前触れなく感じてしまう体質をなんとかしてほしい

Sui

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番外編

秋を楽しもうじゃないか 後編

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 とりあえずコトが済ませるまで大人しく静かに待っていようと元の位置に戻り、座って待機する。
 料理長のくぐもった声と濡れた音や肉同士がぶつかる音がとても卑猥で、どこにも行けない逃げられない状況に身体が縮こまってしまう。
 ワタルが下に聞こえないように僕の耳のそばで話しかけられた。

「俺が気付いた頃にはもう始まってた。あそこ一応死角になってるけど、上に人がいるって気付いてなかったんだろうな」

 うわ、ちょっとやめろ。こんな状況でドキドキしてんのに、耳元で話しかけるな。下半身たのむから反応するなよ。

「ねぇ、俺らもこういう開放、しちゃう?」

 あほか! 開放しねぇよ!
 そう言いたいが声を抑えて言える自信はなく、黙っているだけだ。
 先ほど覗いた時の情景が頭にこびり付いて離れない。

 料理長といえば厳しい顔しか見たことなかったのに、とろけた顔してカイを受け入れていた。
 料理長は常に料理一筋で、家庭を持つと必ず相手に迷惑かけるからと独身を貫くといった人だった。確か若くして料理長になったはずだから今は確かもうすぐ30代後半ぐらい……? カイは同じくらいか?
 いやいやそうじゃなくて! あの二人そういう仲だったの⁉︎ だからあんな口調だったのか!

「カ……イ……っ、早く、イってっ! あんっ」
「うそつき。まだ足りないんでしょ」

 カイがそう言った後、激しくなっていく音が嫌でも耳に入る。時々抑えきれなかった喘ぎ声も聞こえてきて、今度の出勤で料理長と顔合わせるときに普通でいられる自信がない。どうしよう。

 側にいたワタルがなにやらモゾモゾしていたが、気付いたら後ろから抱きしめられており、身体を膝で挟められていた。
 ワタルの顔が僕の肩に乗せ、耳元で囁く。

「まだ時間かかりそうだね」

 臀部に明らかに勃っているのを押しつけられた。ただ僕もそうなっているから、抵抗出来ない。
 つい大きな声が出てしまわないように必死に声を抑えながらワタルに伝える。

「何も……するなよ……」
「大丈夫、こうしてるだけ。……でもちょっとだけ肌に触れたいな」

 唇が僕の首をさするように触れてくる。

「んんっ…」

 二人のせいでこっちもなんか変な感じになる。ワタルがさっきから呼吸が荒い。
 僕もワタルのどこかに触れたい——そう思った。

 膝の上にワタルの片手が置いてあったのを気付き、それを両手で掴んで口まで持っていく。
 手の甲を頬で擦り寄せながら、唇まで持っていき軽く吸ってみる。
 ザラリとした感触が唇で感じるのが気持ちいい。
 ワタルの手の肌を楽しんでいる間は動きがなかったが、しばらくすると動き始めた。

 指が僕の頬や唇をなぞったり、時々口の中に入れようとしては、はぐらかす。
 そんな動きがもどかしくて、手首を握り人差し指を口の中に入れて舐めてやった。何もするなよと言ったのに、自分がこうしてちゃ意味がない。

 僕がワタルの指を受け入れたことで問題ないと捉えたのか、中指や薬指も口の中に入り、舌や上顎をなぞられていく。
 無理矢理でもなく、弱くもなく、感じるであろうのところで唇とともに擦られ、軽い快感が肌に響いていく。

 口だけなのに変な感じだ。そういえばワタルの舐めたことなかったっけな。前に一回してやろうかとは思ってたけど、結局せずのままだっけ。

 指が口から抜かれるたびに口端から涎が出ていくのを感じる。
 時々ワタルの感触を歯で感じたくて甘噛みしたりした。

「えっろ……。本当にここでしちゃだめ?」
「……だめ。ここはやだ」
「じゃ、早く下山しよう」

 スクッと立ち上がり、岩から降りようとするワタルに慌てるが、耳をすませてみると静かになっているのに気付く。
 二人はすでにコトは済ませてどっかに行ったようだ。それに気付かないくらい夢中になっていたのかと思うと恥ずかしくなる。

「待って、腰が立てない」
「……だから、なんでそう煽るかな?」
「煽ってるつもりはない。というか、元々はあの二人のせいだ」
「まぁ、そうなんだけどさ。落ち着いたら言って。先に降りるから」

 そう言って、ワタルはリュックを背負いさっさと降りた。
 おそらくこれ以上居るとヤバいと思ってのことだろう。いつだってケンタ優先に考えてくれる。
 とりあえずしばらく腰が立たないのと、股間が落ち着くまで呼吸を整えることに集中する。
 案外興奮していたのか、頬が火照っていて冷たい風を感じるのが少し恥ずかしくなった。
 こんな青空の下でヤるとか考えられないけど、もし性欲スイッチがまだあったらきっと我を忘れて絶対ここでやってたんだろうなぁ……。ワタルもきっと付き合ってくれているだろう。

 色々考えてるうちに股間も落ち着いていて、呼吸も通常通りだ。
 ワタルも多分落ち着いているだろうと思い、声を掛けると声が返ってきた。
 さっそく降りようとするも、案外なかなか難しく途中で足を滑らせ、地面に落ちると目をつぶりながら受け身に切り替わろうとしたら、ワタルは想定内だったようで、キャッチしてくれた。

「すまん。足が滑った」
「んにゃ、問題ない。むしろ俺に頼ってくれよな」

 キャッチついでに、ぎゅっと強く抱きしめられ勝ち気な笑顔が目の前にある。
 なんだかキスしたくなり、ワタルの唇を軽く触れてみると、まさかしてくれるとは思わなかったのか目をぱちくりしていた。
 なんか優越感があり、思わず笑みを作るがキス仕返しされ、舌まで入り込んできてなかなか離してくれない。早くどけと背中をポカポカと叩く。

「ケンタからキスしたくせに」
「うるさい! 下りるぞ!」
「それってケンタも早く……」
「そうだよ! だからさっさと来い!」

 照れ隠しに早口で返答し、早足で下りる。

「待て待て。そんなに早く下りちゃうと怪我しちゃうし慣れてないんだから明日筋肉痛になるぞ?」

 確かに早く下りようとすると勢いで怪我しやすいのだが、そこまで馬鹿じゃない。

「……ワタルは早く下りたくないんだな?」
「今のは煽ってるな?」

 答えは笑みで返してやった。





「あ~、煽るんじゃなかったな……」

 腰が変な感じのまま、出勤する羽目になるとは思わなかった。
 下山するまでお預けをくらったせいでもあるが、今回はあの岩の上でワタルの指をはむはむしたのを思い出し、してやろうかと提案したのがいけなかった。
 ワタルはずっとされてみたいなと思っていたらしく、しかしお願いするのもなと我慢していたようで、爆発しちゃったというね。
 ……まぁ、口淫している間はワタルを支配してるようで楽しかったけどさ。結局僕もワタルと変わりないってことだよなぁ。
 怠い身体に鞭を打ちながらランチタイムが始まるまでの準備をこなしていると、料理長から声掛けられビクッとなってしまった。

「ケンタ、ちょっといいか?」
「は、はい。なんでしょう、か」
「こないだ娯楽専用の山行ってみたんだがな、一食分を持って行けるようなのを考えてみたんだ。カイからケンタも行ったと聞いてな、なんか意見あれば言ってほしい」

 キッチン台の上には表面がツルツルになっている木の皮に包まれている一食分の食糧携帯が置いてあった。広げてみると、ライスを丸めたものやひと口分の旬の食材がいくつかあり、気軽に食べれるように出来ていた。

「あ、良い、感じです、ね」

 料理長の顔を見ると、あの時を思い出してしまって、目を合わせれない。……というか、カイがなんで僕が行ってたの知ってんだよ⁉︎
 カイの方を見ると明らかにニヤニヤした顔で見守っていた。……アイツ、僕たちがいる事をわかってたな⁉︎
 しかも料理長の様子からして、僕たちが居たことはおそらく気付いていない。

「よし! 今からレシピ書いておく。娯楽専用の山が開いてる間はこの食糧携帯を売ろう」
「えっ、人手は大丈夫ですか?」
「問題ない。カイに全て任す」
「……あっ、はい」

 向こうから何やら叫んでるっぽいが、知らないふりする。料理長もスルーしていた。
 悪どいことを考えるとしっぺ返しがとんでもないってことを経験してもらわないとな。うん。

 カイのしでかした結果、食堂はより繁盛となりしばらくは忙しい日々となった。

 結局、料理長とカイの関係を知ることはそう遠くはなかったが、知らないままでいたかったなと思うケンタであった。



■■■


 ケンタの同僚が密かに気に入ってるので、名前を出してみました!
 料理長との関係も元々決まってたので少しでも話に入れたいなぁ~と思った結果ですが、いつかは二人の話も作りたいなぁとは考えてます。
 ありがとうございました!
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