5 / 25
1章
満月の夜
しおりを挟む************
夜、辺りが薄暗くなると綺麗な満月が顔を出していた。こんな日に限って、ママとパパが帰ってない。仕事で遅くなるみたいだ。
私は、自分の部屋の窓から吸い寄せられるように満月を見つめている。
……恐怖の涙……か……
だけどそんな気持ちよりもっと複雑な気がする。確かに”恐怖”はあるけれど、そこに悲しみも入り混じっていて胸が苦しいのだ。
そんなことを思ってるうちに、ポロっとまた涙が頬を伝う。
……この日はどうしてこんなに辛いの。必死でもがき苦しんでるような…そんな気分
一体何を思って……
『…マリ…ア』
「!?」
はっきりと名前が呼ばれた刹那、首がズキンッと痛みを知らせた。それを合図に部屋の電気が不自然にバチッと消える。
「……な、な、なに……」
窓の外も一気に暗闇に包まれて、月明かりだけが唯一の光だった。
『……マリア。』
また呼ばれた……しっかもはっきり聞こえた……なに…っすごく怖い……っ!!
「だ、誰なの……??」
黙っていたら恐怖に支配される気がして、思わず質問してしまう。だけどよく考えたら、返事がきたらきたで怖いんじゃないか。
最早頭の中はパニック。
……窓を閉めなきゃ。
とりあえずやるべきことを考えて、行動に移す。
手を伸ばし少しだけ窓を閉めると、いきなり突風が部屋の中に入ってきた。
「……きゃっ……」
停電と同様、不自然な現象に更に混乱する頭
首が……痛い……っ
何かを知らせるように、ズキンッズキンッと脈打つたび痛むそこを必死に抑える。
有り得ない……有り得ない……有り得ない。
心の中で必死にこの状況を否定するが、無駄だと言わんばかりにバサッと布が擦り合うような音がした。
「……っ!!」
思わず息を飲む
……何か……いる??
その推測はもちろん当たって欲しくないもので、確かめる勇気がちっとも湧いてこない。ガタガタと震える身体、なにもできない自分。落ち着いて状況判断しようにも、非現実なことばかりで落ち着きも取り戻せなかった。
……ゆっくり…ゆっくり顔をあげよう。そしたら私の前は閉め損ねた窓。目も月明かりに慣れてきたし、後ろに何かいるならこの少しの窓に映るはず。
何もいないに決まってる……過剰になりすぎて普通のことが大袈裟に見えるだけ。
自分に必死に言い聞かせて、ゴクリと唾を飲んだ後、恐る恐る顔を上げた。
……なにも……いな……い……
「っっ!!!?」
窓越しにキラリと光った赤い何か。
あ……と思った時には恐怖のせいか、私は意識を失った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる