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番外編:全国大会行きよ決まれええ!!
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全日本合唱コンクール東北大会の全参加団体が演奏を終え、ついに審査の時間がやってきた!
「それでは、審査発表です!」
観客席に、全日本合唱コンクール東北大会に参加した全ての団体が集まっていた。皆が緊張した面持ちで発表を待っている。
ステージには各合唱団の代表者があがり、賞状を受け取る。岸或斗もその一人だ。主催者より、合唱団の名前と賞の名前が告げられる。初めに中学部門、高校部門の発表からである。
パチパチパチ
銅賞、銀賞と告げられた学校にも拍手は贈られるものの、この時点で全国大会への切符は閉ざされ、泣いてしまうものまでいた。
「AKT高校女子合唱部、ゴールド、金賞です!」
「きゃああああ!!!」
同じAKT県の女子高生達が歓喜する声が聞こえた。カオスシンガースのメンバーもそれを見て微笑ましくなる。
「同郷のものとして、嬉しく思うぜ!」
「本当そうだね♪」
左京恋奈、聖アデルが彼女たちを祝福した。
「……」
一方、馬上誠実、塩川聖夢はいつも以上に静かであった。二人にとっては、本番の大舞台よりも、むしろこの発表前の時間こそ緊張する時間であったのだ。
「それでは、大学部門の発表です」
いよいよ、発表の時間である。次々に大学の名前が挙げられていく。ここまで、金賞の大学はない。
「AKT大学混声合唱団、ゴールド、金賞です!」
「わあああああ!!!」
同じAKT大学の生徒達が歓喜した。
「金賞出ちゃったか……」
「なんだセーム! おめえ、このまま自分達の番まで金賞が出なければと思っていたんじゃねえだろうな!」
「まあ思っていたけどさ……」
「全国大会への切符は一つ埋まったが、あたしらは大学部門では誰よりも上手く演奏した! そういう自覚はあるだろ!」
「お、おう……」
「自信持て、努力は人を裏切らねえんだよ」
「セーム君、恋奈ちゃん、そろそろアルちゃんの番だよ」
舞台の岸或斗の表情はりりしく堂々としている。恐らくどんな結果が来てもその表情は変わらないだろうと思わせるものだ。審査員がカオスシンガースをどう評価したのか? その答えは後数秒後で聞ける。メンバーにとってはこの数秒間がとてつもなく長く、重く、苦しい時間である。
「AKT大学、カオスシンガース、ゴールド、金賞です!」
客席で見ていた四人の時間が一瞬止まった。彼らは一瞬現実を認識できなかったのだ。
「やったわよ皆――――――っ!!」
カオスシンガースの時間を動かしたのは岸或斗だった。賞状を両手で高々と上げて、メンバーにその様を見せつけた。
「うおおおおお――――――っ!!!」
「写真撮影はあたしに任せろ!! 建設業の必須科目だ!!」
ぱしゃり ぱしゃり ぱしゃり
左京恋奈がデジカメを使い、岸或斗の勇姿を撮影しまくった。
「……福島大学が残っている……」
メンバーが、馬上誠実の発言のよって、福島大学の存在を改めて思い出した。福島大学も完成度の高い演奏をしていた。まだ、全国へ行けると確定したわけではないのだ。
「福島大学、ゴールド、金賞です!」
「いえああああ!!!」
福島大学の生徒達が歓喜した。この瞬間、大学部門で全国大会への切符を握っている団体はカオスシンガースを含む三団体となった。
「駄目金なりませんように……」
メンバーが皆同じ事を思った。まだまだカオスシンガースの緊張の時間は続く……。
「それでは、全国大会行きの合唱団を発表します」
先程と同じく、中学、高校部門の団体から先に発表される。
「ひゃああああ!!!」
名前を発表された団体の生徒達が全力で喜びを表現した。両手を挙げて歓喜したり、泣きながら抱き合っている女子もいる。
「ああいうの見ると青春って思うね~」
「……俺も……皆とまだまだ青春がしたい……」
馬上誠実の独り言に皆がそう思った。
「馬上君、私もだよ♪」
「セーム、おめえあたりもうキツい練習嫌だから、もう全国行かなくていいやとか思ってねえだろうな~?」
「い、い、いやそんなことは……」
バシィィン
左京恋奈が思いっきし塩川聖夢の頭を引っぱたいた。
「バレバレなんだよこのっ!」
「どうせ正直に言っても叩くだろ……」
塩川聖夢はヒリヒリと痛む頭を抑えながらつぶやいた。
そんなこんなでとうとう大学発表の時間がやって来た。
「それでは、大学部門、全国大会出場団体を発表致します!」
メンバーの言葉も、呼吸も止まる。聞こえてくるのは心臓の音のみだ。
「ふぇっっくしょい!!」
「!?」
場の空気を読まない盛大なくしゃみをかましたのは聖アデルであった。メンバー皆が聖アデルに冷たい視線を送った。
「だって~、緊張で汗かいたら冷えちゃったんだもん~」
「AKT大学 カオスシンガース! AKT大学混声合唱団!」
メンバー一同は、極限の緊張を味わいながら全国大会行きのアナウンスを聞くという大事なタイミングを逃してしまった。
「……これも青春か……」
「アデルてめえ! お前が空気の読めないくしゃみかますから大事なタイミングを逃したじゃねえかああ!!」
ぐりりりり
左京恋奈が聖アデルの両拳で側頭部をはさみ、回しながらおしつけた。
「ふえぇぇ! 全国大会行き決めたから許してよ~~っ!!」
悟ったかのような態度の馬上誠実、怒り狂う左京恋奈、泣いて許しを請う聖アデルの姿を見て、塩川聖夢は苦笑いをしながらつぶやいた。
「これもまあ……カオスシンガースらしいのかな」
ステージ上での岸或斗もその様子を見て、呆れていたのであった。
全日本合唱コンクール東北大会を終えて数日後、大学内にカオスシンガース専用の部室が出来た。経緯として全国大会の実績を口実に、岸或斗が大学に話しかけたが、大学からは「そんな予算はない、そんなスペースはない」と言われ追い返された。そこで左京恋奈の祖父のゼネコンが圧力をかけ、ここ近年活動実績の無いサークルを廃部にし、そのサークルの部室を提供して貰うという事になった。
さて、本日はその部室にメンバーが全員揃っていた。会議室で良く用いる折りたたみ式の机とパイプ椅子に皆が座っていた。
「私達! 遂に! 遂に! カオスシンガース初の全国大会行きを成し遂げたのよ!!」
岸或斗が興奮している。
「なんか東北大会終わってから全国大会行ったって実感わくね~」
「……確かに」
聖アデルと馬上誠実が賛同した。
「しかし、まさか強豪の福島を破っての二位で、全国行きとは思わなかったな~~。まあ、AKT大学混声合唱団に負けていたのはひっかかるがな。全国ではリベンジしねえと!」
左京恋奈は早速全国に向けて燃えている。
「なんか、もうこの時点で満足だ、全国大会行きも決めて部室も貰ったし、もう充分幸せだ」
塩川聖夢からはもはや覇気を感じられない。そんな姿を見て左京恋奈が渇を入れる。
「おいおい! もっと欲張ろうぜセーム! ここまで来たら日本一を目指そうぜ!」
「よく言った恋奈ちゃん! では早速練習をしましょう!」
「うえ~~、私合唱はしばらくやんなくていいな~~、マジで歌うのが嫌いになるレベルで猛特訓しまくったんだもん」
岸或斗の「練習しよう」発言に、聖アデルは見るからに嫌そうな態度をとった。
「……皆ありがとう」
「突然どうしたの? セーム君?」
「いやさ、カオスシンガースにいたおかげで、自分の人生に初めて全国大会出場という歴史を与えてくれたし、多分今後皆の力が無いと、こんな大舞台には上がれなかったと思う……なんだか自分に少し自信が持ててきた」
塩川聖夢の言葉に皆が笑顔になった。
「皆同じ事を思っているわよセーム君!」
「……次は日本一の歴史を作ろう……」
「そう! 日本一を目指すために、問題となる事が一つ出てくるの! とても重要、みんなの協力が必要よ!」
日常の会話モードとなっていた岸或斗が、真面目な面持ちとなり、カオスシンガースの長のモードにチェンジしていた。
「それでは、審査発表です!」
観客席に、全日本合唱コンクール東北大会に参加した全ての団体が集まっていた。皆が緊張した面持ちで発表を待っている。
ステージには各合唱団の代表者があがり、賞状を受け取る。岸或斗もその一人だ。主催者より、合唱団の名前と賞の名前が告げられる。初めに中学部門、高校部門の発表からである。
パチパチパチ
銅賞、銀賞と告げられた学校にも拍手は贈られるものの、この時点で全国大会への切符は閉ざされ、泣いてしまうものまでいた。
「AKT高校女子合唱部、ゴールド、金賞です!」
「きゃああああ!!!」
同じAKT県の女子高生達が歓喜する声が聞こえた。カオスシンガースのメンバーもそれを見て微笑ましくなる。
「同郷のものとして、嬉しく思うぜ!」
「本当そうだね♪」
左京恋奈、聖アデルが彼女たちを祝福した。
「……」
一方、馬上誠実、塩川聖夢はいつも以上に静かであった。二人にとっては、本番の大舞台よりも、むしろこの発表前の時間こそ緊張する時間であったのだ。
「それでは、大学部門の発表です」
いよいよ、発表の時間である。次々に大学の名前が挙げられていく。ここまで、金賞の大学はない。
「AKT大学混声合唱団、ゴールド、金賞です!」
「わあああああ!!!」
同じAKT大学の生徒達が歓喜した。
「金賞出ちゃったか……」
「なんだセーム! おめえ、このまま自分達の番まで金賞が出なければと思っていたんじゃねえだろうな!」
「まあ思っていたけどさ……」
「全国大会への切符は一つ埋まったが、あたしらは大学部門では誰よりも上手く演奏した! そういう自覚はあるだろ!」
「お、おう……」
「自信持て、努力は人を裏切らねえんだよ」
「セーム君、恋奈ちゃん、そろそろアルちゃんの番だよ」
舞台の岸或斗の表情はりりしく堂々としている。恐らくどんな結果が来てもその表情は変わらないだろうと思わせるものだ。審査員がカオスシンガースをどう評価したのか? その答えは後数秒後で聞ける。メンバーにとってはこの数秒間がとてつもなく長く、重く、苦しい時間である。
「AKT大学、カオスシンガース、ゴールド、金賞です!」
客席で見ていた四人の時間が一瞬止まった。彼らは一瞬現実を認識できなかったのだ。
「やったわよ皆――――――っ!!」
カオスシンガースの時間を動かしたのは岸或斗だった。賞状を両手で高々と上げて、メンバーにその様を見せつけた。
「うおおおおお――――――っ!!!」
「写真撮影はあたしに任せろ!! 建設業の必須科目だ!!」
ぱしゃり ぱしゃり ぱしゃり
左京恋奈がデジカメを使い、岸或斗の勇姿を撮影しまくった。
「……福島大学が残っている……」
メンバーが、馬上誠実の発言のよって、福島大学の存在を改めて思い出した。福島大学も完成度の高い演奏をしていた。まだ、全国へ行けると確定したわけではないのだ。
「福島大学、ゴールド、金賞です!」
「いえああああ!!!」
福島大学の生徒達が歓喜した。この瞬間、大学部門で全国大会への切符を握っている団体はカオスシンガースを含む三団体となった。
「駄目金なりませんように……」
メンバーが皆同じ事を思った。まだまだカオスシンガースの緊張の時間は続く……。
「それでは、全国大会行きの合唱団を発表します」
先程と同じく、中学、高校部門の団体から先に発表される。
「ひゃああああ!!!」
名前を発表された団体の生徒達が全力で喜びを表現した。両手を挙げて歓喜したり、泣きながら抱き合っている女子もいる。
「ああいうの見ると青春って思うね~」
「……俺も……皆とまだまだ青春がしたい……」
馬上誠実の独り言に皆がそう思った。
「馬上君、私もだよ♪」
「セーム、おめえあたりもうキツい練習嫌だから、もう全国行かなくていいやとか思ってねえだろうな~?」
「い、い、いやそんなことは……」
バシィィン
左京恋奈が思いっきし塩川聖夢の頭を引っぱたいた。
「バレバレなんだよこのっ!」
「どうせ正直に言っても叩くだろ……」
塩川聖夢はヒリヒリと痛む頭を抑えながらつぶやいた。
そんなこんなでとうとう大学発表の時間がやって来た。
「それでは、大学部門、全国大会出場団体を発表致します!」
メンバーの言葉も、呼吸も止まる。聞こえてくるのは心臓の音のみだ。
「ふぇっっくしょい!!」
「!?」
場の空気を読まない盛大なくしゃみをかましたのは聖アデルであった。メンバー皆が聖アデルに冷たい視線を送った。
「だって~、緊張で汗かいたら冷えちゃったんだもん~」
「AKT大学 カオスシンガース! AKT大学混声合唱団!」
メンバー一同は、極限の緊張を味わいながら全国大会行きのアナウンスを聞くという大事なタイミングを逃してしまった。
「……これも青春か……」
「アデルてめえ! お前が空気の読めないくしゃみかますから大事なタイミングを逃したじゃねえかああ!!」
ぐりりりり
左京恋奈が聖アデルの両拳で側頭部をはさみ、回しながらおしつけた。
「ふえぇぇ! 全国大会行き決めたから許してよ~~っ!!」
悟ったかのような態度の馬上誠実、怒り狂う左京恋奈、泣いて許しを請う聖アデルの姿を見て、塩川聖夢は苦笑いをしながらつぶやいた。
「これもまあ……カオスシンガースらしいのかな」
ステージ上での岸或斗もその様子を見て、呆れていたのであった。
全日本合唱コンクール東北大会を終えて数日後、大学内にカオスシンガース専用の部室が出来た。経緯として全国大会の実績を口実に、岸或斗が大学に話しかけたが、大学からは「そんな予算はない、そんなスペースはない」と言われ追い返された。そこで左京恋奈の祖父のゼネコンが圧力をかけ、ここ近年活動実績の無いサークルを廃部にし、そのサークルの部室を提供して貰うという事になった。
さて、本日はその部室にメンバーが全員揃っていた。会議室で良く用いる折りたたみ式の机とパイプ椅子に皆が座っていた。
「私達! 遂に! 遂に! カオスシンガース初の全国大会行きを成し遂げたのよ!!」
岸或斗が興奮している。
「なんか東北大会終わってから全国大会行ったって実感わくね~」
「……確かに」
聖アデルと馬上誠実が賛同した。
「しかし、まさか強豪の福島を破っての二位で、全国行きとは思わなかったな~~。まあ、AKT大学混声合唱団に負けていたのはひっかかるがな。全国ではリベンジしねえと!」
左京恋奈は早速全国に向けて燃えている。
「なんか、もうこの時点で満足だ、全国大会行きも決めて部室も貰ったし、もう充分幸せだ」
塩川聖夢からはもはや覇気を感じられない。そんな姿を見て左京恋奈が渇を入れる。
「おいおい! もっと欲張ろうぜセーム! ここまで来たら日本一を目指そうぜ!」
「よく言った恋奈ちゃん! では早速練習をしましょう!」
「うえ~~、私合唱はしばらくやんなくていいな~~、マジで歌うのが嫌いになるレベルで猛特訓しまくったんだもん」
岸或斗の「練習しよう」発言に、聖アデルは見るからに嫌そうな態度をとった。
「……皆ありがとう」
「突然どうしたの? セーム君?」
「いやさ、カオスシンガースにいたおかげで、自分の人生に初めて全国大会出場という歴史を与えてくれたし、多分今後皆の力が無いと、こんな大舞台には上がれなかったと思う……なんだか自分に少し自信が持ててきた」
塩川聖夢の言葉に皆が笑顔になった。
「皆同じ事を思っているわよセーム君!」
「……次は日本一の歴史を作ろう……」
「そう! 日本一を目指すために、問題となる事が一つ出てくるの! とても重要、みんなの協力が必要よ!」
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