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第24話 意外と優しいこの世界を
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『そしてAは学校に復帰しました』
『髪を切り、男子用の制服に袖を通した姿は男子にしか見えなかったでしょう』
『あの日のクラスメイトの驚く顔といったら……それだけでも学校に来た甲斐はあったとAは思いました』
『再び登校した彼に対し、最初はクラスの誰もが近づこうともしませんでした。当然でしょう、いくら姿が変わってもその存在が不気味であることに変わりは無かったのです』
『教師への嘆願と彼自身の成績の良さから3年への進級が認められることになりました。1年の頃とは全く人間関係が変わります』
『すると、彼の周りに1人、また1人とクラスメイトたちが集まってきました』
『最初は興味本位で近づいてきたクラスメイトたちでしたが、次第に彼の人間性を知ると、自ら進んで親交を深めようとする者も出てきました』
『そうして彼の中学生活は再開し、その後は何事もなく卒業まで平穏な日々は続きました』
『高校は家から遠くて偏差値が高いところを受験することにしました。理由は一人暮らしがしたかったのと、自身を知っている人間がいないところに行きたかったからです』
『かくして、彼の高校生活は始まります。学校側へは入学前に事情を説明し、始業式のHRに彼は自身の正体をクラスメイトに明かしました』
『それから彼は自身を受け入れてくれる人間だけを愛し、慎ましく平和な高校生活を送っていたのです』
『以上がAについてです。前置きが長くなっちゃいましたけど……それでは肝心のことを伝えます』
『もったいないと思ったから、だそうです』
『……もったい……ない……?』
『Aは言いました。この世界には様々な側面があるのだと。世界が残酷に見えるのは自分の視野が狭くなって、そういった側面しか見えていないだけなのだと』
『それは……どうなのでしょう』
『ははは……まぁこれはあくまで一つの意見として聞き流してください。つまりAはBさんが世界の負の側面しか見てなくて、それしか知らないまま引きこもってしまうのはもったいないと思ったんです』
『私は……そうは……思えません』
『それは何故でしょうか?』
『あ、いえ……その……Bさんはきっと……どうでもよくなってしまったのだと……思うのです』
『はい』
『Bさんはずっと孤独で……でも、それは苦ではなかったのだと思います。け、けれどCさんという友達ができて……でも、Cさんは……いなくなってしまって……結局また1人になって』
『はい』
『人と仲良くなれても……そ、それは一時的で、いつかはいなくなります。……どうせ1人になるのなら……最初から1人でも、変わらないんじゃ……ないか……って』
『確かに……そうかもしれませんね。でも』
『……?』
『楽しかったでしょう?』
『……っ』
『他人に興味がなかったBさんはなんでCさんに怒ったのでしょう?……普通、どうでもいい相手に怒ることなんて無いはずです』
『……』
『それだけCさんが大切で、一緒に過ごした日々が楽しかったのだと思います。YUNIさんはそれでも無駄だったと思いますか?』
『それは……』
『YUNIさんのおっしゃる通り、世の中の大半はどうでもいい無駄なことでできています。そのくせいつも残酷な面ばかりを見せつけて僕たちを絶望させるんです』
『けれど』
『けれど、視点を変えれば、少しだけ前に踏み出せば、自分の行動を変えてみれば世界は違う景色を見せてくれます。……YUNIさん知っていますか?』
『……え?』
『世界って意外と優しかったりするんです。僕らが見えていないだけで』
『……』
『YUNIさんに伝えたかった話は以上となります。ご静聴ありがとうございました。そして、今日はYUNIさんにお別れをしにきました』
『え……っ……!?』
『僕は今回、私情だけでこの回線を使用しました。最初に述べた通り、それは明確なマナー違反……いえ、ルール違反でしょう。であれば然るべき処置が必要です』
『いえ……あの……っ!』
『だから、僕は自身に罰を課すことにしました。それがYUNIさん、あなたとのお別れです』
『でも……それは……勝手、すぎます……』
『あはは……そうですね。勝手すぎますよね』
『あなたも……あなたも……っ!』
『YUNIさん』
『……っ』
『学校で待ってます』
『……』
『髪を切り、男子用の制服に袖を通した姿は男子にしか見えなかったでしょう』
『あの日のクラスメイトの驚く顔といったら……それだけでも学校に来た甲斐はあったとAは思いました』
『再び登校した彼に対し、最初はクラスの誰もが近づこうともしませんでした。当然でしょう、いくら姿が変わってもその存在が不気味であることに変わりは無かったのです』
『教師への嘆願と彼自身の成績の良さから3年への進級が認められることになりました。1年の頃とは全く人間関係が変わります』
『すると、彼の周りに1人、また1人とクラスメイトたちが集まってきました』
『最初は興味本位で近づいてきたクラスメイトたちでしたが、次第に彼の人間性を知ると、自ら進んで親交を深めようとする者も出てきました』
『そうして彼の中学生活は再開し、その後は何事もなく卒業まで平穏な日々は続きました』
『高校は家から遠くて偏差値が高いところを受験することにしました。理由は一人暮らしがしたかったのと、自身を知っている人間がいないところに行きたかったからです』
『かくして、彼の高校生活は始まります。学校側へは入学前に事情を説明し、始業式のHRに彼は自身の正体をクラスメイトに明かしました』
『それから彼は自身を受け入れてくれる人間だけを愛し、慎ましく平和な高校生活を送っていたのです』
『以上がAについてです。前置きが長くなっちゃいましたけど……それでは肝心のことを伝えます』
『もったいないと思ったから、だそうです』
『……もったい……ない……?』
『Aは言いました。この世界には様々な側面があるのだと。世界が残酷に見えるのは自分の視野が狭くなって、そういった側面しか見えていないだけなのだと』
『それは……どうなのでしょう』
『ははは……まぁこれはあくまで一つの意見として聞き流してください。つまりAはBさんが世界の負の側面しか見てなくて、それしか知らないまま引きこもってしまうのはもったいないと思ったんです』
『私は……そうは……思えません』
『それは何故でしょうか?』
『あ、いえ……その……Bさんはきっと……どうでもよくなってしまったのだと……思うのです』
『はい』
『Bさんはずっと孤独で……でも、それは苦ではなかったのだと思います。け、けれどCさんという友達ができて……でも、Cさんは……いなくなってしまって……結局また1人になって』
『はい』
『人と仲良くなれても……そ、それは一時的で、いつかはいなくなります。……どうせ1人になるのなら……最初から1人でも、変わらないんじゃ……ないか……って』
『確かに……そうかもしれませんね。でも』
『……?』
『楽しかったでしょう?』
『……っ』
『他人に興味がなかったBさんはなんでCさんに怒ったのでしょう?……普通、どうでもいい相手に怒ることなんて無いはずです』
『……』
『それだけCさんが大切で、一緒に過ごした日々が楽しかったのだと思います。YUNIさんはそれでも無駄だったと思いますか?』
『それは……』
『YUNIさんのおっしゃる通り、世の中の大半はどうでもいい無駄なことでできています。そのくせいつも残酷な面ばかりを見せつけて僕たちを絶望させるんです』
『けれど』
『けれど、視点を変えれば、少しだけ前に踏み出せば、自分の行動を変えてみれば世界は違う景色を見せてくれます。……YUNIさん知っていますか?』
『……え?』
『世界って意外と優しかったりするんです。僕らが見えていないだけで』
『……』
『YUNIさんに伝えたかった話は以上となります。ご静聴ありがとうございました。そして、今日はYUNIさんにお別れをしにきました』
『え……っ……!?』
『僕は今回、私情だけでこの回線を使用しました。最初に述べた通り、それは明確なマナー違反……いえ、ルール違反でしょう。であれば然るべき処置が必要です』
『いえ……あの……っ!』
『だから、僕は自身に罰を課すことにしました。それがYUNIさん、あなたとのお別れです』
『でも……それは……勝手、すぎます……』
『あはは……そうですね。勝手すぎますよね』
『あなたも……あなたも……っ!』
『YUNIさん』
『……っ』
『学校で待ってます』
『……』
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