スキル【レベル転生】でダンジョン無双

世界るい

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第39話 茜は最強だよ?

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「さて、もうこんな時間になってしまいましたので、私はそろそろ失礼しようかと……」

「「「えぇ~……」」」

 時計の針は十時に差し掛かるところだ。確かに常識的に考えれば、一ノ瀬さんの帰るタイミングはこの辺りだろう。だが、両親と茜は本気でイヤそうな声で引き留め始めた。

「ヒカリちゃん、泊まってけばいいじゃーん」

 親父は相変わらずのウザさを発揮しているし。

「そうよ。遠慮することないわよ。疲れてるだろうし、今から運転なんて危ないじゃない。それに寂しいわよ? 私たちが」

 母さんが寂しいと言えばうんうんと頷く親父と茜。アンナ? ソファーでガチ寝している。こいつが本当にオートマタがどうか怪しくなってきているが、真相究明は別にどうでもいいとも思ってしまっている。

「茜、お姉ちゃんと一緒にお風呂入って一緒に寝るっ!!」

 そして茜は駄々っ子モードだ。その目と言葉には折れない覚悟が感じられる。

「ハァ、みんなちょっとは一ノ瀬さんの気持ち考えろよ。初対面の、ましてこの状況で気が休まるわけないだろ」

 なので俺はどうしたものかと困惑する一ノ瀬さんに助け舟を出した。

「「「んっ!!」」」

 だが両親と茜は俺の言葉は間違っていると言わんばかりにソファーでパンツとお腹丸出しでイビキをかいて眠るアンナを指さす。

「……ぐ、こ、こいつはオートマタだから例外だろっ。とーにーかーく、これ以上一ノ瀬さんを困らせるならもう二度とウチには連れてきませんっ」

「「「「えっ……」」」」

 いや、一ノ瀬さんまでそんな悲しそうな顔しないで欲しいんだが? え、俺余計なこと言ってる?

「わ、悪かった。辰巳。もう娘に会えないなんてそんな寂しいことは耐えられないから今日は我慢する……」

「わ、私もよ。タツミ、ごめんなさい」

「ひぐっ、ひぐっ……。おにいちゃぁぁぁあんごめんんん。もうワガママ言わないから、またお姉ちゃんづれでぎでぇぇええ」

「た、辰巳君……。あの、わ、私も皆さんのノリについていけるよう努力するんで、お願いしますっ、そんなこと言わないで下さい」

「い、いや、みんなしてなんだよ……。別に俺は只、一ノ瀬さんに迷惑を掛けたくなくて……、ハァ、もういいや。一ノ瀬さん遠慮せず自分の身は自分で守るんだ。親父なら死なない程度に殴っていいし」

 なんかこの場で常識人でいようとした自分がアホらしく思えてしまった。一ノ瀬さんって別に気が弱いわけでもないし、流されるような人でもないから放っておいても大丈夫かと思い直し、そう告げる。

「「「やったーー、辰巳 (タツミ)(お兄ちゃん)からお泊りの許可が出たー!!」」」

 出してねぇよ、そこは。と思ったが、もう知らん。放っておく。

「へへ、お姉ちゃん一緒にお風呂入ろー」

「え、えぇ。でも、大丈夫です? 辰巳君拗ねちゃってますよ? あ、だったら辰巳君も一緒に入りますか?」

「ハァ!?」

 真顔で首をコテンと傾けて一緒に入りませんかと尋ねてくる一ノ瀬さん。正気か?

「入らねぇ」

 一瞬、ちょびっとだけ気になってしまったが、冗談に決まっているので邪な考えは打ち消す。

「フフ、残念です。じゃあお言葉に甘えて、お風呂借ります。茜ちゃんいこっか」

「うんっ」

「うんっ」

「おい、待てクソ親父。母さんに殺される前に止めてやるからやめとけ」

「……うんっ」

 二人のあとを付けようとした親父の肩をグッと掴んで止める。母さんがキッチンから32㎝鉄製中華鍋を掴んで出てきたタイミングだったため未遂で済んだ。

「んじゃ、タツミ。二人が出たら次はアンタ入っちゃいなさい」

「あいよ」

「ッケ。どうせヒカリちゃんと茜がキャッキャウフフしてる浴槽のお湯をジャブジャブ飲む気だろうが、この変態息子っ!!」

「ハァ……。なんで母さん、親父と結婚したの?」

「……タツミ。人生はね、難しいものなのよ。後悔は先には立たないの。でも、アンタと茜のことは愛してるわよ」

「……ありがと」

「おーい、父さんのことも愛してくれー」

 そんなことを話しながら一ノ瀬さんたちが風呂から上がるのを待っているのであった。


 一方、その頃、お風呂では──。

「ふふふーん、お姉ちゃんとオッフロ♪ お姉ちゃんとオッフロ♪」

「フフ、茜ちゃんはカワイイね」

 茜がご機嫌ですっぽんぽんになっていた。同性に対する恥じらいもないのだろう。ヒカリは少しだけ恥ずかしいなと思いつつも服を脱いでいく。

「わっ、お姉ちゃんおっぱい大きい」

「えと、その、少し恥ずかしい……かな」

 正直に言えば、年下の女の子に下着姿をマジマジと見られるのは少しではなく、かなり恥ずかしかった。

「ウェスト細いし、足長いし、肌白いし、ウチのお姉ちゃんスゴすぎる……」

「えと、茜ちゃんももう少ししたらそうなれると思うよ?」

「えー、なれるかなぁ。おっぱいツルペタだし、腰もすとーんだし、お尻もちっちゃいし……」

 ヒカリは茜の言った順に体型を見ていき、何の誇張も謙遜もないことに少しだけ苦笑いし、どうしたものかと頭を悩ませた。

「ま、いっか! さぁ、お風呂だぁ!」

「フフ」

 ヒカリは茜のこういう無邪気なところがとても好きであった。自分にはないストレートな感情表現とでも言おうか。

「まっずはシャンプ~♪」

 歌いながら体を洗っていく茜。

(妹がいたらこんな感じなのかな)

 あまりに日常とかけ離れた状況のため、ヒカリはどこか現実感が湧かないまま、茜を微笑ましく見つめる。

「お姉ちゃん背中洗ってー」

「フフ、はいはい」

(小っちゃくてスベスベしてて、気持ちいいな)

「うにゅにゅ、なはははは、くすぐったいっ」

「えいっ」

「アハハハハハッッ!!」

 スポンジで脇をつついてみた。効果は抜群だ。

「はい、流すね」

 あまりイジワルしては可哀そうだと思い、その後はくすぐったくならないよう気を付けて洗い、シャワーで流す。

「ふぅー。お姉ちゃんありがと! じゃあ次茜の番ね?」

「え、……う、うん」

 ヒカリはこの時少しだけ嫌な予感がした。

「ふっふふーん、きっれっいにな~れ♪ きっれっいにな~れ♪」

 だが、それは杞憂に終わり、楽しげに歌いながら背中を洗ってくれるだけだ。しかし、ヒカリがホッとした瞬間であった。

「おっとっと。えいっ」

「キャッ」

 掴まれた・・・・。確信犯であろう。

「茜ちゃーん?」

「えへへ、ごめんなさいっ」

「悪い子には、こうっ」

「わぷっ」

 ヒカリはシャワーを茜の顔に掛ける。

「ぺっぺ。おえ゛ぇ……。ちょっと飲んじゃったっ……てへっ」

「え、その、ごめんなさい」

 とても可愛らしくないえづき方をした後、天真爛漫な笑顔で笑う茜に対して、ヒカリは感情が追い付かなかった。

「さ、入ろーっ」

「う、うん」

 しかし茜はマイペースであった。ヒカリは頭のノートに茜は何してもいい子という失礼な一文を書き加えるのであった。

「お兄ちゃん今何してるかなー」

 お風呂に二人でつかり、のんびりしていたら茜がふとそんなことを漏らす。

「んー。なんだろうね。想像つかないかな」

「茜には分かるっ。絶対今お姉ちゃんの裸想像してるっ」

「えぇー……。辰巳君はそういうのあんまり考えないんじゃないかなぁ」

 力説する茜に少しだけ引くヒカリ。

「じゃあ勝負ね。お風呂から上がって、お兄ちゃんにお姉ちゃんの裸想像した? って聞いて困ったら茜の勝ち、困らずにアホって言ったらお姉ちゃんの勝ちでどう?」

「うん、いいよ。罰ゲームは何にする?」

「んー。勝った方の言うことを一つ聞くっ!」

「フフ、変なのはダメだからね? それでいいよ」

「わーい。フフ、お兄ちゃんの妹を十二年間やってきた茜を舐めたのがお姉ちゃんの敗因だよっ!」

「茜ちゃんって可愛いし、お利口さんだよね」

 ヒカリは茜のことが無性に可愛くなり、頭を撫でてしまう。

「えへへ~♪」

 こうして二人は父、洋の言った通りキャッキャウフフしながら仲良く入浴をし、そして決戦の時を迎えた。
 
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」

「ん? なんだ? って、まだ髪濡れたまんまじゃん。夏でも髪乾かさないと風邪ひ──」

「あのね、あのね、お姉ちゃん脱いだらおっぱいすっごくおっきくて、フワフワだったよ」

「なっ……、ハァ? お前何言って──」

「お兄ちゃん、お姉ちゃんの裸想像したの?」

 その一言につられて辰巳はヒカリへと視線を向けてしまい、そして頬を赤らめてしまう。

「バッ、お前、そういうのはプライベティのだなっ」

「はい。お兄ちゃん動揺した。茜の勝ちぃ~♪ いえーい」

「茜ちゃん、それはズルだよぉ……」

 その様子を見ていたヒカリは力のない声で敗北宣言をし、したり顔の茜は卑怯な手を使って勝ちを収めるのであった。
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