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1.序
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遙か昔、『みこともち』と呼ばれる者によって治められていた国があった。
『みこともち』とは、言葉を持つ者という意味であり、詳しくは神より降りて来た言葉である『みこと』を受け止めて持つことが出来る者であり、この者が様々な審査を経て国の代表に選ばれることになっていたので、代表者を表わす言葉が『みこともち』と呼ばれるようになったと言われている。
時が過ぎて、『みこともち』の治める領域が拡がったので、それまでは口伝えで事足りた言葉の伝達に不便が生じてきたので、神は『みこと』を形で表わした『みこともぢ』なるものを『みこともち』に降ろして、それと同時に紙と鉛筆と呼ばれる未来より取り寄せた道具を発現させ、『みこともち』の身体に乗り移り、鉛筆を使って紙の上へとひとつずつ表わしていった。
何故それが『みこともち』ではなく、『みこともぢ』と呼ばれるのかについては諸説あるのだが、形で表わすことによって濁りが生じる。すなわち美しくない形で使われる可能性が含まれることへの戒めとして、『ぢ』という濁りを付け加えた『ち』となったというのが、もっとも信憑性の高い説であると言われている。
『みこともち』の意義を大切にして取り扱われてきた『みこともぢ』は、人々の生活が豊かになり、心地よい暮らしが当たり前になってから、意義を重んじるどころかただの音の表記と成り果てて、こともあろうか自分にとって都合のよくない立場にいる人や、自分よりも幸福に見える人を傷つけるために使われることが増えてきたため、ある日突然に神によって『みこともぢ』は、人々から取り上げられ、それと同時に人々の意識や生活から瞬時に消え去った。
この物語は、『みこともぢ』が消え去ってからだいぶ時が過ぎ去った、『みこともち』もただの代表者と成り果てて、『みこと』の必要性など思いも寄らない人々の生きている時代が舞台である。
言葉を話すことの出来ない子どもが、神と出会い、様々な存在と出会うことによって、『みこともぢ』を再び取り戻していく物語である。
すべての『みこともぢ』がこの子どもによって取り戻された時に、何が起こるのかはまだ見えて来ないが、『みこともぢ』が取り戻されることによって、『みこと』の意義を再確認する道筋が示されるであろうことだけが何となく分かるだけである。
『みこともち』とは、言葉を持つ者という意味であり、詳しくは神より降りて来た言葉である『みこと』を受け止めて持つことが出来る者であり、この者が様々な審査を経て国の代表に選ばれることになっていたので、代表者を表わす言葉が『みこともち』と呼ばれるようになったと言われている。
時が過ぎて、『みこともち』の治める領域が拡がったので、それまでは口伝えで事足りた言葉の伝達に不便が生じてきたので、神は『みこと』を形で表わした『みこともぢ』なるものを『みこともち』に降ろして、それと同時に紙と鉛筆と呼ばれる未来より取り寄せた道具を発現させ、『みこともち』の身体に乗り移り、鉛筆を使って紙の上へとひとつずつ表わしていった。
何故それが『みこともち』ではなく、『みこともぢ』と呼ばれるのかについては諸説あるのだが、形で表わすことによって濁りが生じる。すなわち美しくない形で使われる可能性が含まれることへの戒めとして、『ぢ』という濁りを付け加えた『ち』となったというのが、もっとも信憑性の高い説であると言われている。
『みこともち』の意義を大切にして取り扱われてきた『みこともぢ』は、人々の生活が豊かになり、心地よい暮らしが当たり前になってから、意義を重んじるどころかただの音の表記と成り果てて、こともあろうか自分にとって都合のよくない立場にいる人や、自分よりも幸福に見える人を傷つけるために使われることが増えてきたため、ある日突然に神によって『みこともぢ』は、人々から取り上げられ、それと同時に人々の意識や生活から瞬時に消え去った。
この物語は、『みこともぢ』が消え去ってからだいぶ時が過ぎ去った、『みこともち』もただの代表者と成り果てて、『みこと』の必要性など思いも寄らない人々の生きている時代が舞台である。
言葉を話すことの出来ない子どもが、神と出会い、様々な存在と出会うことによって、『みこともぢ』を再び取り戻していく物語である。
すべての『みこともぢ』がこの子どもによって取り戻された時に、何が起こるのかはまだ見えて来ないが、『みこともぢ』が取り戻されることによって、『みこと』の意義を再確認する道筋が示されるであろうことだけが何となく分かるだけである。
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