今宵満月の夜、ヴァンパイアの夢を

ミルク

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2章

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「……さ」


「……マリ…」


「マリア様!!!」


 グイッと腕を引かれて意識が戻る。
 ああいま私、何をしていたのかしら。



「そちらにはヴァンパイアがいるから行ってはいけません!森に入ってはならないと旦那様がおっしゃっていたではありませんか!」

「……ヴァンパイアなんてこんな時間にはでてこないでしょ。こっちにいい果実があるの。」


「いけません!!」


 小言ばかりいうメイドに私は顔を歪める。内緒で出てきたというのにどうして見つかってしまったのだろう。


 お屋敷の窓から抜け出したし、準備も万端だったのに。



「ほんとにヴァンパイアがいるなら会ってみたいものね」


「な、ま、マリア様!!」


「……あんなお屋敷に閉じ込められて、私もううんざりよ。」



 最近、夜ごとに人が襲われる事件が多発している。どうやらこの地区でヴァンパイアが出るらしい。


 信じがたい話だけど死人も出ている。


 お父様はすっかりその話を怖がってしまい、私も外に出ることを禁止された。おかげでストレスがたまって先に死んでしまいそうだ。



「ほんの少し……すぐ帰るから」


「いけません!!」


 少しでもとお願いしたけれど、噛み付くように怖い顔で睨まれてしまった。


 ヒュウウと風が吹くと、メイドが慌てたように


 帰りますよ

 と言いながら私の手を引く。


 少しだけ視線を感じて森の方を見たけれど、誰もいなかった。


 ヴァンパイア…………ほんとにそんなものいるのかしら。





****************



 ゆっくり目が覚めて、一瞬ここがどこなのかわからなくなった。


 お屋敷??
 あれ?こんな天井だった?


 そう考えた刹那、ハッとする。



 「夢とごっちゃになってる……」


 頭を整理しよう。
 私は真理亜。ここは日本。そしてここは見慣れた自分の部屋。




 やけにリアルな夢だった。
 まるで本当に体験したような……


 ズキッと首が痛むと、この前のことが鮮明に思い出される。


 ああそうか……私カルマさんに。


 思い出しただけでゾッとする。そのまま全てを奪われてしまうのではないかと思う程に彼の牙は熱かった。挙句その夜、熱が出てしまい昨日は一日休んだし。



 全力で拒否してしまったけど、傷付けただろうか……


 傷をさすりながら罪悪感に包まれて、ブンブンと首を振る。


 どうして私が罪悪感を感じなければいけないんだ。悪いのは全て彼だ。私のことを……マリアとか言って……



『真理亜!』


 そりゃ最後はちゃんと呼んでくれたけど……


 モヤモヤベッドの中で考えてしまう自分の頬をパチンと叩き、ベッドから起き上がった。


 もう極力近寄らない方向で行こう。それがいい



 今日は運良く土曜日だ。自分の好きなことをしよう。
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