電脳恋愛のすゝめ

コトシナミノル

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第11話 高田恵梨の独白(後編)

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 そんなこんなでユニちゃんにお友達ができたの!
 高校生にして!!ようやく!!!!
 ……お友達の名前?
 牧村まきむらかえでちゃん。
 彼女ね、一度だけおうちに来たことがあるの。目が大きくて、髪もサラッサラで、お肌はすべすべ……すっごい可愛い女の子だったわ……ま、ユニちゃんには敵わないけど!!
 おばさん可愛い女の子に目がないのよね~この前なんて


 ~以下30分関係ない話が続く~


 って感じなのよ~若いっていいわね!
 ……ごめんなさい、また脱線しちゃった♪
 えーっと……どこまで話したかしら?
 あ、そうそう……まあそんな感じで初めてのお友達ができたのね。
 きっかけ?
 最初の席が隣同士だったらしいの。それで楓ちゃんから話しかけてきて……意気投合したとか何とか……だったかしら?ごめんなさい。ちょっとその辺はうろ覚えかもしれないわ。
 詳しいことはユニちゃんに聞いた方が良いかもね。
 あの頃のユニちゃんはとっても楽しそうだったわ~おうちに帰ってきたらその日学校であったこととか、楓ちゃんのことをいっぱい喋ってくれるようになったの。
 相変わらず人見知りなのか単に興味が無いのか……他のお友達ができた気配はなかったけど、ユニちゃんは楽しそうだったし……私も夫もまあいいかってしばらく見守ってたわ。
 そうやって1年生も終わり、2年生になるのかなって思ってたの。
 でも、そうはならなかった。
 年が明けて、1年生の期末テストが終わったあたりかな?
 ユニちゃんが泣きながらおうちに帰ってきたの。
 たぶん、私はその時初めてユニちゃんが泣いている姿を見たと思う。あの子って感情を内に溜めやすいタイプであると同時に、他人から向けられる感情をストレートに受け入れることが苦手なのよ。だから、あまり自分の気持ちとかは表に出さないし、他人に何か言われてもきっとどこか他人事なのね。
 つまりあの子が泣くってよっぽどのことだったのよ。
 きっとその時、ユニちゃんは他人から向けられる負の感情を初めてまともに受け止めたんだと思う……生まれて初めてのケンカってことになるのかしらね。
 普通の子だったら小学校くらいで経験していることを、あの子は高校生になってようやく経験した。
 お友達とケンカしちゃうのは悲しいことよ。……でも、同時に嬉しいことでもあるわ。
 だって、興味も無い相手ならそもそもケンカなんてしないでしょ?
 でもユニちゃんは、自分の感情を剥き出しにしてケンカできるほど仲が良い相手をようやく手に入れることができた。
 母親としてはこれほど嬉しいことは無かったわ。
 ……うん、これは過去形ね。
 それから仲直りまでいってくれたらよかったんだけど、物事ってそう上手くはいかないものね。
 楓ちゃんと喧嘩してから日に日にあの子は心を閉ざしていくようになっていった。
 学校から帰ってきたあとも楓ちゃんのことはもちろん、学校のことも話さなくなった。
 自室にこもって夜遅くまでゲームをする生活に逆戻り。
 それからだんだんとユニちゃんは学校を欠席するようになったわ。
 きっと親としては学校に行くように促すべきだったかもしれない……けれど私たちには何もできなかった。
 あの子がお友達との仲直りが分からなかったことと同じで、私や夫もあの子にどう接していけばいいのか分からなかったの。
 今まであの子に何もしてあげられなかった私たちは、あの子が大変な時も何もしてあげられなかった。
 最初から何かをする権利も無いと決めつけて、何もしなかったの。
 親失格ね。
 次第にあの子の足は学校から遠ざかり、春休みが終わって2年生に上がってからはついに学校へ行くことも無くなった。

 そして今に至るってわけ。
 ……さて、あらすじはだいたいこんな感じだと思うけど、他に何か聞きたいことはあるかしら?
 あぁ、うん……ケンカの原因はおばさんにも結局分からなかったわ。
 無駄足踏ませちゃってごめんなさいね。
 きっと楓ちゃん絡みだってことは確実なんだけど、具体的に何があったのかは最後まで教えてくれなかった。
 お家にきた楓ちゃんは何をしてたって?
 そうねぇ……こんな感じでお菓子をご馳走して、少しおしゃべりして……それからユニちゃんのお部屋で何かしてたみたいよ。流石のおばさんも中にお邪魔することはできなかったわ。
 それからしばらく遊んで……楓ちゃんは帰っていったわ。
「また来ます」って言い残して。
 結局それ以降、あの子が来ることは2度と無かったけど。
 学校には聞いてみたかって?
 それはもちろん。
 でもね、やっぱり担任の先生も詳しい事情は知らなかったみたい。
 当然よね。彼らは教師であって、別に生徒の友達ってわけじゃないわ。
 表面的な生徒同士の関係は見えても、日々移り変わるその模様を完全に把握するなんてきっと無理なはず。
 ユニちゃんが不登校になったのも驚いていたくらいなんだもの。

 ……コーヒーも冷めちゃったかしら。
 おかわりはいかが?
 そう……おうちに帰るのね。ちょっと残念。
 ユニちゃんには会わなくていいの?
 そっか……おばさんの話が何かの役に立てばいいけど。
 久遠ちゃん、あのね……またいつでも来てね。
 ユニちゃんのお友達としてじゃなくてもいいから、お菓子を食べにくるだけでもいいの。

 だって……これでお別れなんて寂しいじゃない?
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