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2章
運命の相手
しおりを挟む話せない理由も言えない。 きっとそこにも何か秘密があるはずなんだと思う。 ウト君もそんなことを言っていたよね。
「……私、きっと思い出すから。」
「……真理亜」
「全部思い出して見せるから、どうかそんな悲しそうな顔をしないで。」
今にも泣いてしまうのではないかと思う程、カルマが悲しそうなので思わずそう呟いた。そしてそっと手を伸ばせば彼の手が私の手を優しく包み込む。
「ああ……」
出会った時から私がいることを確かめるようなこの手。暖かくて優しくて、この人が本物のヴァンパイアということを忘れてしまいそうだ。
親指が目の下をなぞり、頬を撫で、そして唇に。吸い込まれそうなほど見つめられて胸がドキドキする。
「……あ、の、」
「どうした?」
「そ、そんなに触られて見つめられると恥ずかしいというか。」
「……嫌か?」
きょとんとした顔のカルマに私はゆっくり首を振った。
「恥ずかしいだけ……」
私の反応に彼は笑うと
「……もう少しだけ……」
と呟いて、私を抱き締める。
このままずっとこうしていたいと願いそうになった時、ポケットでスマホが音を鳴らす。
「……あ……」
「なんの音だ?」
「……ごめんなさい。ちょっと待ってね」
ママからだろうかとスマホを取り出すと、”瑠偉”と画面に表示されて我に返った。
……そうだ。私には彼がいる……。ずっと裏切っているのと同じ、更に今日こうしてカルマに会いに来たのは私の意思じゃないのか。マリアさんのせいじゃない。
「どうかしたか??」
そんなことを考えたけれど、ソッと呟かれたカルマさんの声に私はすぐにスマホをポケットにしまった。
「……なんでもない。」
自分でも驚いた。今まで気づかない時以外は、瑠偉からの連絡を無視したことなんてなかったから。
だけどいま彼の目の前で、この電話に出る事を間違いなく拒んだ。
家族中で運命の相手だと言われ続けていたのに、いまは目の前のこの男性を悲しませたくないと思う気持ちが勝った。まだ戸惑う自分がいるけれど、これは真理亜である私の気持ちということもわかっている。
「……紅茶もう一杯もらおうかな。とても美味しいから」
「……ああ、帰りは送っていくからゆっくりしていくと良い。」
瑠偉との関係を少し見直すべきかもしれないと、そう思う程に私の気持ちは固まり始めていたのだった。
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