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ガキ臭い
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ガラガラって、教室に入るドアを開けた所で知り合いもいなけりゃ友達なんざ夢のまた夢なのでね。
俺は大人しく端っこの席に着いて授業が始まるのを待つよ。
あれまこの学園、何となくだけど大学にシステムが似てるんだよね。
まぁ高校と大学足して2で割った感じ、俺的にはその方が慣れてて助かる。
「ねぇ…あの方ニック様じゃない!?」
「えぇそうよ絶対!黒髪だもの!本物は素敵ね…」
うぇい…そーっすか…
黒髪で判断されるとは思わなかったな…まぁそうか…黒髪なんて言ったらエバンズ伯爵家とその血が繋がった奴らしか居ないし…
魔法科だと兄ちゃんも卒業生だから顔割れてんだよなぁ…
「……っはぁ…まぁじでだり~っ…」
教科書もノートもなぁんも持ってきてねぇし…来んじゃなかったなぁ…
「……なぁ君、お隣良いだろうか。」
「え?」
コツコツと靴音を高らかに鳴らしてきたのはいかにもお上品って言葉が似合う男だった。
前髪を七三でぱっくり割った、サラサラアッシュグレーに、ツンと猫のようにつり上がった形のいい赤色の瞳…
リアルに美しいものを見ると人って「うわぁお…」って言うんだね。初めて知った。
「……やはり僕ではダメ…だろうか…」
「いや、全然良いよ、お前めちゃくちゃ美人だったから、見とれてただけ。」
「そ!そうだろう!僕は自分に手を抜かない!」
さっきまで青い光ぽわぽわさせてた癖に…褒めると嬉しそうに赤色の光をゆらゆら揺らした。
「なぁ…」
「……セシル様は行動が早いわね、もうニック様に手を出して…」
「……ぁ…す…すまない…」
俺が名前を聞こうと声を出した瞬間、教室の隅の方からヒソヒソと話し声が聞こえた。
…コイツ…いじめられてたのか…
「待って、お前セシルって言うの?」
「…そうだが…僕といては…君が…」
「良いから、隣座ってあと名前、俺ニックね」
俺が微笑んで見せると、セシルのさっきまで血の気の引いていた顔はみるみる赤みを帯びて、最終的には微笑み返してくれた。
「セシルお前、いっつもこうなのか?」
「…いつも…とは?」
「明らかなお前に対する悪意だよ、気色悪ぃ…」
「…まぁ…これがそうならいつもだな…」
「……ふぅん…?」
ホントならこんな場所居たくねぇけど…セシルが心配だしなぁ…いや…見たとこ自分に自信あるタイプだろうし…1人にしたとてって感じも無くはないけど…何となく気になるから見守ろ。
「セシル、お前にいい事教えてやるよ。」
「いい事…?」
「俺は人の感情が分かる、善し悪しもな。まぁ初対面だし、俺的にはどっちだって良いけど、俺が傍にいる間は守ってやるよ。」
ポカーンとしたままのセシルを覗き込むとセシルがプルプルと震えだしてこう言った。
「…ふ…フハハハ!ニック…君は面白いこと言うんだな!」
「…はぁ?」
確かに人の感情が分かるって言う奴が面白いのは分かるけど…爆笑する程じゃねぇだろ……
「ふ…ふふ!は~…あぁすまない…別に心何とかが面白かった訳では無い、ただ…」
「……ただ…?」
「君が僕を守ると言うものだから…!なぁニック…僕はそんなに弱そうに見えたかい?」
「…まぁ…そうだな」
「あぁ…それはいけないね!僕とした事が!僕は誇り高きクリフトン公爵家の次男!くよくよしていてはダメだ!」
お…おう…興奮して燃えていらっしゃる…
……元気だとこんな奴だったのかよ…ふぐっ…!
「っくはは!あ~…セシル、お前そっちのが似合ってるよ。」
「あぁ!そうだろう!そうだろう!これこそが僕だ…!ありがとう、ニック。」
紫の光…見た事ねぇ色…セシルの色なんだろうな…
本当に…キラキラしてて、そっちの方が魅力的だよ。
……あと教科書見して。
俺は大人しく端っこの席に着いて授業が始まるのを待つよ。
あれまこの学園、何となくだけど大学にシステムが似てるんだよね。
まぁ高校と大学足して2で割った感じ、俺的にはその方が慣れてて助かる。
「ねぇ…あの方ニック様じゃない!?」
「えぇそうよ絶対!黒髪だもの!本物は素敵ね…」
うぇい…そーっすか…
黒髪で判断されるとは思わなかったな…まぁそうか…黒髪なんて言ったらエバンズ伯爵家とその血が繋がった奴らしか居ないし…
魔法科だと兄ちゃんも卒業生だから顔割れてんだよなぁ…
「……っはぁ…まぁじでだり~っ…」
教科書もノートもなぁんも持ってきてねぇし…来んじゃなかったなぁ…
「……なぁ君、お隣良いだろうか。」
「え?」
コツコツと靴音を高らかに鳴らしてきたのはいかにもお上品って言葉が似合う男だった。
前髪を七三でぱっくり割った、サラサラアッシュグレーに、ツンと猫のようにつり上がった形のいい赤色の瞳…
リアルに美しいものを見ると人って「うわぁお…」って言うんだね。初めて知った。
「……やはり僕ではダメ…だろうか…」
「いや、全然良いよ、お前めちゃくちゃ美人だったから、見とれてただけ。」
「そ!そうだろう!僕は自分に手を抜かない!」
さっきまで青い光ぽわぽわさせてた癖に…褒めると嬉しそうに赤色の光をゆらゆら揺らした。
「なぁ…」
「……セシル様は行動が早いわね、もうニック様に手を出して…」
「……ぁ…す…すまない…」
俺が名前を聞こうと声を出した瞬間、教室の隅の方からヒソヒソと話し声が聞こえた。
…コイツ…いじめられてたのか…
「待って、お前セシルって言うの?」
「…そうだが…僕といては…君が…」
「良いから、隣座ってあと名前、俺ニックね」
俺が微笑んで見せると、セシルのさっきまで血の気の引いていた顔はみるみる赤みを帯びて、最終的には微笑み返してくれた。
「セシルお前、いっつもこうなのか?」
「…いつも…とは?」
「明らかなお前に対する悪意だよ、気色悪ぃ…」
「…まぁ…これがそうならいつもだな…」
「……ふぅん…?」
ホントならこんな場所居たくねぇけど…セシルが心配だしなぁ…いや…見たとこ自分に自信あるタイプだろうし…1人にしたとてって感じも無くはないけど…何となく気になるから見守ろ。
「セシル、お前にいい事教えてやるよ。」
「いい事…?」
「俺は人の感情が分かる、善し悪しもな。まぁ初対面だし、俺的にはどっちだって良いけど、俺が傍にいる間は守ってやるよ。」
ポカーンとしたままのセシルを覗き込むとセシルがプルプルと震えだしてこう言った。
「…ふ…フハハハ!ニック…君は面白いこと言うんだな!」
「…はぁ?」
確かに人の感情が分かるって言う奴が面白いのは分かるけど…爆笑する程じゃねぇだろ……
「ふ…ふふ!は~…あぁすまない…別に心何とかが面白かった訳では無い、ただ…」
「……ただ…?」
「君が僕を守ると言うものだから…!なぁニック…僕はそんなに弱そうに見えたかい?」
「…まぁ…そうだな」
「あぁ…それはいけないね!僕とした事が!僕は誇り高きクリフトン公爵家の次男!くよくよしていてはダメだ!」
お…おう…興奮して燃えていらっしゃる…
……元気だとこんな奴だったのかよ…ふぐっ…!
「っくはは!あ~…セシル、お前そっちのが似合ってるよ。」
「あぁ!そうだろう!そうだろう!これこそが僕だ…!ありがとう、ニック。」
紫の光…見た事ねぇ色…セシルの色なんだろうな…
本当に…キラキラしてて、そっちの方が魅力的だよ。
……あと教科書見して。
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