【BL】くそガキとたわむれ

祈 -inori-

文字の大きさ
5 / 25

…なかないで…

しおりを挟む


珍しくリンク上ではなくリンク脇からじっと集中してなにかを見てる義経よしつねを俺は見てる。

なにしてるんだろう…俺も含めて…。

なるべく視線が重なるように義経の後ろに回り込むとそこにはリフトの練習をしてるペアがいた。

「リフトやりたいの?」

「…別に」

とはいえ義経が担ぐってなったら相手の子
なんてよっぽど幼い子になって危ないよなぁ。


仕方ない…。

「ほら、こいよ」

「なに?」

俺が手招きしながらリンクに出ると素直に義経も付いてくる。

「手をパー」

「パー?」

「ほい、恋人繋ぎ」

「は…?」

「せーのでジャンプな!」

「なに?」

「せーのっ!!」

「ぅぉわっ?!」

義経は訝しみながら俺の指示通りに動いてくれて俺は予定どおり最後のジャンプで義経をリフトすることに成功した。

「…すっげぇ…」

俺は頭の上に両手を伸ばし、義経は跳び箱を飛ぶような格好で俺の手の上に乗っかっていつもより遥かに高い景色に義経は目をキラキラさせて珍しく大声を上げてテンションも上がってる。

こういう素直な反応してる義経は本当に可愛い。

調子に乗った俺はその体勢のままゆっくりとスピンを始めた。

「おぉ~!!」

義経はさらに目を輝かせ、俺は少しスピンのスピードをあげた……その時―――。


「ぅ、わっ!!!!」

「え…あぁぁっ!!!!」

ヤバいっ!!

足がもつれてバランスを崩した俺は腕に乗せてた義経を落とすまいとその小さな体を腕の中に抱きかかえ、そのまま俺達の体はリンクを滑り、騒ぎに気付いたみんながすぐに集まってきた。


「……大丈夫、か?」

「…ん…オレは平気…」

緩めた腕の中で義経が体を起こすのを見て俺は安堵した。そのせいか今まで感じなかった右肩の鋭い痛みに奥歯を噛み締めた。


「チカ…?」

「っ…悪い……ちょっと、起きれないかも……」


心配かけないように必死に笑ったつもりだけど隠しきれない脂汗がその努力を無駄にする。
それでも誰かがトレーナーを呼びに行ったと教えてくれれば、そんなことあるはずないのに少しだけ痛みが和らいだ気がするなんて自分の安直さに笑ってしまう。


「大丈夫、そんな…重症じゃ………義経…?」


義経が責任を感じないようにもう一度笑おうと義経を見上げると…いつもの真ん丸の瞳から涙が溢れて頬を濡らしていた。

「…義経…?っ…どっか痛いか?…義経…?」

絶え間なく流れるその筋を拭おうと動く方の手を伸ばしたけど届かなくて。
声をかけても反応しない。


もしかしたら頭でも打ったのか心配になるほど義経は身じろぎ一つせず俺が運ばれていくのをその状態のままただ見つめているだけだった。



end
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

契約満了につき

makase
BL
仮初めの恋人として契約を結んだ二人の、最後の夜。

好きです、今も。

めある
BL
高校の卒業式に、部活の後輩・安達快(あだち かい)に告白した桐越新(きりごえ あらた)。しかし、新は快に振られてしまう。それから新は大学へ進学し、月日が流れても新は快への気持ちを忘れることが出来ないでいた。そんな最中、二人は大学で再会を果たすこととなる。 ちょっと切なめな甘々ラブストーリーです。ハッピーエンドです。

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

諦めようとした話。

みつば
BL
もう限界だった。僕がどうしても君に与えられない幸せに目を背けているのは。 どうか幸せになって 溺愛攻め(微執着)×ネガティブ受け(めんどくさい)

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ
BL
☆完結済みです☆ 番外編として短い話を追加しました。 男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ) 中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。 一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ) ……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。 て、お前何考えてんの? 何しようとしてんの? ……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。 美形策士×純情平凡♪

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

処理中です...