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雨の日は大好きな君がウソをつく【親慶×義経】
しおりを挟む練習終了後の突然の雨。傘を持ってきてない俺はまだ練習中の義経を待つことに決めてリンクから見えない通路のベンチに座った。
雨の日は陰鬱な気分になるという話をたまに聞くけど俺はそうでもなかったりする。
約束はしてないけどこうして義経を待つ時間が俺は好きだから。
「…帰ってなかったの?」
スマホをいじっていたら義経の驚いた声が聞こえたからすぐに顔を上げた。
「おつかれ、待ってた」
「…約束…」
「してないよ。俺が勝手に待ってただけ」
約束を忘れていたかと慌ててスマホを開く義経に笑顔で答えると分かりやすくホッとするのが可愛い。
「雨降ってるんだよ。朝は降ってなかったから俺傘持ってきてなくて…」
「オレの傘が狙われてる…」
「正解!しっかり者のしず姉なら絶対義経に傘を持たせてるはずだからな」
自信満々に親指を立てると義経からはジトリと冷たい視線が返ってきたから俺はますます笑ってしまう。
「あ、傘は俺が持つ。義経に持たせると低くて頭当たって痛いから」
「あっそ…」
傘を手に出口に向かう義経から傘を奪い取ると見せつけるように傘をさした。
ちょうど義経の顔あたりに俺の手があるのを見て義経はまたまた不機嫌顔。それが可愛い。
「はやく帰ろ?」
「ちょっ!チカ…!!」
周りに人がいないのを確認して傘にも隠れて義経のふわふわの髪にキスをするとすぐに顔を赤くして慌てるからそれもまた可愛くてついイタズラしたくなる。
まるで世界に二人っきりになれたような気分になれるから。
「俺はやっぱり雨の日が大好きだ」
◆ ◆ ◆
今日は朝からしずねぇに「傘を持って行きなさい!」って無理やり傘を持たされたからきっとチカが待ってる。
オレは先に練習を上がったチカの背中を見送って東儀コーチに練習時間の延長をさせられないようにいつも以上に集中して演技をすれば「今日、調子ええやん」なんて褒めてもらえて少し嬉しい。
予定どおりの時間に練習が終わって急いで荷物をまとめてチカのところに行こうと思うけど焦らないように深呼吸をしてからいつもより早足で出口に向かった。
「焦っちゃダメ…チカが調子に乗るから…」
はやる気持ちを抑え込んでも早足になるのを止められない。
やっぱりいた…。
リンクから見えない通路のベンチ。チカはオレを待つときはいつもここに座ってる。
チカの姿が見えてオレは少し冷静になっていつもよりゆっくり歩く。
「…帰ってなかったの?」
わざと驚いたように声をかけるとスマホをいじってたチカの目にオレが映って少し緊張した。
バレてないよね…?
「おつかれ、待ってた」
オレの心配をよそにチカはふわりと笑う。
良かった。急いできたのバレてないみたい。
「…約束…」
「してないよ。俺が勝手に待ってただけ」
慌ててスマホを確認するフリをすればチカに止められて演技がバレてないことにホッとする。
「雨降ってるんだよ。朝は降ってなかったから俺傘持ってきてなくて…」
「オレの傘が狙われてる…」
「正解!しっかり者のしず姉なら絶対義経に傘を持たせてるはずだからな」
自信満々に親指をたてるチカにオレは呆れたように冷たい視線で見つめる。そうするとチカはますます嬉しそうに笑うのがたまらなく好き。
「あ、傘は俺が持つ。義経に持たせると低くて頭当たって痛いから」
「あっそ…」
前を歩くオレから傘を奪うと自慢げに傘をさしてオレが濡れないように誘導してくれる。
チカの嫌味のとおりオレの顔の前に傘を持つ手があって悔しくてついチカの手を睨みつけるとチカはまた楽しそうに笑う。
「はやく帰ろ?」
「ちょっ!チカ…!!」
外だし、街灯があって明るいから油断してた。
急に髪にキスされてオレは瞬間的に顔が熱くなってチカに抗議するけどチカはやっぱり楽しそう。
急にキスとかされるのは苦手だけど…チカが笑ってくれるのはすごく嬉しい。
この時間が好きだから。
「ほんとは折りたたみ傘持ってるくせに…」
チカの嘘に気づいてることはやっぱりまだまだオレだけの秘密。
end
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