前触れなく感じてしまう体質をなんとかしてほしい

Sui

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ハッキリしないのなんとかしてほしい 〜ケンタ〜

05

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「んん…やっぱり広げているだけの感じしかないな……」

 後孔に挿れているのは指三本。いつもワタルが挿れる前に慣らしている本数だ。潤滑油もたっぷりかけられ、奥まで深く抜き挿したり、広げてみたり、試しにワタル自身もしごいてもらったが、性感として感じることはなくぶら下がったままだった。

 ただ、後孔がいやらしく開いていくだけだ。
 そう思うと、理性がちゃんとある状態ではだんだん虚しくなっていく。

「ごめん……全然感じない」
「大丈夫。わかってる。このぐらいは想定内だ。こちらこそ、色々試して申し訳ない」

 ケンタは頭を横に振った。

「そろそろ…挿れるよ?」

 ワタルの顔は見ずにコクコクとうなずいた。尻は相変わらず高く上げたままだ。
 熱を持ったものが、後孔で感じたときに思わずヒクンと窄まった。そして圧迫感が徐々に広がっていく。

 指とは違う質感、ドクドクと脈打つ触感、性欲スイッチが入っていたときには快感で溺れて気づかなかったのを、いま感じている。

「前立腺部分を中心に刺激しておくから……出来るだけ力抜いて…」

 優しく話してくれるワタルの声が、心地よく感じる。抜き挿しも激しくすることなく、あくまで僕を射精させるための動きであることが分かる。
 突かれるたんびの揺れ、そしてお尻にワタルの臀部が触れる感触が、何故か安心感があった。

 あ、なんか股間にヘンな感じが——。

 気付いたらシーツに僕の精液が飛び散っていた。

「あ、イった…んだ」

 いつもとは違う射精。性感は全くなかった。
 でも、なんだろう、心地よい気持ちが胸のあたりでじんわりと感じる。

 すると、後孔からズルリと抜ける感触にハッとする。

「ワタル……まだイってないのか」

 ワタル自身はまだ硬いままだった。セックスするときは一緒にイくんじゃなかったのか——?

「大丈夫だ。自分で処理する。…あとでまじないが解けてるかどうか教えてくれよな」

 バスタオルを拾い、自分の部屋に戻れよといいながら渡されたが、僕はワタルを無理矢理ベッドに座らせ怒鳴った。

「セックスするときは一緒にイくと決めたんじゃないのかよ⁉︎」
「だから今回は例外で……ケンタはいま性欲スイッチ入ってないんだろう?」
「入っても入ってなくても、セックスは一緒にイったほうがいいだろう⁉︎」
「……なんでそう思うんだ?」

 なんで?そういえばなんでだ?分からない。分からないけれど、一緒にイってないのが無性にムカついて——なんでムカつくんだ?

「あー……とりあえずキツいから、出てくれないか…?」

 ワタルがどうしても僕を部屋から出そうとすることにカッとなって、ずっと勃っていたワタル自身を強めに掴んだ。

「ほあうっ! なにするんだっ⁉︎」
「おまえをイかせてから出る!」
「ケンタ! やめろっ! ……ぐぅっ」

 いつも後孔で感じていたワタル自身を手で感じるのは不思議な感じだったが、嫌悪感は全くなく両手でしごく。
 止める気がないと分かったのか抵抗するのを諦め、ケンタに身を寄せ抱きしめた。

 ワタルの吐息が耳にかすられる。いつもしてくれたのを思いだしながら陰茎をこすったり、カリのところや先端を親指でグリグリしたり…、潤滑油と先走りでだんだんと濡れていく。
 今までちゃんと見たことなかったけどそんなに黒くもなく、ただたくましい。長さや太さは僕より大きいけれど。

「……舐めてやろうか?」

 舐めてもきっと嫌悪はない。何故かそう思った。

「ふ、そう言ってくれるのは嬉しいけどな……。でも今はケンタの手で充分だ」

 そう言ってワタルの手が僕の手の上に重ね、握った。そして一緒に何度か強くしごくと、くぐもった声が聞こえ僕たちのお腹に精液がかけられた。

「ありがとな…ケンタ……」

 イったことで高揚していたワタルの顔を間近で見て、胸がドクンとし、そこから動悸が止まらなくなった。

 なんだ、これ。

「…よしっ! じゃあシャワー浴びてくか! なんか変化あったら話しとくな!」
「うん。ちゃんと話してくれよな。解けていなかった場合、他のも考えなきゃいけないからな」
「分かってるって!」

 ワタルはずっと微笑んでいた。それがなんか言葉に出来ないような感情があふれ出てくる。なんだこの感情。なんかまともにワタルの顔が見れない。

 これ以上おかしくなりそうな気がして慌てて部屋を出て、シャワーに向かったケンタだった。


 ◇


 あれから数日後、変化は何もなく性欲スイッチはやってきた。つまりアレでは解けていなかったのだ。

「呪い全然解けてないんじゃないかよぉ………! ワタルゥ!」
 
 ここ数日ワタルの顔を見るのもなんか恥ずかしくて出来るだけ顔を合わせないように、食事を作るときと仕事以外は自分の部屋にこもっていたが、性欲スイッチが入ってしまったらどうしようもない。
 あの時のドキドキがどんな気持ちなのかまだ分からないのに困る。
 
「ケンタ? どうした?」

 ドアの向こうでワタルの声がする。

「性欲スイッチ入ったから…っ! なんとかしろ…っ!」

 するとすぐドアが開けられ、そこには嬉しそうな顔をしていた。

「初めて……俺から向かうんじゃなくケンタが呼んでくれた…」
「なに言ってんだっ! 今回は空イキなしだからなっ!」
「えー」
「呪い解けてないしっ! この間でまだしんどいっ!」

 本当はしんどくないけど、しんどいことにしたかった。
 ワタルが心なしか楽しそうなの、なんかムカつく!


 呪いより、自分の感情がハッキリしないのなんとかしてほしいと思うケンタであった。


【第三部  終】
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