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3.ノルック
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銀色の髪の子は、どうやら男の子のようだった。
「ね、君の名前はなんていうの?」
「………………………………ノル………ェク」
しばらく間があってから、ものすごく小声で
答えられた。
「ん?ごめんね。ちゃんと聞き取れなかったんだけど、ノル…ック?かな?」
「…」
「あれ?違った?ノルックじゃない?ごめんね。も一回…「ノルック。」」
「あ、ノルックで合ってたのね。」
少年は、目を合わせないように足元の草をじっと見ていた。
「へへ。しばらくよろしくね。ノルック」
手を出してみたら、影で気付いたのか、指先をちょこんと掴まれた。
この世界にも握手はあるみたい。
こんな感じで名前は教えてもらえたけど、それ以外にどこからきたのかとか両親は心配していないのかとかという質問は無視されてしまった。
正直なところ、国とか地名言われてもわからないから言いたくなかったらいいんだけど、両親に連絡する方法があるなら連絡したほうが・・と言ったら「親いない」とだけ言われたので、それから深く追求するのをやめた。
子どものようだけど、落ち着いてからよくよく考えると、逃亡中の犯罪者の可能性も過ぎる。
でも観察した限りでは基本的に素直そうだし、コミュニケーションも取れてるし、異世界で身寄りもなくてただ生きてるだけの私に守るものは少ないから万が一犯罪者だったとしてもあまり関係ないだろうと、その考えは無視することにした。
その日の夜
ソニアさんとダイアさんが寝ていた部屋はベッドが2つあるから、私も今までの寝る部屋を移動してノルックと寝ることにした。
いつもより早い時間だけどお互い慣れない出来事に疲れたのか、すぐに2つの規則的な寝息が奏でられた。
夢も見ない真っ暗な空間の中
突如呻くような声が聞こえた気がして飛び起きた。
外を見ると夜が明ける兆しもない宵闇だった。
声は隣からしていた。ベッドを降りて様子を見ると、苦しむように呻いていて額には汗も噴き出ている。
「だ、大丈夫?!どこか痛いの?」
声をかけても目覚めない。額に触れると熱が出ている。
どうして?寝る前まではなんともなさそうだったのに。治療したはずの怪我が化膿したのか…
傷口を見るけど膿んだり悪化しているようには見えない。といっても医者でもないからわからない。もしかしたら見えないところで細菌が入り込んでいるのかもしれない。
とにかく熱を下げないと
キッチンに向かい、水を出してタオルとして使っている布を濡らす。
魔法が使えたら氷を出して冷やせるだろうけど、残念ながら氷室もないのでこまめに水を変えるしかない。
水を入れた桶と濡らしたタオルを持って寝室に戻り、汗を拭いてから新しいタオルでおでこを冷やす。
「ぅっ…あああっ…!!!」
首を動かすだけだったノルックが上半身を捩って暴れだした。ベッドの縁に体をぶつけるので慌てて体を抑える
「ノルック!落ち着いて!大丈夫!大丈夫だから…」
‘大丈夫’なんて口にしながら、頭の中はパニックだ。傷口に塗った薬が合わなかったのだろうか。いつも使っているから大丈夫だと思ったけど。それとも食事が良くなかった?すっかり忘れていたけど、食べたものにアレルギーがあったとか…
暴れる体を抑えながらも悪いことばかり浮かんで来る。
どうしよう。どうしたらいいの。
私のせいでノルックが死んじゃったりしたらどうしよう。
誰か、ソニアさん!ダイヤさん!助けて!!!
キラッとブレスレットが光る。
押さえつける手が滑って胸元に移動した瞬間、懐かしい感覚があった。
ソニアさんと何度も練習した
魔力を吸い取る感覚。
魔力を吸い取る程に暴れる力が弱まっていく。
ブレスレットが受け入れきれなくなって紅く光ると、手を離して“ソニアさん”に流し込む。
それを数回繰り返すと、ようやく安定したようですやすやと心地よい寝息に変わった。
額に触れると、ほんのり温かさを感じる程度になっていた。
「よ、良かった…」
安心してへたり込む。
最後の魔力を置物のソニアさんに移動して、一息ついた。
「魔力、ぼうそう…だったのかな?ひとまず、よかった…」
その日はそのまま寝てしまい、目が覚めたノルックが、ベッドに寄りかかって寝ている私を見て驚く声で目を覚ました。
ノルックはあまり喋らないけど、お願いをしたらだいたい魔法で叶えてくれる。
「お掃除魔法とか使えたりする・・?」
と言ったら魔法で部屋中をピカピカにしてくれるし
「お洗濯したいんだけど水出したりできる?」
と言ったら魔法で洗濯機みたいにまとめて洗って脱水までしてくれるし
「今日お風呂めんどくさいな」
と言ったら清浄魔法をかけてくれた。
「快適すぎてノルックが帰った後生活できなくなりそう。」とついポロッと口にしたら、ノルックが前のめり気味に「いいよ」と言うので、これ以上ダメ人間にしないでと言って笑った。
朝起きて、おはようと言いあって
包帯を変えて
ご飯を食べて
掃除して洗濯して
畑の世話をしたり
食材を調達したり
お菓子を作ったり
日が暮れたらまたご飯を食べて
包帯を変えて
夜は同じ部屋で眠り
苦しそうな時はこっそり魔力を吸い取る
魔力を吸い取っていれば、ノルックは何もなく平気そうだった。
誰にも傷つけられない2人だけの生活は
ダイアさんとソニアさんとの生活とは違うけど久しぶりに感じた温かなひと時だった。
「ね、君の名前はなんていうの?」
「………………………………ノル………ェク」
しばらく間があってから、ものすごく小声で
答えられた。
「ん?ごめんね。ちゃんと聞き取れなかったんだけど、ノル…ック?かな?」
「…」
「あれ?違った?ノルックじゃない?ごめんね。も一回…「ノルック。」」
「あ、ノルックで合ってたのね。」
少年は、目を合わせないように足元の草をじっと見ていた。
「へへ。しばらくよろしくね。ノルック」
手を出してみたら、影で気付いたのか、指先をちょこんと掴まれた。
この世界にも握手はあるみたい。
こんな感じで名前は教えてもらえたけど、それ以外にどこからきたのかとか両親は心配していないのかとかという質問は無視されてしまった。
正直なところ、国とか地名言われてもわからないから言いたくなかったらいいんだけど、両親に連絡する方法があるなら連絡したほうが・・と言ったら「親いない」とだけ言われたので、それから深く追求するのをやめた。
子どものようだけど、落ち着いてからよくよく考えると、逃亡中の犯罪者の可能性も過ぎる。
でも観察した限りでは基本的に素直そうだし、コミュニケーションも取れてるし、異世界で身寄りもなくてただ生きてるだけの私に守るものは少ないから万が一犯罪者だったとしてもあまり関係ないだろうと、その考えは無視することにした。
その日の夜
ソニアさんとダイアさんが寝ていた部屋はベッドが2つあるから、私も今までの寝る部屋を移動してノルックと寝ることにした。
いつもより早い時間だけどお互い慣れない出来事に疲れたのか、すぐに2つの規則的な寝息が奏でられた。
夢も見ない真っ暗な空間の中
突如呻くような声が聞こえた気がして飛び起きた。
外を見ると夜が明ける兆しもない宵闇だった。
声は隣からしていた。ベッドを降りて様子を見ると、苦しむように呻いていて額には汗も噴き出ている。
「だ、大丈夫?!どこか痛いの?」
声をかけても目覚めない。額に触れると熱が出ている。
どうして?寝る前まではなんともなさそうだったのに。治療したはずの怪我が化膿したのか…
傷口を見るけど膿んだり悪化しているようには見えない。といっても医者でもないからわからない。もしかしたら見えないところで細菌が入り込んでいるのかもしれない。
とにかく熱を下げないと
キッチンに向かい、水を出してタオルとして使っている布を濡らす。
魔法が使えたら氷を出して冷やせるだろうけど、残念ながら氷室もないのでこまめに水を変えるしかない。
水を入れた桶と濡らしたタオルを持って寝室に戻り、汗を拭いてから新しいタオルでおでこを冷やす。
「ぅっ…あああっ…!!!」
首を動かすだけだったノルックが上半身を捩って暴れだした。ベッドの縁に体をぶつけるので慌てて体を抑える
「ノルック!落ち着いて!大丈夫!大丈夫だから…」
‘大丈夫’なんて口にしながら、頭の中はパニックだ。傷口に塗った薬が合わなかったのだろうか。いつも使っているから大丈夫だと思ったけど。それとも食事が良くなかった?すっかり忘れていたけど、食べたものにアレルギーがあったとか…
暴れる体を抑えながらも悪いことばかり浮かんで来る。
どうしよう。どうしたらいいの。
私のせいでノルックが死んじゃったりしたらどうしよう。
誰か、ソニアさん!ダイヤさん!助けて!!!
キラッとブレスレットが光る。
押さえつける手が滑って胸元に移動した瞬間、懐かしい感覚があった。
ソニアさんと何度も練習した
魔力を吸い取る感覚。
魔力を吸い取る程に暴れる力が弱まっていく。
ブレスレットが受け入れきれなくなって紅く光ると、手を離して“ソニアさん”に流し込む。
それを数回繰り返すと、ようやく安定したようですやすやと心地よい寝息に変わった。
額に触れると、ほんのり温かさを感じる程度になっていた。
「よ、良かった…」
安心してへたり込む。
最後の魔力を置物のソニアさんに移動して、一息ついた。
「魔力、ぼうそう…だったのかな?ひとまず、よかった…」
その日はそのまま寝てしまい、目が覚めたノルックが、ベッドに寄りかかって寝ている私を見て驚く声で目を覚ました。
ノルックはあまり喋らないけど、お願いをしたらだいたい魔法で叶えてくれる。
「お掃除魔法とか使えたりする・・?」
と言ったら魔法で部屋中をピカピカにしてくれるし
「お洗濯したいんだけど水出したりできる?」
と言ったら魔法で洗濯機みたいにまとめて洗って脱水までしてくれるし
「今日お風呂めんどくさいな」
と言ったら清浄魔法をかけてくれた。
「快適すぎてノルックが帰った後生活できなくなりそう。」とついポロッと口にしたら、ノルックが前のめり気味に「いいよ」と言うので、これ以上ダメ人間にしないでと言って笑った。
朝起きて、おはようと言いあって
包帯を変えて
ご飯を食べて
掃除して洗濯して
畑の世話をしたり
食材を調達したり
お菓子を作ったり
日が暮れたらまたご飯を食べて
包帯を変えて
夜は同じ部屋で眠り
苦しそうな時はこっそり魔力を吸い取る
魔力を吸い取っていれば、ノルックは何もなく平気そうだった。
誰にも傷つけられない2人だけの生活は
ダイアさんとソニアさんとの生活とは違うけど久しぶりに感じた温かなひと時だった。
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