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第一章「宿命の子どもたち」 前編
第3話
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もう一つは、厩戸皇子の立場の変化であった。
仏教探求のためだけならば、飛鳥の地でも良かった。
むしろ、飛鳥の地のほうが最適である。
彼の地には、馬子の建立した飛鳥寺(法興寺)がある。
塔を中心に三方向を金堂で囲まれた一塔三金堂の寺は、見るものを圧倒する荘厳な造りであった。
当時の権力者たる馬子の財力のなせる業である。
馬子の庇護のもとならば、飛鳥に荘厳な寺が築ける。
だが厩戸皇子は、政治的・文化的利点のある飛鳥の地を離れる。
それは、彼の立場、すなわち摂政としての立場があった。
斑鳩に宮室が築かれたのは、彼が女帝の摂政となって九年目のことだ。
摂政となると、有力氏族との結び付きも多くなる。
しかも、彼は次の天皇候補と目されている人物である。
彼には、四人の妃がいた。
そして、彼の子供は十四人近くおり、これに彼の兄弟やその子供を含めると、三十人近くになる。
それに彼らを取り巻く氏族や従者、家人・奴婢を含めれば、そこに巨大な一族が誕生する。
この一族を支える経済基盤が必要となってくる訳だが、流石の蘇我本家も、これだけ巨大化した一族を支えられるはずもない。
故に、蘇我本家から独立して、新しい経済基盤を築かなければならなくなったのである。
斑鳩の地は、地理的に非常に意味深い場所にあった。
奈良には、大和川という大きな川があるが、この川は、飛鳥から流れてくる飛鳥川や三輪山から流れてくる初瀬川、葛城地方から流れてくる葛城川・曽我川が合流して、葛城・生駒山系を抜け、大阪湾に注いでいる。
その合流点が、この斑鳩付近なのである。
大和川を遡って難波から飛鳥に入っていたので、各支流が合流する斑鳩の地は、交通の要となる場所であった。
また、この斑鳩一帯は、平群氏が治めた場所でもあった。
平群氏は、大臣を出す家柄であったが、武烈天皇の御世に、平群真鳥大臣・鮪臣親子の専横が理由で討伐された氏族であった。
ただ本当の理由は、莫大な斑鳩の地にあった莫大な財力を、天皇家が欲したということらしい。
それほど、この地が相当に豊かな地であったのである。
厩戸皇子は、摂政となって多くの氏族と関係を持つようになる。
彼の一族は巨大化する一方である。
しかし、このまま蘇我本家の庇護のもとにいれば、彼の一族だけでなく、蘇我本家までが経済崩壊しかねない。
では、新しい宮室を築こう。
こういった考えが、彼の中にあった。
その時、たまたま天皇家の支配下にあった斑鳩が、彼の目に留まったのである。
また独立すれば、より深く仏教を追及できると考えたのも間違いないだろう。
兎も角も、厩戸皇子が一族もろとも移り住んだことで、斑鳩は興隆の栄華に預かることになったのである。
仏教探求のためだけならば、飛鳥の地でも良かった。
むしろ、飛鳥の地のほうが最適である。
彼の地には、馬子の建立した飛鳥寺(法興寺)がある。
塔を中心に三方向を金堂で囲まれた一塔三金堂の寺は、見るものを圧倒する荘厳な造りであった。
当時の権力者たる馬子の財力のなせる業である。
馬子の庇護のもとならば、飛鳥に荘厳な寺が築ける。
だが厩戸皇子は、政治的・文化的利点のある飛鳥の地を離れる。
それは、彼の立場、すなわち摂政としての立場があった。
斑鳩に宮室が築かれたのは、彼が女帝の摂政となって九年目のことだ。
摂政となると、有力氏族との結び付きも多くなる。
しかも、彼は次の天皇候補と目されている人物である。
彼には、四人の妃がいた。
そして、彼の子供は十四人近くおり、これに彼の兄弟やその子供を含めると、三十人近くになる。
それに彼らを取り巻く氏族や従者、家人・奴婢を含めれば、そこに巨大な一族が誕生する。
この一族を支える経済基盤が必要となってくる訳だが、流石の蘇我本家も、これだけ巨大化した一族を支えられるはずもない。
故に、蘇我本家から独立して、新しい経済基盤を築かなければならなくなったのである。
斑鳩の地は、地理的に非常に意味深い場所にあった。
奈良には、大和川という大きな川があるが、この川は、飛鳥から流れてくる飛鳥川や三輪山から流れてくる初瀬川、葛城地方から流れてくる葛城川・曽我川が合流して、葛城・生駒山系を抜け、大阪湾に注いでいる。
その合流点が、この斑鳩付近なのである。
大和川を遡って難波から飛鳥に入っていたので、各支流が合流する斑鳩の地は、交通の要となる場所であった。
また、この斑鳩一帯は、平群氏が治めた場所でもあった。
平群氏は、大臣を出す家柄であったが、武烈天皇の御世に、平群真鳥大臣・鮪臣親子の専横が理由で討伐された氏族であった。
ただ本当の理由は、莫大な斑鳩の地にあった莫大な財力を、天皇家が欲したということらしい。
それほど、この地が相当に豊かな地であったのである。
厩戸皇子は、摂政となって多くの氏族と関係を持つようになる。
彼の一族は巨大化する一方である。
しかし、このまま蘇我本家の庇護のもとにいれば、彼の一族だけでなく、蘇我本家までが経済崩壊しかねない。
では、新しい宮室を築こう。
こういった考えが、彼の中にあった。
その時、たまたま天皇家の支配下にあった斑鳩が、彼の目に留まったのである。
また独立すれば、より深く仏教を追及できると考えたのも間違いないだろう。
兎も角も、厩戸皇子が一族もろとも移り住んだことで、斑鳩は興隆の栄華に預かることになったのである。
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