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第一章:逆行聖女
第23話:自警団員アリシア 1
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――アリシアが剣を学び始めてから一年が経過した。
その間、アリシアは実力をメキメキと伸ばしており、それは彼女だけではなかった。
「はあっ!」
「ほいっ!」
「ちくしょう! 正々堂々と戦えよ、ジーナ!」
「私は正々堂々と戦ってるもーん!」
ヴァイスとジーナも実力を伸ばしており、その中でもジーナの成長にはシエナも目を見張るものがあった。
「こら、ヴァイス! 熱くなり過ぎだ! もっと冷静に相手の動きを見ろ!」
「だって、おじさん! ジーナの奴が――」
「油断禁物だよー!」
「あいてっ!?」
「はい! 勝負ありねー」
ジーナがヴァイスの頭に軽く木剣をぶつけると、シエナが模擬戦を終わらせた。
「団長の言う通りだよ、ヴァイス君。試合中に文句を垂れるなんて、狙ってくださいと言っているようなものだからね」
「……すみませんでした」
「柔の剣と剛の剣は表裏の関係にあるからな。どちらかが隙を見せれば、自ずと勝敗にも繋がってくる。剣の腕もそうだが、心の鍛錬もこれからは必要かもしれないな」
「……はい」
大きく肩を落としてしまったヴァイスだが、アリシアたちの中で一番の結果を出しているのは実のところ彼である。
「自警団員として魔獣討伐で結果を出しているのはヴァイス兄なんだけどね」
「本当、お兄ちゃんは対人戦になると途端に弱くなるよねー」
「う、うるさいな! 魔獣と人とは勝手が違うんだよ!」
「特にヴァイスの場合は自分用の剣ではなく、ヴォルスの剣を継承しようとしているからな。二人に比べて鍛錬も厳しいものになっているのも事実だ」
「そうだよー。だからね、ヴァイス君。焦りは禁物、しっかりとできるところからやっていく必要があるんだからね」
「……おじさんもシエナさんも、ありがとうございます」
実際のところ、ここ一年の間ヴァイスはアリシアと同じで毎日のように詰め所へ足を運んでいる。
それはヴォルスの剣を継承するという強い意志と、アリシアやジーナに置いていかれないようにという必死の思いだったからだ。
「しかし、まさかアリシアとヴァイスだけではなく、ジーナまで自警団に入ることになるとはなぁ」
「団長、それを狙っていたんじゃないんですか?」
「おいおい、まさかだろう。アリシアが入ったのだって、最初の頃は全く考えてもいなかったんだからな」
剣を習い始めた三人は結局、揃って自警団員として活動することになった。
最初こそ多くの自警団員から驚きの声があがったが、彼女たちの活躍を目の当たりにすると反対の声はいつしか消えてしまっていた。
さらにいえば、子供である彼女らの活躍は他の自警団員のやる気にも火を点けており、自警団はこの一年で大きく力を伸ばしたといえるだろう。
「よーし! それじゃあアリシアちゃん、私と模擬戦をやろうよ!」
「えぇっ!? でもジーナちゃん、疲れてないの? さっきヴァイス兄とやったばかりでしょ?」
「全然大丈夫! それに、私はお兄ちゃんよりもアリシアちゃんに勝ちたいんだもん!」
「おまっ! それって俺が弱いみたいじゃないか!」
「だってお兄ちゃん、今は弱いじゃーん」
「こ、この野郎!」
文句の一つも言ってやりたいヴァイスだったが、三人の中では自分が一番弱いことを理解していることもあり、これ以上な何も言えなかった。
「気にするなよ、ヴァイス。ヴォルスの剣を自分のものにできれば、お前はジーナを越えられるはずだ」
「ありがとうございます、おじさん。……でも、ジーナはってことは、アリシアは越えられないんですか?」
「ん? ジーナはまあ……私の娘だからな、越えたくても越えられないだろうな!」
「なんですか、団長? 親バカですか? 子供の前で恥ずかしくないんですか?」
そこへジーナが口を押さえながら面白おかしくそう呟くと、アーノルドはジロリと横目で彼女を睨みつけた。
「……お前はこの一年で随分と舐めた口を聞けるようになったじゃないか、シエナ。どーれ、私がしっかりと指導してやるから剣を持て!」
「えぇっ!? いや、ちょっと、それはさすがにやり過ぎじゃないですかねぇ、団長!」
「覚悟しろ! ぶっ倒れるまでやってやるからな!」
「いぃぃやああああぁぁっ! 助けて、アリシアちゃああああぁぁん!」
「あはは……まあ、自業自得ってことで」
シエナから助けを求められたアリシアだったが、苦笑いを浮かべながら頬を掻き、訓練場の中央に引きずられていく彼女の無事を祈ることしかできなかった。
その間、アリシアは実力をメキメキと伸ばしており、それは彼女だけではなかった。
「はあっ!」
「ほいっ!」
「ちくしょう! 正々堂々と戦えよ、ジーナ!」
「私は正々堂々と戦ってるもーん!」
ヴァイスとジーナも実力を伸ばしており、その中でもジーナの成長にはシエナも目を見張るものがあった。
「こら、ヴァイス! 熱くなり過ぎだ! もっと冷静に相手の動きを見ろ!」
「だって、おじさん! ジーナの奴が――」
「油断禁物だよー!」
「あいてっ!?」
「はい! 勝負ありねー」
ジーナがヴァイスの頭に軽く木剣をぶつけると、シエナが模擬戦を終わらせた。
「団長の言う通りだよ、ヴァイス君。試合中に文句を垂れるなんて、狙ってくださいと言っているようなものだからね」
「……すみませんでした」
「柔の剣と剛の剣は表裏の関係にあるからな。どちらかが隙を見せれば、自ずと勝敗にも繋がってくる。剣の腕もそうだが、心の鍛錬もこれからは必要かもしれないな」
「……はい」
大きく肩を落としてしまったヴァイスだが、アリシアたちの中で一番の結果を出しているのは実のところ彼である。
「自警団員として魔獣討伐で結果を出しているのはヴァイス兄なんだけどね」
「本当、お兄ちゃんは対人戦になると途端に弱くなるよねー」
「う、うるさいな! 魔獣と人とは勝手が違うんだよ!」
「特にヴァイスの場合は自分用の剣ではなく、ヴォルスの剣を継承しようとしているからな。二人に比べて鍛錬も厳しいものになっているのも事実だ」
「そうだよー。だからね、ヴァイス君。焦りは禁物、しっかりとできるところからやっていく必要があるんだからね」
「……おじさんもシエナさんも、ありがとうございます」
実際のところ、ここ一年の間ヴァイスはアリシアと同じで毎日のように詰め所へ足を運んでいる。
それはヴォルスの剣を継承するという強い意志と、アリシアやジーナに置いていかれないようにという必死の思いだったからだ。
「しかし、まさかアリシアとヴァイスだけではなく、ジーナまで自警団に入ることになるとはなぁ」
「団長、それを狙っていたんじゃないんですか?」
「おいおい、まさかだろう。アリシアが入ったのだって、最初の頃は全く考えてもいなかったんだからな」
剣を習い始めた三人は結局、揃って自警団員として活動することになった。
最初こそ多くの自警団員から驚きの声があがったが、彼女たちの活躍を目の当たりにすると反対の声はいつしか消えてしまっていた。
さらにいえば、子供である彼女らの活躍は他の自警団員のやる気にも火を点けており、自警団はこの一年で大きく力を伸ばしたといえるだろう。
「よーし! それじゃあアリシアちゃん、私と模擬戦をやろうよ!」
「えぇっ!? でもジーナちゃん、疲れてないの? さっきヴァイス兄とやったばかりでしょ?」
「全然大丈夫! それに、私はお兄ちゃんよりもアリシアちゃんに勝ちたいんだもん!」
「おまっ! それって俺が弱いみたいじゃないか!」
「だってお兄ちゃん、今は弱いじゃーん」
「こ、この野郎!」
文句の一つも言ってやりたいヴァイスだったが、三人の中では自分が一番弱いことを理解していることもあり、これ以上な何も言えなかった。
「気にするなよ、ヴァイス。ヴォルスの剣を自分のものにできれば、お前はジーナを越えられるはずだ」
「ありがとうございます、おじさん。……でも、ジーナはってことは、アリシアは越えられないんですか?」
「ん? ジーナはまあ……私の娘だからな、越えたくても越えられないだろうな!」
「なんですか、団長? 親バカですか? 子供の前で恥ずかしくないんですか?」
そこへジーナが口を押さえながら面白おかしくそう呟くと、アーノルドはジロリと横目で彼女を睨みつけた。
「……お前はこの一年で随分と舐めた口を聞けるようになったじゃないか、シエナ。どーれ、私がしっかりと指導してやるから剣を持て!」
「えぇっ!? いや、ちょっと、それはさすがにやり過ぎじゃないですかねぇ、団長!」
「覚悟しろ! ぶっ倒れるまでやってやるからな!」
「いぃぃやああああぁぁっ! 助けて、アリシアちゃああああぁぁん!」
「あはは……まあ、自業自得ってことで」
シエナから助けを求められたアリシアだったが、苦笑いを浮かべながら頬を掻き、訓練場の中央に引きずられていく彼女の無事を祈ることしかできなかった。
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