【BL】くそガキとたわむれ

祈 -inori-

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♯源氏 ♯公式が激しく燃料投下【親慶×義経+神楽+湊和】

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    神楽さん達が拠点にしているスケートリンク『Fee des neigesフェ デ ネージュ』には公式のSNSアカウントがある。
    そこにはスケート教室の写真や神楽さんや古河君達の練習風景もたまにアップされとって、広報室の確認を取れば利用者の神楽さんや僕でも投稿出来るけど弁天君以外はそういうのは苦手やから大体広報の人が更新しとる。
    弁天君の投稿は結構人気があるみたいで僕もたまぁーに確認するけどほとんど古河君とのツーショットで微笑ましくて癒される。
 弁天君はよくこういうファンサービス─だと本人は言い張っている─をするけど、僕から見たらただの古河君との仲良し(意味深)アピール…ちゅーか、周りへの牽制にしか見えへん。
    噂では古河君大好き花巻君は毎回ちゃんとチェックしてるらしいし…。
 二人の写真にはファンの人が考えてくれたらしい『♯源氏』というタグが必ずついていて、そのまま古河君と弁天君の名前の天親をこじつけてという事らしい。
 ファンにここまで認識させているあたり弁天君の企みは見事に成功していると思わざるをえない…。

「ほんまようやるわ、弁天君…」

 こんなに独占欲を丸出しに出来るなんて若さゆえにやんなぁ…。
    そんなアホな事を考えたのは仕事の打ち合わせ中にフェデネージュ公式SNSから届いた何件もの通知がたまたま目に止まったからやった。
    トレンド入りしたタグの上位に『♯源氏』『♯公式が激しく燃料投下』と不穏なものが入っていたのと立て続けに更新された通知には

『弁天親慶が更新しました』
『花巻湊和(関係各所承諾済)が更新しました』
『神楽愛灯が更新しました』
『古河義経のスマホが更新しました』

と見慣れたメンバーの名前が並んでいて、僕は嫌な予感をばしばし感じながらもちょっとだけ楽しみにしながら公式アカウントを開いてみた。


『モデルの仕事の帰り道に本当にたまたま義経を発見!
なにしてるのかと思ってしばらく見てたんだけど…

俺のポスターの前で自撮りしてた🖤


by チカ

♯源氏
♯俺の義経
♯マジ天使
♯俺、愛されてる  』


    …こんな投稿してよく付きうとるのがバレへんなと感心しながら添付してる画像を見ると壁いっぱいに引き伸ばされた弁天君のでっかいポスターの前で角度を変えながらスマホで自撮りしとる古河君を明らかに隠し撮りしとる写真やった。
    もう一枚は同じ角度から端に見切れるように写った弁天君が唇に人指し指を立てて綺麗なウィンクをしながら「内緒だよ🖤」なんてCMのワンシーンかと思うくらい綺麗な写真。

「さすがモデルさんやね…」
 
   自分が綺麗に写る角度も魅せ方もよう分かっとる。

「それにしても古河君は撮られとる事に全然気付いてないやん…」

    帽子を深く被っとるとはいえ世界的な有名人やしスケート以外は不器用な子ぉやから自撮りに必死やったんやろう、弁天君に気付いてないのは写真からよく伝わってくる。

「…古河君って簡単に誘拐出来そうや…」

 小柄やし顔も可愛ええし…心配やわ…。

「…ほんで、次は花巻君?なんでフェデネージュのSNSに投稿しとんのやろ?」

 ポンと通知を押すとまた画像付きの投稿。


『練習の帰りにたまたま通りかかった道でヨシを発見!
なにをしてるんだろうと思ってしばらく見てたけど…

可愛かったから遠くからツーショット撮っちゃいました🖤


by  花巻湊和


♯僕のヨシ
♯本当に可愛い
♯他には誰もいなかった
♯他には誰もいなかった
♯関係各所には承諾済   』


 …古河君と弁天君の関係がよぉバレへんなと心配する必要はなかったみたいや。

「こぞって古河君は自分のもん宣言しとる…若いってええわ…」

    若さゆえの危うさにそれでも大人になって失くしたものに気付かされたようで思わず苦笑してしまう。

    この思いっきりの良さは正直、羨ましい。

「そんで?写真は、っと…」

 弁天君とは違う角度から撮られたその写真は自撮りしている古河君と遠近法で写っていた。
 一枚目は自撮りに必死な古河君ととびっきり笑顔の花巻君のツーショット。
 二枚目は遠近法で小さい古河君を掌に乗せるようにしてほっぺにキスしているような可愛いらしい写真。二枚目はほんまに角度もばっちりで花巻君の自撮りとは思えへん程…。

 ここまで見てふと気になった。
 弁天君が投稿した後に花巻君が投稿してるからその場には弁天君がおるはずなのに花巻君のタグ通りそこには古河君しかおらんように見える。

「弁天君はどこに行ったんやろ…」

 もしかしたら投稿に時間差があって弁天君がまだおらん時に撮ったんかな?ご丁寧に『関係各所には承諾済』ってタグもついとるし…。

「…でもそんなら『他には誰もいなかった』なんてタグは必要ないやんな?」

♯他には誰もいなかった

 こんなタグつけるあたり花巻君もなかなかええ性格や。ご丁寧に二個もつけとるし…。
 不思議に思いながら花巻君の写真を凝視すると花巻君の後ろに弁天君のものと思われる手や足がところどころに見切れとった。

「…可愛ええ顔してやる事エグいわ…」

 つまり、わざと弁天君が写らんように角度を調整しながら撮ったって事で、その努力に脱帽するわ。

「ほんで?今度は神楽さん?」

 まさかこの流れでボンとのツーショット写真を投稿してないかと内心ヒヤヒヤしながら通知を押した。


『帰宅中、公道で騒いでる若者がおったから公開説教開始。

by  東儀


♯歩道に正座
♯元教え子以外にも容赦なし
♯何故かちびっこは赦免
♯神楽愛灯は最強
♯正直、はよう帰りたい    』


 簡潔に書かれた文面に全てを察した僕は期待でニヤニヤしながら写真を開いた。
 写真には想像通りの光景が広がっていて僕は思わず声を出して笑ってしまった。

 一枚目は道の反対方向で騒ぐ、というかもめる?古河君、弁天君、花巻君の三人に向かって歩いていく神楽さんの後ろ姿を撮った写真。
 二枚目は弁天君と花巻君の首根っこを猫みたいにつまみ上げる神楽さんの姿と自分だけ赦免されてオロオロする古河君。

「弁天君背ぇ高いのに神楽さんようやるわ」

 三枚目は歩道に正座させられ説教されている二人にさらにオロオロする古河君。
 四枚目は三枚目の写真に見切れたボンが写っているものだったが、表情が『正直、はよう帰りたい』のタグ通り呆れ果てていた。

「もう…ほんま…可愛ええ…」

 歩道に正座させて説教してる神楽さんは格好ええし、正座させられてる二人の周りを狼狽えながらウロウロする古河君も可愛ええし最後のボンもええ表情しとる。

「なんだかんだゆうてみんな仲ええよね」

 静止画の写真からでもみんなの声が聞こえてくるみたいで見てるだけで僕も楽しくなってくる。

「そんで最後に古河君の投稿なんよねぇ…」

 ちょっとだけ名残惜しく思いながら最後の通知を開いた。


『みんなからのコメントのおかげで義経の自撮り写真アプ成功!
義経は隣で「イヤだ」って騒いでるけどかぐっちゃんに「諦めろ」って諭されてる(笑)

by  義経のスマホからチカが投稿


♯源氏
♯義経から愛されてる証拠
♯祝福よろしく🖤
♯かぐっちゃんとソワがめちゃくちゃ俺を睨んでる
♯東儀コーチ、起きてる?    』


「弁天君…やっぱりセンスあるわ」

 投稿の文章がめっちゃ僕好みで読んでるだけで楽しくなるわ。タグも秀逸。ボンはおっさんやからもうお疲れモードやね。

「そんで写真が……はあぁぁぁぁぁ~ん‼︎」

 タップすると拡大される写真に僕はあられもない声を上げるとそのまま机に倒れ込んだ。

「こんなん反則やろ…」

 息も絶え絶えにスマホを覗き込むと僕を瀕死に追い込んだ古河君の写真がそのまま息の根を止めに来てる。

 最期の古河君の写真はもちろん弁天君のポスターとの自撮りツーショットやけど、街灯に照らされてるだけやないだろうキラッキラの笑顔はまだ知り合ってから日の浅い僕ですら眩しくてドキドキしてしまう。

「古河君…めっちゃ嬉しそうやん…」

 この笑顔に内気な性格を合わせられたら老若男女が母性をくすぐられてまうのは分かる気がする。

「人見知りやけど慣れてくると可愛ええんよねぇ…」

 はぁ、なんて物思いに耽る溜め息なんか吐いてしまえば独り身の心には堪えるもので…。

「…今日は独り寂しく酒飲んで寝ようかねぇ~」

 冷蔵庫に向かおうと立ちあがろうとしたところでスマホが通知を告げる。
 その表示に僕は自然に口元が緩んだ。

「うん…やっぱり僕には君が一番や」

 寂しさに冷えた心はその名前を見ただけですぐに解凍されて通話ボタンを押す。

「もしもし──」




end
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