今宵満月の夜、ヴァンパイアの夢を

ミルク

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1章

17歳

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 あの夜から数日、やはり夢でも見ていたんじゃないかと思う。薄気味悪さは全く感じなくなったし、おかしな夢も見ていない。

 ただ……首の痛みはやはり強くなっている気がする。おまけに今日は、満月だ。なんだか少し胸騒ぎがしていた。

「真理亜……」

「ん? どうかしたの瑠偉。」

「実は、”満月の夜は涙が出る”っていう現象が気になって、君のおじいさんから貸してもらった書物を自分なりに解読したんだけど……」

 また今日も一緒に肩を並べて歩いていると、彼がポツリとそんなこと言う。

「……どうやら満月の夜に、マリアさんは吸血鬼に攫われたらしいんだ。」

 そして続けられた台詞に私は動きを止めた。

 攫われた……。

 ゾクッと背筋に何か走る……。

 あの夜のことが鮮明に思い出されたけれど、ブンブンと首を振った。

 あるわけない。あるとしても昔の話……あれは絶対夢だった。

「……そうなの? なら恐怖の涙なのかな…」

「わからない。おまけに17の歳みたいだよ。なんだか怖いね……」

 17になったのはつい最近のこと。それまでは特に首の痛みもなかったし、怖い夢をみたことすらなかった。

 偶然……なのか……。なんだか私も少し怖くなってくる。単純すぎるかな……

「……まぁでも、あり得ないよね。ここは日本だし、これも何百年も前のことだから。」

「そうだね……」

 まるでホラー映画の序章だ。
 どうせなら井戸から髪の長い女がでてくるとか、そんなものの方がリアリティがある。
 吸血鬼だなんて…どこのアメリカ映画だろう。

『……マリ……ア』

「え?」

 名前を呼ばれたような気がして、瑠偉の方を振り向くと彼は不思議そうな顔をした。

「どうかしたの??」

「……いま呼ばなかった?」

「……いや……」

 ……過剰になりすぎてるのかな。なんだか少し寒い。

「……真理亜。何かあったらすぐに連絡して。俺駆けつけるから」

 私の反応に心配してくれた彼が、にこりと笑う

「ありがとう。とっても心強い」

 ……あんまり気にしすぎないようにしよう。この前の夢がやけに怖くて、頭の中で怖いことを考えてしまうだけ。

 きっと……それだけのことだ。











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