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キスしたくなるのなんとかしてほしい 〜ワタル〜
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しおりを挟む「今日はあの呪いがかかった方の護衛の仕事があるけど、なにもないからね~」
ワタルは朝から撫で声でケンタを後ろから抱きしめながらそう言った。
「なんでわざわざ言うんだよっ! あとなんで抱きついてくるんだよっ! 離せっ!」
「だって誤解されたら困るし、抱くのはケンタが好きだから~」
ちゃんと告白してからは、「好き」を大サービスとばかりに、口を開けば発してしまうのだ。
「おはよう。朝から好きと思えるの最高だな」
「何度見てもやっぱりケンタが好きだなって」
「ただいま。ケンタが好きすぎて早く帰りたかった」
「俺の夢を見てくれよな。ケンタ好きだよ。おやすみ」
自分でもびっくりするぐらい、甘い言葉を言って抱きしめてはケンタを怒らせている。
といっても、本当に怒ってるわけじゃないと確信出来るだけに、赤くなるケンタを見ていたくてついつい構ってしまう。
本当だったら、甘い言葉の後にキスをしたくてたまらなかったりするんだが、グッと堪えている。
せっかくだから、ケンタから「好き」と言われてからキスしたい。
市場で依頼者の配偶者と一緒に居たのを見られたあの時、楽しそうにしてたとケンタは言ったが、実際そのように見られたのはケンタのせいでもあるのだ。
首に噛まれた時の歯形が、服装では隠せないところにあるため、それを見つけた配偶者がからかってきたのた。
まぁ実をいうと隠そうと思えば出来たが、なんとなく見せびらかせたい気持ちもあったので、自分も少しだけ非はあるけれど。
でもその結果、ヤキモチ妬いていたのを知ることが出来た。ただまさかあの森の中での「好きだ」を聞かれていたのは想定外だったが、そのおかげで気兼ねなく好きと言えるようになったし、ケンタもまんざらではないのが分かる。
「じゃあ、いってくるね~。ケンタ好きだよ~」
「うるせぇ! とっとといけ!!」
ウキウキしながら仕事へいく。正直に好きと言えるのってなんて楽しいんだろう。
◇
「ここ最近ご機嫌だな」
上司から指摘され、思わず表情を引き締めたが時すでに遅し。
「どうせあの歯形の主なんだろう。今回は魔物が出ない仕事内容にせよ、仕事中は気は引き締めておけよ」
「すみません」
この前、首に歯形がついたまま隠そうともせずにいたからか、周囲からは恋人が出来たと思われてしまっている。
そこはべつにいいのだが、顔がゆるんでしまうのは仕事上まずいだろう。
気を引き締めようと、姿勢ととも正そうとすると依頼者の配偶者に声かけられた。
「どうされましたか?」
「いえ…、この間は市場までありがとうございました。先ほど食欲が戻ったようで、おかげで食べさせてやれることが出来ました」
「食欲が戻りましたか。良かったですね」
「あなたのおかげで、久しぶりにあの方の笑顔が見れた気がします」
安心したような顔で報告してくれる。本当に愛しているのだなと伝わる。
最初は、血も涙もない領主貴族の配偶者は依頼者のことなんとも思ってないのだろうと思っていたが、実際会ってみると全然そんなことはなく心優しき人だった。依頼者も人望のあるきちんとした人で、おそらく呪いをかけた人は嫉妬の類だろう。
依頼者は本当に配偶者を守りたいがために護衛をお願いしたんだとここ最近知った。相思相愛なのが羨ましい。
「今はいつも通りになっておりますので、護衛はもう大丈夫です。また発生しましたらご連絡しますのでよろしくお願いします」
「かしこまりました。また何かあればご遠慮なく連絡ください」
形式上の挨拶を済ませると、向こうからこっそり耳打ちされた。
「あの、あなたのご友人の呪い……もしかしたら私知ってるかもしれません」
「なんだって!?」
うっかり声出てしまった。一緒に護衛していた上司から睨まれてしまい、アイコンタクトでお詫びをする。
依頼者は呪いをかけた人をなんとか見つけたのなら、もしかしたらケンタの呪いも何か知っているかもと思い、こっそり相談してみたのだ。
「呪いを知っているというのは…?」
「あぁ、実は『呪い』というより、『おまじない』というほうの、誰でも出来るほうなんですけども——」
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