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やっぱり好き
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しおりを挟む「撮影の最後がキスシーンで…本当はしなくていいのに俺…色々思いあまってキスしちゃって、いたっ!!なにすんの?!」
「大事な娘が傷つけられた父親の気分だ、許せ」
「さっきそれ以上のこと自分で言ってたでしょ…」
重く慎重に告白しているというのに横から椅子を蹴られ、反射的に親慶は一度鋭く睨み付けるが、神楽は気にすることもなく続きを促してくる。
それに溜め息を吐いて立ち上がった親慶は椅子を後ろに引いて神楽との距離を少し開けてから再び重く口を開く。
「それで、雨に降られてびしょ濡れになったから先にコテージに戻ってシャワー浴びて出たところで義経帰って来て……」
「…で?」
「ちょっと言い争いになって、それから停電になって……義経が俺のこと、好きって…俺の手、掴んできて、それで……」
「理性ぶっ飛ばして襲いかかりました?…まぁ、それはそれで問題だとは思うけど…終わった後、話ししたんだろ?」
怪訝な表情だが許容範囲だと答える神楽に営業スマイルを返した親慶は少しずつ目線を逸らしていく。それから真一文字に口を閉じた親慶に神楽は再び椅子を蹴り上げる。
椅子を動かしわざわざ距離を離したところで神楽の攻撃の前には意味がなかった。
「もうっ!!足癖悪過ぎない?!」
「お前まさか…散々ヤッた後に義経をそのまま置いてきたのかよ…」
再び胸ぐらを掴まれた親慶は慌てて弁明をする。
「ちゃんと体を綺麗にして服も替えてベッドに寝かせて……いってぇ!!」
「ヤリ逃げした事に変わりねぇだろ!」
弁明のつもりの言葉は火に油を注ぐ結果となり、とうとう神楽の足で脇腹を直接蹴られてしまえば抵抗も言い訳も出来なくなり親慶は脇腹を押さえたまま神楽の手から逃れ机に突っ伏して倒れた。
「お前がそんなに馬鹿だったとは思わなかったぜ…」
「だって…ずっと好きだった義経にあんな可愛い告白されたら……俺だって男の子だもんっ!!しょうがないじゃん!!」
「…」
「ぎゃあぁ!!……無言で蹴りつけてくるのやめてよ…」
「大事な娘が弄ばれた父親の気分だ、許せ」
机に倒れたままの親慶の足を何度も踏むように蹴る神楽はふん、と鼻息を荒くした。
「…俺だって身体だけが目的で抱いた訳じゃないし…」
「そんなもん分かりきってんだよ、このタコ。だから、それを義経にちゃんと伝えてやれって言ってんだよ」
「……義経に嫌われたらどうすればいい…?」
「…」
らしくもない弱気な発言に神楽は無言でもう一度強く親慶の足を蹴りつける。
「…痛っ!!ねぇ!何回目っ?!」
「悪いな。バカ息子があまりにバカでな、許せ」
痛みや情けなさで涙目になりながら恨めしげに体を起こすと、自分を見下ろす呆れながらも優しい眼差しに、居心地が悪くなった親慶は照れ隠しに再び机に倒れた。
「バカって…もっと優しい言葉かけてよ、かぐっちゃん…」
「うるせぇ。くだらねぇ悩んでねぇでさっさと玉砕してきやがれ」
散々親慶を蹴りあげて満足したのか、神楽は悪戯っ子な子供のように目を細めて親慶の頭を撫でる…とは言いがたいがぐしゃぐしゃと髪を崩して第三休憩室を出ていった。
ドアを閉めた神楽は廊下を歩きながら先程の弱気にうじうじと悩む親慶を思い出し、思わず足を止め声を潜めて笑う。
本当にバカだよな。
義経に限って嫌うなんて思う訳ねぇのに。
気付いてなかったんだな…先に好きになってたのは義経の方だったのに。もっとも、義経が自分の気持ちに気付いたのは最近だったみてぇだから仕方ねぇか。
一頻り笑った後に暗い顔でこの二週間過ごしている義経の元へ向かった。
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