18 / 42
かなわない
17
しおりを挟む『すごいね!ビューンって落ちたよ!』
耳を付けたいと買い物をしたり、その間にもまたファンサしたり、やっとの思いでアトラクションに乗れた頃にはもうお昼。
開園ダッシュはしなかったけど、早く家を出たのは大正解だな。
Twitterは、俺たちがディズニーシーでデートをしているのがバレて大炎上していた。
だけど、繋いだ手をブンブンと振りながらスキップするルナが最高に可愛いから、今日のサプライズは大成功だろう。
「あ、チキン美味しいんだよね。食べる?」
『うん!』
「俺並ぶけど、その間ルナはどっか見に行ってもいいし…」
どこか1人で見て楽しいところは無かったか、と考えていると、
『…いい。ユキ君と一緒に並ぶ。』
ルナは急に腕を絡ませて、距離を縮めて来た。
「…ん。」
最近ルナは、こんな風に、突然甘えたような態度をとるんだ。
それが、素直に、嬉しい。
***
一通り有名なアトラクションを回れば、すっかり日も暮れている。
「レストラン、予約してあるんだよね。もう御飯食べれる?」
ちょこちょこと買い食いをしていたので心配になって聞くと、大丈夫!なんて喜んでくれる。
『なんだか外国みたい~!…今度は旅行にも行きたいね。』
無邪気に笑う彼女には、当然のようにうんと応えたけれど、ルナの中では次もあるってことかな、と胸が高鳴る。
お店の人には何も言っていなかったものの気を回してくれたのか、俺たちの周りの席には他のお客さんを通さないでくれた。
「じゃあルナ、お誕生日、おめでとう。」
ワイングラスを掲げれば、ありがとうと言ってグラスを鳴らす。
少し横を向いてワインを飲む姿も絵になって、もう俺は、ルナに完全に魅せられてしまってるんだ。
『あー…楽しかったなぁ。ユキ君、本当に 本当にありがとう。』
「…喜んでくれれば、何よりだよ。」
『んふふ。もうね、今までで最高の誕生日だよ!』
「えー?本当に?」
『私、嘘言わないよ!』
「ははっ…うん、知ってる。」
素直すぎて、嘘なんて言えないじゃないか。
いつだって純粋に世界を見ていて、どんな時だって楽しんで、幸せをいっぱい身にまとって、それをそこらじゅうに振りまいて…
周りを、パアッと明るくする。
本当は、眩しすぎて、気付かない振りしてたんだ。
初めてドラマの現場で会ったあの時から、俺はずっと、ルナの底抜けに明るい笑顔しか目に入っていなかった。
ずっと、ルナが、好きだった。
ご飯を食べて、たくさんお土産を買えば、もう帰らなくちゃいけない。
朝通った地球儀まで戻ると、最後に思い出を写真に残そうとするお客さんで溢れていた。
もちろんルナも撮りたいというので、ライトアップされて朝とは表情を変えた大きな地球儀によって、その人口池のへりに腰掛けた。
『んー!良い感じ!このユキ君すごくカッコ良いよ!』
「いや、カッコ良いも何も、暗くてシルエットしか見えないし」
『え、だからカッコ良いんじゃん!』
「うっわー、失礼な。」
『えへへ~』
俺に色々な注文を付けては色々な角度から写真を撮って、ルナなりに最後まで楽しんでいるらしい。
「…ルナ。」
でも俺は、ちゃんと自分の気持ちを伝えるまで、今日のデートは終われないんだ。
「4月にルナの家に行ってから、2ヶ月。毎日一緒にご飯食べて、遊んで、仕事して。今日もこうやってデートに誘って…きっと俺の気持ちなんてもう気付いてるだろうけど、やっぱり、ちゃんと言わせて欲しい。」
おもむろに手を取れば、ルナは、俺を映すその大きくて澄んだ瞳を揺らす。
俺は一日中繋いでいたその手にグッと力を込めて、深く息を吸った。
「俺……ルナのことが『ダメ』」
…え?
突然遮られたことに驚いて、俯向くルナを覗き込むと、
『ユキ君…それ以上、言っちゃ、ダメ……』
ルナは大粒の涙をポロポロとこぼしながら訳のわからないことを言って、
「…!」
俺に優しいキスを落とした。
0
あなたにおすすめの小説
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる