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2章 ウルタールの猫
第7話 呪われた少女との出会い
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『新世62年11月 深夜 ウルータールにて』
その日の夜、ノアは誰も起きていないことを確認すると、例の小屋へ向かった。
夜闇に包まれる村の中、彼は月明かりだけを頼りに歩く。やはり村に夜真人はおらず、とても静かな夜だった。
夜風に吹かれながら歩くこと数分、なんとか小屋の前までやって来た彼はじっくりと中を覗く。
「何しにきたの?」
「うわぁっ!」
小屋の中から急に聞こえた少女の声。驚いたノアはつい情けない声をあげてしまう。
「あの、おれっ……」
正体不明の人物が話しかけてくるとは全く予想していなかった。予想外の展開を前にしたノアはなかなか言葉がでてこない。
「おれはっ、話を聞きにきたんだ」
対人経験が少ない彼は、あまりコミュニケーションに自信はなかった。それでもなんとか思ったことを口にして、壁越しの少女との対話を試みる。
「部外者のあなたに話すことなんて何もないけれど」
少女は冷たく突き放すように言う。
──きつい言い方だなぁ……酷い扱いをうけてるから、心を閉ざしてるのかもな。
そう考え、彼は引き続き警戒を解こうと語りかける。
「俺の名前は天神ノア、君の名前は?」
「教えたくない」
──まずは名前を、と思ったけど……なかなか上手くいかないな。
「あなたも私と関わると不幸になるよ」
──もしかしたら病気かなにかで隔離されているのかな? 村長の言葉もそんな感じだったよな。とりあえず、何を抱えてるのか知りたい。
「なんでそんな風に思う?」
「何も知らないアナタには分かるわけない」
「俺は記憶喪失でさ、本当に何も知らないんだ。だけど知ろうとする気持ちは誰よりもあると思うんだけど」
「そう……アナタも何もない人なのね……」
少女の声が少しだけ柔らかくなったのがノアには分かった。一息おいて少女は語り始める。
「それなら、少しだけ教えてあげる。そのかわり聞き終わったら帰ってね」
ノアは興味津々に、かつ静かに少女の話を聞いた。
「私は呪われているの。普通の人間じゃないし、私と関わった人は変になる。だからこうして閉じ込められてる。それだけの話し」
「呪われてるってどういう意味さ?」
「普通の子とは違うの。見た目も変だし、不思議な力もある……」
──奇形なのかな。だけど不思議な力ってなんだろ? もしかしたら俺が昨日、夜真人を倒した力と同じ類いか?
「不思議な力って、具体的にどんな?」
「ごめん、それは私にもよく分からにゃい」
そう言われるとノアは返答しようがない。少女もそれについて分からないんだから、これ以上話に進展がなくなってしまう。
しばらくの沈黙。それを破ったのは少女のため息まじりの声だった。
「私一人の不幸で村の皆が幸せになれるなら、私はそれで……」
「それは間違ってる」
いつもよりハッキリとした口調でノアは少女の言葉を遮った。
「なにが?」
ノアの言葉に少女が初めて興味を示す。
「答えは明日教える」
「明日も来る気なの?」
嫌そうに言う少女だったが、ノアはめげずに明るく答える。
「うん。まだまだ君と話したいからな」
そう言い残すとノアは村長宅に向かって帰っていった。
「変な奴……」
残された少女は小屋の中で独り寂しげに呟いた。この日の夜、二人はお互いのことを考えながら眠りにつくのだった。
その日の夜、ノアは誰も起きていないことを確認すると、例の小屋へ向かった。
夜闇に包まれる村の中、彼は月明かりだけを頼りに歩く。やはり村に夜真人はおらず、とても静かな夜だった。
夜風に吹かれながら歩くこと数分、なんとか小屋の前までやって来た彼はじっくりと中を覗く。
「何しにきたの?」
「うわぁっ!」
小屋の中から急に聞こえた少女の声。驚いたノアはつい情けない声をあげてしまう。
「あの、おれっ……」
正体不明の人物が話しかけてくるとは全く予想していなかった。予想外の展開を前にしたノアはなかなか言葉がでてこない。
「おれはっ、話を聞きにきたんだ」
対人経験が少ない彼は、あまりコミュニケーションに自信はなかった。それでもなんとか思ったことを口にして、壁越しの少女との対話を試みる。
「部外者のあなたに話すことなんて何もないけれど」
少女は冷たく突き放すように言う。
──きつい言い方だなぁ……酷い扱いをうけてるから、心を閉ざしてるのかもな。
そう考え、彼は引き続き警戒を解こうと語りかける。
「俺の名前は天神ノア、君の名前は?」
「教えたくない」
──まずは名前を、と思ったけど……なかなか上手くいかないな。
「あなたも私と関わると不幸になるよ」
──もしかしたら病気かなにかで隔離されているのかな? 村長の言葉もそんな感じだったよな。とりあえず、何を抱えてるのか知りたい。
「なんでそんな風に思う?」
「何も知らないアナタには分かるわけない」
「俺は記憶喪失でさ、本当に何も知らないんだ。だけど知ろうとする気持ちは誰よりもあると思うんだけど」
「そう……アナタも何もない人なのね……」
少女の声が少しだけ柔らかくなったのがノアには分かった。一息おいて少女は語り始める。
「それなら、少しだけ教えてあげる。そのかわり聞き終わったら帰ってね」
ノアは興味津々に、かつ静かに少女の話を聞いた。
「私は呪われているの。普通の人間じゃないし、私と関わった人は変になる。だからこうして閉じ込められてる。それだけの話し」
「呪われてるってどういう意味さ?」
「普通の子とは違うの。見た目も変だし、不思議な力もある……」
──奇形なのかな。だけど不思議な力ってなんだろ? もしかしたら俺が昨日、夜真人を倒した力と同じ類いか?
「不思議な力って、具体的にどんな?」
「ごめん、それは私にもよく分からにゃい」
そう言われるとノアは返答しようがない。少女もそれについて分からないんだから、これ以上話に進展がなくなってしまう。
しばらくの沈黙。それを破ったのは少女のため息まじりの声だった。
「私一人の不幸で村の皆が幸せになれるなら、私はそれで……」
「それは間違ってる」
いつもよりハッキリとした口調でノアは少女の言葉を遮った。
「なにが?」
ノアの言葉に少女が初めて興味を示す。
「答えは明日教える」
「明日も来る気なの?」
嫌そうに言う少女だったが、ノアはめげずに明るく答える。
「うん。まだまだ君と話したいからな」
そう言い残すとノアは村長宅に向かって帰っていった。
「変な奴……」
残された少女は小屋の中で独り寂しげに呟いた。この日の夜、二人はお互いのことを考えながら眠りにつくのだった。
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