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一章 獣化ウイルス
1-4 詩占の示すもの
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逆らるる
巡り会いにて
彼の人は
黒き光に
眠り給う
紙にはこう記されていた。
詩占での下るだとか落ちるだとか眠るだとかいう記述は、【死】の抽象的表現で、この時の【会う】という表現は、それが他人によってもたらされる、ということを意味している。
「出会いに逆らえば死ぬ? ……わけがわからないなぁ」
「出会わせなければ防げるんじゃないかしらん?」
よく分かっていないのか、曖昧に答える希亜。
「この、黒き光、っていうのは?」
「……私ぃん、詩占はあまり得意じゃないのぉんvv 当たるけどぉん、解読が困難でぇん」
頬杖をついて、困ったように言う。
それもそうだろう。希亜の腕は確かだが、その分出てくる占いの結果としては詳しくかつ難解。
詩占というのは、占い師のレベルが高ければ高いほど、詳しいものになるが、それと比例して難解になっていくため、誤解しがち。
決定的表現が多いのはいいのだけれど、勘違いしてしまっては何の意味もない。
「とりあえず、王の命が危ないってことだけは、間違いないみたいね。」
私の結論に希亜はにっこりと微笑んで頷いた。
しっかし……いきなりえらいことになったもんだ……。
「私一人じゃどうしようもないから……今から城に行って、赤斗に話してみる。何かあったら言霊で連絡お願いね」
「分かったわぁんvv あ、世流ちゃんvvv」
テントの出口で希亜に呼び止められ振り返る。
「私ぃん、これから王の運命占をするからん、炎ちゃんか冷ちゃんを貸してもらえるかしらぁん?」
炎と冷。
私の弟子であるこの二人。施術の腕はそこそこ優秀なのだが、決定的な弱点が一つずつある。
「かまわないよ。超ド級方向音痴の冷と、超ド級物忘れが激しい炎のどちらかでよければね」
私の言葉に、心なしか希亜の表情がひきつった。
巡り会いにて
彼の人は
黒き光に
眠り給う
紙にはこう記されていた。
詩占での下るだとか落ちるだとか眠るだとかいう記述は、【死】の抽象的表現で、この時の【会う】という表現は、それが他人によってもたらされる、ということを意味している。
「出会いに逆らえば死ぬ? ……わけがわからないなぁ」
「出会わせなければ防げるんじゃないかしらん?」
よく分かっていないのか、曖昧に答える希亜。
「この、黒き光、っていうのは?」
「……私ぃん、詩占はあまり得意じゃないのぉんvv 当たるけどぉん、解読が困難でぇん」
頬杖をついて、困ったように言う。
それもそうだろう。希亜の腕は確かだが、その分出てくる占いの結果としては詳しくかつ難解。
詩占というのは、占い師のレベルが高ければ高いほど、詳しいものになるが、それと比例して難解になっていくため、誤解しがち。
決定的表現が多いのはいいのだけれど、勘違いしてしまっては何の意味もない。
「とりあえず、王の命が危ないってことだけは、間違いないみたいね。」
私の結論に希亜はにっこりと微笑んで頷いた。
しっかし……いきなりえらいことになったもんだ……。
「私一人じゃどうしようもないから……今から城に行って、赤斗に話してみる。何かあったら言霊で連絡お願いね」
「分かったわぁんvv あ、世流ちゃんvvv」
テントの出口で希亜に呼び止められ振り返る。
「私ぃん、これから王の運命占をするからん、炎ちゃんか冷ちゃんを貸してもらえるかしらぁん?」
炎と冷。
私の弟子であるこの二人。施術の腕はそこそこ優秀なのだが、決定的な弱点が一つずつある。
「かまわないよ。超ド級方向音痴の冷と、超ド級物忘れが激しい炎のどちらかでよければね」
私の言葉に、心なしか希亜の表情がひきつった。
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