば当然の指摘だろう。

「ふぅー、タツミうるさい」

 えー。

「フフ、アンナさん、そんなことを言ってはいけませんよ。辰巳君はアンナさんのお父さんなんですから」

 お父さん? 俺が? こいつの?

「えー、ヤダ。私ヒカリんちの子になる」

 おー、好きにしろ、好きにしろ。

「じゃあアンナさんは私と辰巳君の子供です」

「「え?」」

 冗談だとしてもブッ飛んだ発言に俺とアンナは同時に声を上げる。

「フフ、冗談ですよ。それに辰巳君もあんまり怒らないであげて下さい。アンナさんだってちゃんと考えることができるんですから」

「…………」

 確かに、アンナの考えを聞かずに決めつけてしまったのは良くなかった。

「……ふぅ、分かったよ。アンナちくちく言ってすまん」

「……ヒカリに免じて許す。……でも私、頑張った。褒めろ」

 ブスっとした表情でそんなことを要求してくるアンナ。褒めろっつったって。

「…………頼りにしてるぞ」

「……ん」

 言葉少なにそう言って、ちっちゃい頭をガシガシと撫でる。

「フフ、親子って素敵ですね」

 そんな俺たちを見て、一ノ瀬さんはまだ変なことを言っていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

魔法使いじゃなくて魔弓使いです

カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです 魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。 「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」 「ええっ!?」 いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。 「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」 攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

配信者ルミ、バズる~超難関ダンジョンだと知らず、初級ダンジョンだと思ってクリアしてしまいました~

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)
ファンタジー
女主人公です(主人公は恋愛しません)。18歳。ダンジョンのある現代社会で、探索者としてデビューしたルミは、ダンジョン配信を始めることにした。近くの町に初級ダンジョンがあると聞いてやってきたが、ルミが発見したのは超難関ダンジョンだった。しかしそうとは知らずに、ルミはダンジョン攻略を開始し、ハイランクの魔物たちを相手に無双する。その様子は全て生配信でネットに流され、SNSでバズりまくり、同接とチャンネル登録数は青天井に伸び続けるのだった。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

処理中です...