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ヒロインと僕
中庭のベンチは人がほとんどいなかった。ホームルームが終わった直後のため教室で会話をするか、寮へ向かう人が多く、わざわざは離れた中庭に初日から来る人もいないらしい。
「あんたカール様とどういう関係?」
前置きなく不躾に要点を聞いてくる。
「……なぜそのようなことを尋ねられるんでしょう?」
「どうでもいいでしょ。2人は私のものなんだから手を出さないでよね。ちょっと可愛いと思って邪魔するんじゃないわよ」
やはりゲームのストーリーを知っているみたいだ。当然のようにぺらぺらと話してるけど、すごいなこの子。
「2人?兄とヒースのこと?」
「兄?あんた誰よ!カール様に妹なんかいないはずよ」
どうやら女性と間違えられているらしい。
たしかに髪は長いけど…ローブはユニセックスだけど…
「…」
「ゲームでは…妹なんかいなかったはず…でもモブなんて正確に覚えてないし…てか、モブのくせに目立ちすぎでしょ?私の可愛さが霞んだらどうすんのよ…」
なんか小声でぶつぶつ言っている。丸聞こえですけどね。
「ユラン様、探しましたよ」
帰ろうとすると、少し離れたところからヒースの声がした。
「ヒース、ごめんね。呼び出されて…」
「また、貴女ですか…」
僕を背中で庇うように間に立つと、きっと彼女を睨んだ。
イザベラは目を丸くしてこちらを凝視している。
「まさか、ユランって…ユラン=キャボット?カール様の弟の?あの熊?まさか…別人じゃん…騎士科じゃないの?でもヒースと一緒にいる本人かな…バグ?」
「ユラン様、行きましょう」
まくし立てる彼女をヒースは冷ややかな目で見下ろす。
「ユラン=キャボットで間違いない?」と、しつこく絡んでくるので、素早く首を縦にしてその場を後にした。
「ユランならよかったわ。ライバルじゃないし。熊よりはまだ見れる顔してるし少しくらい仲良くしてあげてもいいわ」
後ろではヒロインが嬉しそうにマシンガンな独り言を言うのが耳に入った。
*
「ユラン様?先程の女性は?」
「ウェスト男爵家のイザベラ嬢だって。ホームルーム終わったところで呼び出されちゃって…」
「初対面で馴れ馴れしいご令嬢ですね…僭越ながら、少し距離を置かれた方がよろしいかと…」
「うん。勿論、そのつもりだよ。
(もう、近づくのはやめよう。転生者だってのは確信できたし…これ以上近づいても得るものは無さそう…仲良くって…無理)」
「賛同いただけて何よりです。
(まさか、あの女…俺のユラン様に手を出そうとするとは!呼び出されたと聞いたときは焦ったが…間に合ったようでよかった…あの女もそうだが…他にもユラン様の可憐さに心を奪われてる男が少なからずいるようだ…早めに釘を刺さねば…)」
ヒースは不敵な笑みを浮かべた。
「あんたカール様とどういう関係?」
前置きなく不躾に要点を聞いてくる。
「……なぜそのようなことを尋ねられるんでしょう?」
「どうでもいいでしょ。2人は私のものなんだから手を出さないでよね。ちょっと可愛いと思って邪魔するんじゃないわよ」
やはりゲームのストーリーを知っているみたいだ。当然のようにぺらぺらと話してるけど、すごいなこの子。
「2人?兄とヒースのこと?」
「兄?あんた誰よ!カール様に妹なんかいないはずよ」
どうやら女性と間違えられているらしい。
たしかに髪は長いけど…ローブはユニセックスだけど…
「…」
「ゲームでは…妹なんかいなかったはず…でもモブなんて正確に覚えてないし…てか、モブのくせに目立ちすぎでしょ?私の可愛さが霞んだらどうすんのよ…」
なんか小声でぶつぶつ言っている。丸聞こえですけどね。
「ユラン様、探しましたよ」
帰ろうとすると、少し離れたところからヒースの声がした。
「ヒース、ごめんね。呼び出されて…」
「また、貴女ですか…」
僕を背中で庇うように間に立つと、きっと彼女を睨んだ。
イザベラは目を丸くしてこちらを凝視している。
「まさか、ユランって…ユラン=キャボット?カール様の弟の?あの熊?まさか…別人じゃん…騎士科じゃないの?でもヒースと一緒にいる本人かな…バグ?」
「ユラン様、行きましょう」
まくし立てる彼女をヒースは冷ややかな目で見下ろす。
「ユラン=キャボットで間違いない?」と、しつこく絡んでくるので、素早く首を縦にしてその場を後にした。
「ユランならよかったわ。ライバルじゃないし。熊よりはまだ見れる顔してるし少しくらい仲良くしてあげてもいいわ」
後ろではヒロインが嬉しそうにマシンガンな独り言を言うのが耳に入った。
*
「ユラン様?先程の女性は?」
「ウェスト男爵家のイザベラ嬢だって。ホームルーム終わったところで呼び出されちゃって…」
「初対面で馴れ馴れしいご令嬢ですね…僭越ながら、少し距離を置かれた方がよろしいかと…」
「うん。勿論、そのつもりだよ。
(もう、近づくのはやめよう。転生者だってのは確信できたし…これ以上近づいても得るものは無さそう…仲良くって…無理)」
「賛同いただけて何よりです。
(まさか、あの女…俺のユラン様に手を出そうとするとは!呼び出されたと聞いたときは焦ったが…間に合ったようでよかった…あの女もそうだが…他にもユラン様の可憐さに心を奪われてる男が少なからずいるようだ…早めに釘を刺さねば…)」
ヒースは不敵な笑みを浮かべた。
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