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いい声しているな、一緒にやらないか?(5)

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「やれやれ、必要なくなったかもしれないけど、一応クレッシェ君に私がお手本を見せなきゃいけないかな」

 ピアッソ・アルトが歌術を唱える。

「燃えろ! いい男♪」

ぼわぁ

 ピアッソ・アルトの体が炎で出来た鎧に包まれた。ホワイトベアーがそれを見て明らかに嫌そうな表情をした。

「やっぱり、北に生息するモンスターだけあって、炎は嫌いなようね」

 ピアッソ・アルトはホワイトベアーとの距離をつめた。ホワイトベアーがピアッソ・アルトをぶっとばそうと前足を大ぶりでふりまわした。ピアッソ・アルトは落ちついてそれを見切り、炎の鎧でまとわれた体で重さののったミドルキックをいれた。

「ぐおおお!!」

 ホワイトベアーは苦しそうな雄叫びをあげた。すかさずピアッソ・アルトはパンチやキックで連打をくわえた。ホワイトベアーは耐えきれなくなり、その巨体を支えられなくなった。

ずしぃぃん

 ホワイトベアーが地面に倒れた。ピアッソ・アルトが動けないことを確認し、一行は安心した。

「やっぱり回復薬は必要だったみたいねノクターン」


「うるせぇ、こんなのかすり傷だ」

「素直に治療されなさいよ。今日は誰のおかげであのホワイトベアーを倒せたと思っているのよ?」

「くっ……」

 ノクターン・ベースは渋々と治療を受けることにした。

「ぐぐぐ……」

 ホワイトベアーがうめくと、その巨体は縮んでいき、人型に近い状態となっていく。熊らしい部分は、腕と脚に残った白い毛皮と、手足の鋭い爪、白く毛深い顔ぐらいだった。逞しく発達した胸筋と腹筋が露わになり、それはまるで人間のもののようだった。

「わわわ! ホワイトベアーが変身した!」

「あれは変身というよりかは変身を解いたんだ。ホワイトベアーは戦闘モードではまさに巨大な白熊になるが、それ以外の場面ではあんな感じの人型になるんだ。ああなったってことはもうあいつは闘えない。今のうちにとどめを刺そう」

「うぐぐぐ……」

 クレッシェ・ソプラはホワイトベアーの目を見て、何かを訴えているように思えた。

「ノクターンさん! ちょっと待って貰えませんか!」

「駄目だ、こいつは危険だ。とっとと殺すのが一番正解だ」

「まぁまぁ、今日に関してはクレッシェ君が思わぬ活躍したしいいじゃないの。ねぇ途中で倒れたノクターン?」

「ちっ! あいつが怪我しても治療はしねえからな!」

 クレッシェ・ソプラは祖父との思い出を蘇らせた。祖父が動物と語り合う時に歌っていた曲があった。それを歌えばもしかしたらと思った。

「心の瞳で~~あなたを見つめれば~~♪」

 クレッシェ・ソプラの視界が一気に変わった。



(これは人の記憶の風景かな? まるで覗き込んでいるようだ……一体に何が起きたんだ……あっ、人型のホワイトベアーがいる。あの顔は今さっき闘っていたホワイトベアーだ、それにもう一匹の方は酷く傷ついている……)

「しっかりしろオスティナート! 何があったんだ!」

「ルバートか……俺は人間達を見ていただけだった……俺を見た瞬間に形相を変えて攻撃をしかけてきやがった……突然の事に対応できず逃げるのが精一杯だった……」

「最近この山林を開発しようとしている奴らだな! あいつら! 自分達の都合で俺達の住処を奪いやがって! 挙げ句の果てにお前まで……っ!」

「仕方ない……人間の都合で俺達の住処を力ずくで奪い取っても、それを罰する法律はない……俺達は人間じゃないから人権なんてない……」

「今すぐお前の仇をとりにいく!」

「待て……俺が死ぬまで一緒にいてくれないか……」


「死ぬなんて言うな! もう一度言ったら今すぐこの場で俺が殺すぞ!」

 死というワードがきっかけか、ルバートはの目からいつしか涙が出ていた。

「今だから言えるな……俺はお前を愛している……」


「オ、オスティナート……いくらお前とはいえ、俺の嫁さんを裏切るような事はできない……」

「いつしか好きになっていた……お前に異性の恋人ができても……ずっと友達ならそれで幸せだった……でも死に際だからこそ、ワガママを言いたい……俺はお前に抱かれたい……」

 ルバートは数秒ほど考えた。様々な葛藤が彼の中でよぎった。

「この山を守るために雌を愛し、子孫を残すのが一番正しいことと思っていた……だがそれは俺の中でも正しいってわけじゃねえ!」

 ルバートはオスティナートを抱きしめた。

「後で俺は嫁さんに殺されるだろうな。今からお前と一緒に交尾をするからな」

「死んで貰っちゃあ困るな……お前にはこの山を守って貰いたい……」

ちゅっぱ ちゅう

 二人は口付けを交わす。これが最初で最後の禁断の交わりと分かり、二人は懸命に互いの味を知ろうと舌を絡め合った。

「オスティナート、これがお前の味か。なんと愛しくなる味なんだ……」

「俺もだルバート。やばい状態なのに、心臓はすごいドキドキしているぜ……」

 次に互いは69の体勢となり、互いの性器をなめ回した。

じゅっぽ じゅっぱ ちゅううっぱ

 オスティナートの性器の愛撫の仕方に力はなかったが、ルバートはただオスティナートを喜ばせたいと、逞しく大きく勃起した性器を全てくわえ込むにフェラチオをした。

「ごめんな……この体だとあまりお前の性器を気持ち良くできないや……」

 ルバートは右手で自分の性器を握りこみ、オナニーをする。さらにその性器をオスティナートがなめ回す体勢となる。

「これでいいだろ? イク時は一緒だ」

「ありがとう……もう愛がいっぱいで溢れそうだ……」

「俺もだ!」

 二人の性器が激しく脈動した。

びゅる びゅるる びゅくん

 ルバートとオスティナートの口内に大量の精液が送り込まれた。二人とも互いの精液を喉奥へと送り込んだ。

「これがオスティナートの精液の味、匂い! 忘れん! 絶対忘れんぞ!!」

「ルバートのミルク……とっても愛に溢れた味だ……」

「オスティナート、いいか?」

 ルバートは自身の性器をルバートの肛門に押し付ける。

「思い切り突いてくれ……俺はお前の全力の愛を受け止めたい……」

 オスティナートの力のない笑顔を見て、ルバートは性器を一気に押し進めた。

ぬぶぶぶぶ

 オスティナートはお腹の内部から押される圧迫感、そして裂けるような痛みに顔を歪めた。

「駄目だ! お前が痛そうに見えても気持ち良すぎて俺の愛が抑えきれねえ!!」

ずぶん ずぶん ずぶん
 
 ルバートは全力で腰を振った。オスティナートの挿入部から赤い血が流れている。

「まるでレイプだな……でもよ、この痛み……お前の不器用な愛を感じ取れていいな……それにお前のが大きくて固くて太くて熱くて……なんだか上手く表現できねえけどすげえいい……」

 二人の限界はすぐそこであった。

「オスティナート! これが俺の愛だ! 受け取れ!」

「ルバート……お前の愛一生分注ぎ込んでくれ……」 

びゅううう びゅるるる どくっどくっ

 オスティナートの体内にルバートの雄雄しい愛が大量に注ぎ込まれた。

「あぁ……熱い……熱いけど……すごい気持ち良いよ……」

「できることならずっと射精してえ、俺の愛が尽きるまで全部注ぎ込みてえ……」

 ルバートがオスティナートの目を見た。その目を見て、その瞬間がすぐそこまで来ていると察した。

「ありがとう……人生で一番幸せな時だった……」

 オスティナートはルバートに抱かれた状態で静かに目を閉じた。

「オスティナァァァァァトォォォォ!! ぐおおおおおおおお!!」

 ルバートの咆哮が山に高々と響き渡った。
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