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翌日、昨日予告されたとおり平内はまだ仕事があるそうなので、悠は一人で退勤した。
このまま帰宅しても家に食べるものがないので、帰りにスーパーに寄ることにした。
今日は一人なので弁当を買おうと思っていたが、時間もあるし遅く帰ってくる平内に夕飯を作ろうと考えた。
食材コーナーをウロウロしながら何を作ろうか考える。その時、いつか平内が唐揚げが好きだと言っていたことを思い出した。それくらいなら悠も作れるので、今日のメニューは唐揚げに決定した。
「うまっ……!」
今揚がったばかりの唐揚げを口に入れると、美味しくて思わず声が出た。
ネットで調べたレシピを見比べながら作った唐揚げは、案外上手に出来たようだ。普段平内の料理を手伝っているおかげか、手際よく作ることができた。
先に夕食を済ませ、平内に渡す分をタッパーに取り分けながらふと思った。
わざわざ平内の好物を作って持っていくなんて、なんか俺重くないか。もしかしたら、平内は自分でご飯を買ってるかもしれない。それに、何時帰ってくるか分からない。
(とりあえず、行ってみて居なかったら戻ろう)
そう思い、隣の平内の部屋に行ってみることにした。
ドアの前に立ちインターホンを押す、シーンとしているのでまだ帰ってないのかと思い自分の部屋に戻ろうとしたとき、ドアが開いた。
「あれ、中原くん。どうしたの」
中から顔を出す平内が驚いた顔をしてこちらを見ている。
「あの、唐揚げ作りすぎたので、よかったらと思って」
なんと言って渡そうか考えていなかったので、しどろもどろになりながらタッパーを差し出した。
平内は驚いた顔をしたまま固まっている。もしかして、迷惑だっただろうか。
「あ、もしご飯食べたとかなら大丈夫……」
「もしかして、僕のために作ってくれたの」
悠が言い終える前に平内が被せてきた。
「ち、違うから。作りすぎただけって言ってるでしょう」
急に恥ずかしくなって、思わずムキになってしまった。
「ありがとう。嬉しいよ」
そう言って嬉しそうに笑う平内を見て、なぜか胸がドキドキした。
最近、自分がおかしい。平内が側にいるとドキドキする。今まで何とも思わなかったのに、平内の顔を直視できない。
「それは、恋だね」
厨房の後片付けをしている最中、上田がきっぱりと言った。上田とはすっかり親しくなり、こうして二人で話すことが多くなっていた。
「そうですかね」
「いや、どう考えても中原くんはその人のこと好きでしょ。一緒にいたいと思うんでしょう?」
「好きとか付き合いたいとか、そういうのはまだ分からないんです」
悠は過去に恋人に裏切られたことが少しトラウマになっていた。そもそも、平内も悠も男だ。自分が付き合ってもらえるなんて到底考えられない。
それに、平内のことを意識しているのはセックスをするという約束のせいでもあるだろう。……その約束がまだ生きているのかは不明だが。
「うかうかしてると、他の誰かに取られちゃうよ」
取られるもなにも、平内に恋人がいる可能性だってある。
「……上田さんはそういう人いるんですか」
上田に話をふると、目をキラキラさせて話し始めた。
「いるよ~言ってなかったっけ?もうめちゃくちゃ可愛いの。この前なんかさ……」
その後、上田の惚気話に付き合わされたのは言うまでもない。
このまま帰宅しても家に食べるものがないので、帰りにスーパーに寄ることにした。
今日は一人なので弁当を買おうと思っていたが、時間もあるし遅く帰ってくる平内に夕飯を作ろうと考えた。
食材コーナーをウロウロしながら何を作ろうか考える。その時、いつか平内が唐揚げが好きだと言っていたことを思い出した。それくらいなら悠も作れるので、今日のメニューは唐揚げに決定した。
「うまっ……!」
今揚がったばかりの唐揚げを口に入れると、美味しくて思わず声が出た。
ネットで調べたレシピを見比べながら作った唐揚げは、案外上手に出来たようだ。普段平内の料理を手伝っているおかげか、手際よく作ることができた。
先に夕食を済ませ、平内に渡す分をタッパーに取り分けながらふと思った。
わざわざ平内の好物を作って持っていくなんて、なんか俺重くないか。もしかしたら、平内は自分でご飯を買ってるかもしれない。それに、何時帰ってくるか分からない。
(とりあえず、行ってみて居なかったら戻ろう)
そう思い、隣の平内の部屋に行ってみることにした。
ドアの前に立ちインターホンを押す、シーンとしているのでまだ帰ってないのかと思い自分の部屋に戻ろうとしたとき、ドアが開いた。
「あれ、中原くん。どうしたの」
中から顔を出す平内が驚いた顔をしてこちらを見ている。
「あの、唐揚げ作りすぎたので、よかったらと思って」
なんと言って渡そうか考えていなかったので、しどろもどろになりながらタッパーを差し出した。
平内は驚いた顔をしたまま固まっている。もしかして、迷惑だっただろうか。
「あ、もしご飯食べたとかなら大丈夫……」
「もしかして、僕のために作ってくれたの」
悠が言い終える前に平内が被せてきた。
「ち、違うから。作りすぎただけって言ってるでしょう」
急に恥ずかしくなって、思わずムキになってしまった。
「ありがとう。嬉しいよ」
そう言って嬉しそうに笑う平内を見て、なぜか胸がドキドキした。
最近、自分がおかしい。平内が側にいるとドキドキする。今まで何とも思わなかったのに、平内の顔を直視できない。
「それは、恋だね」
厨房の後片付けをしている最中、上田がきっぱりと言った。上田とはすっかり親しくなり、こうして二人で話すことが多くなっていた。
「そうですかね」
「いや、どう考えても中原くんはその人のこと好きでしょ。一緒にいたいと思うんでしょう?」
「好きとか付き合いたいとか、そういうのはまだ分からないんです」
悠は過去に恋人に裏切られたことが少しトラウマになっていた。そもそも、平内も悠も男だ。自分が付き合ってもらえるなんて到底考えられない。
それに、平内のことを意識しているのはセックスをするという約束のせいでもあるだろう。……その約束がまだ生きているのかは不明だが。
「うかうかしてると、他の誰かに取られちゃうよ」
取られるもなにも、平内に恋人がいる可能性だってある。
「……上田さんはそういう人いるんですか」
上田に話をふると、目をキラキラさせて話し始めた。
「いるよ~言ってなかったっけ?もうめちゃくちゃ可愛いの。この前なんかさ……」
その後、上田の惚気話に付き合わされたのは言うまでもない。
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