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1・茶道 探偵部(仮)ができるまで

1-3・「エタってる小説(物語)」とはなにか、について説明しよう

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 まずそのまえに「エタってる小説(物語)」とはなにか、について説明しよう。引き続き誰にだよ、ではあるけれども。

 エタる、とは、エターナル(永遠な)に語源を持つ語の略で、普通に言えば「完結していない小説」を指す。たいていの小説・物語は、作者が死なない限りは、たとえ「打ち切り」であっても完結するものではあるが、ネットの小説・物語では完結していないものがやたらと多い。

 さまざまな理由は想定できるけれども、だいたいの理由は作者の都合である。

 結末を考えてなかったり、私生活が忙しくなったり、view数が伸びなくて嫌になったり、面倒くさくなって別の話を考えてたらそっちのほうが面白かったりview数が伸びたり、とか、そんな感じだろうか。

 ただの読者にしてみれば、なに怠けてんだよ、毎日1万字ぐらい書くの楽勝だろ、と思うのだけれど、ネット小説の基本は、

1・毎日最低2000字更新
2・異世界なんとか、悪役令嬢なんとか、というキャッチーなタイトル・サブタイトル(注:今はもう古い)
3・設定と展開が上位のものの下位互換でないと、そもそも読まれない

 その他さまざまなものがある。

 毎日のview数がかろうじてフタ桁レベルの創作者は、もう人に読ませるというよりは、単に創作者が稽古しているというだけの、落語の前座みたいなものと思ってあきらめるしかないのである。

 そんなわけで、あきらめられた創作者によって、エタってしまう物語が山のように出る。だいたい、8~9割ぐらいがそうなる、というのがおれの体感である。

 仕事を含む実生活が多忙になるのは、これは許せる。作者のほうも、いつか暇になったら続きを書こう、と、プロットや展開のメモをつけていたり、結末だけは考えているだろうからね。

 基本的に、創作物は作者のやる気(モチベーション)で、それの大きな要素は読者のリアクションでしかない。

 商業的な出版物だと、売り上げが悪かったら、作者が続けたくても打ち切られたりするけれども、ネット小説の場合は基本的に金のやりとりがからまない「自己承認欲求」なのである。
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