ヤンデレなストーカー♂が異世界まで追いかけてきやがった!?

あさきりゆうた

文字の大きさ
4 / 8

俺はお前を食べたくない!

 俺は考えた。どっちみち寝たらエルに襲われる。ならば逆転を発想させて俺が逆にエルを襲えば良い。あいつをボロボロにすれば問題ない……と思いついたはよいが、俺は戦闘面での強さはどうなんだ? それを確かめるためにモンスターが生息する平野までやってきた。

「そういやあ俺は自給自足のスキルのおかげで斧は結構扱えていたな」

 試しに自分のスキルと手に入れた鉱石と木材で斧を作った。

ぶぉぉん

 わりと重量感はあるが軽々と振り回せている。いわゆるアックス系の武器が俺の一番得意な武器かもしれない。

「ぐるるる!」

 気がつけば周りにオオカミのモンスターが数匹いた。ホワイトウルフと呼ばれる白いオオカミのようだ。こいつらは九分九厘俺を襲ってくるだろう。そうなれば俺が斧をどれくらい使いこなせるか見るのに良いチャンスだ。
 早速オオカミの一匹が口を大きく開けて俺に向かった。

「おらぁ!」

 俺の斧はオオカミを一刀両断した。それを見て他のオオカミたちは尻尾を巻いて逃げてしまった。

「なんだ。一匹倒しただけじゃどうも強さがいまひとつ実感できんな」

 俺はもう一つの武器、弓を取り出した。山でモンスターを狩る際に弓も重宝していた。俺は逃げていくホワイトウルフの一匹にめがけ弓矢を飛ばした。

「きゃいいん!」

 ホワイトオオカミは痛そうな鳴き声を響かせ、一撃で倒れてしまった。これで俺が弓矢でもそこそこ強いことが分かった。

「ぐるるるる!!」

 えっ、俺の後ろにいつの間にか巨大なホワイトウルフがいる。もしかしてあれって子供でこいつが親で、俺がやっちゃったからめちゃくちゃ怒っている感じじゃ。

がぶしぃ

 ぎゃあああ!! 痛い!! 痛い!! 噛まれている!! つうか食われる!! 駄目だ、激痛に意識が飛んじまう……油断した……これで俺の異世界生活も終わりか……。




「あり?」

 いつの間にか知らない場所にいるぞ。ここはどこだ? 周りの状況を見ると、俺が今いる場所はベッドだ。そして余計な物が置かれていない白をベースにした清楚な部屋の一室にいる。つまりここは病院の可能性が高い。もしかして俺って誰かに助けられたのか? ならば助けた人に礼を言わないとな。

「いてっ!」

 体に包帯が巻かれている。ホワイトウルフに噛まれたところはまだ痛みが残っているな。この状態でエルに襲われたらまず抵抗できんな。
「大丈夫ですか? 私が見つけた時は怪我が酷かったので治療はしましたが」

 看護婦さんの格好をした人が入ってきた。

「えぇ、なんとか。もしかしてあなたが俺を助けてくれましたか?」

「はい、そうですよタツヤさん」

「……」

 俺を初対面でタツヤさんなんて呼ぶ奴は一人しか居ない。看護婦だと思ってあまりその看護婦を見ていなかったが、体格は男そのものだ。恐る恐る看護婦の顔を覗いてみた。

「やっぱりお前か……」

「私はあなたを助けたんですよ。あのホワイトウルフは強かったので、私以外の方ですと倒す事はできず、タツヤさんは死んでいた可能性は高いですよ」

「えっ、実はお前ってかなり強いのか?」

「そうですね、特別サービスで言っちゃうと条件付きで無限大の強さを持てます」

「無限大だと!? ほぼチートじゃねえか!」

 危なかった。条件付きとは言うが、もしも俺がこいつに闘いを挑んでいたら俺があっさり倒された可能性が高い。

「あのですね、助けたんですよ私。まさかお礼なしなんて言わないですよね?」

「……お前に助けられたのは非常に不服だが、助けられたことには礼を言うよ」

「礼を言うだけですか?」

 俺を凍らせそうなぐらい冷めた目つきで見てきた。やばい、怖い。この状況で襲われるような事があったら非常にまずい。奴を怒らせないことを最優先しなくては。

「すまない。俺はこの通り満足に体を動かせない。だから礼をしようにも何もできないんだ。せめてこの体でもできるお礼があれば良いんだが……」

 その言葉を聞いてエルはにっこりと笑った。男にしては可愛らしい顔だ。ずっとこの顔でいてくれないものかなと思うわ。

「でしたら私の作ったごはんを頂いて下さい」

 そういえば朝一にモンスター退治で平野に行ってから何も食ってなかったな。お腹は空いているし、ここは素直に甘えよう。だが、用心はしよう。

「えぇとな。失礼なことを聞くが俺が食べれるものだよな? 一応俺は好き嫌いはそんなにないし、グルメってわけでもないから味付けが少し悪くても食えるけど、食べ物じゃないとだめだぞ。あと変な薬を入れているとかもなしだからな」

「何言っているんですか! 私はタツヤさんが美味しく食べられるように愛情をこめて普通の料理をつくっています! 変な心配はしないで下さいな!」

「悪かったよ」

 エルは既に作ったごはんを持ってきてくれた。見た目は完全に和食だ。異世界には俺がいた世界の食材なんてあるわけがないが、見た目はご飯、お吸い物、とろろ、黒い海草のかき揚げと計四品。とても健康的な食事だ。

「旨そうだ! いっただきま~~す!」

びしぃ

「いてててて!!」

 俺の体に激痛が走った。やっぱホワイトオークに襲われた傷が癒えない。ベッドから上体を起こすのがやっとだ。腕を動かそうにも激痛が走り、動かしづらい。

「大丈夫ですか? なんなら私があなたのお口に料理を運びますよ」

「あぁすまない。手間かけさせるな」

「いえいえ、気にせずに」

ぱくり もぐもぐ

 えっ、なんでこいつ俺の代わりにお米を食べているの?

「はい、あ~~ん」

 かみ砕かれたお米を店ながらエルが俺に向かって大きく口を開けた。

「まさか……口移しで食べさせるってことか?」

「しょうれふよ(そうですよ)」

「……くそ! だったら空腹に耐えてやるわい!」

がしっ

 俺の顎がつかまれ強制的に口を開かれた。徐々にエルの口が近づいてくる。

「ひぃぃぃ!!」

「駄目ですよ。食べるもの食べないと回復できないです」

はむっ

 互いの唇がくっつき、俺の口内にぐちゃぐちゃに咀嚼されたお米が送り込まれた。

「吐き出したら、吐き出したお米の粒分全力の攻撃を加えますからね」

 俺が吐き出そうとしたことなんてお見通しってわけか。クソったれが! 飲み込んでやらぁ! くそっ、するっとお米が喉奥まで送り込まれちまったぜ。

「まだまだありますからね」

 そうか。俺は茶碗いっぱい分のお米がなくなるまでぐちゃぐちゃになった奴を口移しされるのか……。心を無にするんだ……なるべく味わうという意識を捨てるんだ……水のようにぐちゃぐちゃに咀嚼されたお米を飲み込むんだ……。

「どうですか私の唾液入りおかゆは? 私はとても良いです。私の口内の味が染みこんだお米をあなたが食べていると思うと股間がぞくぞくとします」

 股間がぞくぞくって、こいつ襲わねえだろうな……。

「あっ、お米がなくなりましたね。ちょっと待って下さい」

 俺の腕にエルが魔法をかけた。

「痛み止めの魔法です。腕が動かせるので自分で食べれますよ」

 助かった! また咀嚼された飯を食うかと思っちまったぜ。そうだな、まずは吸い物で口内に残ったご飯を全部洗い流すか。おぉ、塩加減が絶妙だぜこいつは。一気に全部飲み干しちまった。

「美味しく頂いたみたいですね。嬉しいです」

「旨いなこのお吸い物。一体どんな食材を使ったんだ?」

「私の涙を入れました」

「ぶぉっふぉっ!?

 やばい、吐こう。これは吐きたい。体調が悪いから吐いたと言えば通じる、通るはずだ。

「ちなみに吐いたらゲロごと食わせます。もったいないですからね」


 こ、こいつならやりかねない。まぁ良い。涙を飲む程度ならまだ我慢できる許容範囲だ。次はどちらを食べようか……。

「あっ、そのかき揚げにとろろをかけると美味しいですよ」

 オススメされたので俺は黒い海草のかき揚げに白身の入ったとろろをかけて食べた。でもこの二つもなんだか油断が出来ない。俺はおそるそる小さく一口を食べた。

「あれ、旨いっ!?」

「私が不味く作るとお思いですか?」

「いやいやすまない」

 ふむ、かき揚げがぱりぱりと香ばしさがあって旨い。これにとろろが意外と合う。このとろろはイカを細かくきざんだのにとろみをつけた感じだな。独特の生臭さはあるが、意外と癖になる味わいだ。すぐにこれもたいらげてしまった。

「美味しくたいらげましたね。私の精液入りのとろろと私の陰毛のかき揚げ」

「ぐわっふぁっ!? 食べ物ですらねえぞおい!!」

 まじかよ。俺はこいつの精液とそして陰毛まで食べたというのかよっ!?

「美味しく作るの大変だったんですよ。精液の臭みが気にならないように香りづけのスパイスも使い、イカのモンスターの白身も使って大変美味にしあげ、私の陰毛もぱりぱりになるように低温の油でじっくりと長時間揚げたんです。できれば私の黄金水や黄金も頂いて欲しかったですがまだまだ美味しく作る技術がないもので……」

「頼む、そこまで手を出すなよ、いいな?」

「でも母乳はどうでしょう? 今はできませんがいずれは出せるようにしますので」

「飲まねえ!」

「ふふふ、元気になったようですね」

 あっ、いつの間にか体が動かせるようになっている。ホワイトウルフに噛まれた傷の痛みもほとんどない。

「私が愛を込めて作りましたから傷の治りも早くなるんです」

「そういうものなのか?」

「そういうものなんです。では、またあなたを愛しに来ますのでごきげんよう」

 そう言ってまたエルは消えたのである。エルが消えると同時に医者らしき男も入ってきた。

「大丈夫か! なにやら魔力でこの部屋だけ封印されていたみたいで!」

「精神的には大丈夫ではないですね。体の方は大丈夫になっていますが……」

 すぐに俺は病院を退院した。
 次なるエル対策を考えておかねば。
感想 3

あなたにおすすめの小説

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL要素までとても遠いです。前半日常会多め。

【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます

クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。 『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。 何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。 BLでヤンデレものです。 第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします! 週一 更新予定  ときどきプラスで更新します!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)