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やっぱり好き
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練習終了後、親慶はリンクにいた全ての人間から逃げるように施設内の一番遠くの第三休憩室に逃げ込んだ。人気がないことを確認して近くの椅子にドカッと座ると背もたれに首を預け天井を見つめた。
あれから二週間。あの夜の出来事は本当は夢だったんじゃないかと思う。
義経に告白されてキスしてそれから……肌を重ね熱を分けあい義経の中深くに熱を吐きだした。
我に返った時には全てが終わっていて取り返しがつかなかった。腕の中で眠る義経の寝顔に何度もキスをしている最中、電気が復旧すると親慶は自分がした罪の大きさを目の当たりにした。どちらのものとも分からない白濁に汚れた小さな体には無数の赤い印が咲き乱れ、頬には涙の跡がはっきりと見える程強く残っていた。その光景に愕然とした親慶は強い罪悪感に襲われ、すぐに義経の体を抱き上げると急いで浴室に向かいその体を自身が暴いた中まで丁寧に洗浄すると余分に持ってきていた自分の服を着せベッドに寝かせた。
外の雨足は大分弱まったようで頭を冷やす為に親慶は外に出た。
義経の無垢な寝顔を見つめていると罪悪感に押し潰されてしまいそうになるので逃げてきたという方が正しいかもしれない。
そこまではちゃんとしてたはずだ。どこで間違えたんだ、俺…。
何時かも分からない状態ではあったが雨雲の切れ間、遠くの空が白みがかっているのに気付き夜明けが近いことを悟ると親慶は重く大きな溜め息をついた。
出来ることなら停電が始まった頃まで戻りたいと親慶の切実な願いは叶うはずもなく雨は静かに地面を叩く。その音の間に車のドアが閉まるような音が混ざったことに気付き親慶が顔を上げると、向かいのコテージからスタッフが慌ただしく荷物を車に積んでいるのが目に入った。
そうだ。
雨が降っているのもお構いなしにコテージを飛び出し、その車に走り寄った親慶は驚くスタッフに向かい──。
「俺も乗せてくれませんか?!」
そう頭を下げた。
その鬼気迫る様子に、スタッフも反射的に頷くと親慶は短く礼を伝え、すぐにコテージに戻り荷物をまとめた。そして出発の準備が整った車に乗り込み逃げるように、いや、文字通り義経から逃げ出して一人帰宅した。
「…あれが全ての原因だ…」
そもそも!!なんで義経を置いて逃げたんだよ!!
気まずくてもあの時ちゃんと向き合っていれば少なくても二週間もこのいたたまれない地獄のような空気にさらされることはなかったはずだ!!
「あの時に戻れるなら戻りたい…」
「なに百面相してんだ、お前は…」
突然の声に驚き、座っていた椅子を倒す程、勢いよく立ち上がり後ろに退いた親慶はその声の主を確認すると、極度の緊張に強張る体は風船がしぼむようにへなへなと床に崩れ落ちた。
「…かぐっちゃんかぁ~…」
「俺じゃ悪いかよ」
安堵の声を漏らすとロッカー室の入口に立っていた神楽は予想外に驚かれたことへの不機嫌を隠しもせず腕を組んで壁に凭れかかる。
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