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第一章:逆行聖女
第25話:自警団員アリシア 3
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詰め所に到着すると、ちょうどアーノルドが帰宅するところだった。
「お父さん!」
「アリシアじゃないか。先に帰ったんじゃないのかい?」
驚きの声をあげたアーノルドに対して、アリシアは息を切らせながら口を開こうとしたのだが、言葉がすぐには出てこなかった。
(……いったい、どうやって伝えたらいいの? 私しか知らないことなのよ?)
「……どうしたんだい、アリシア?」
「えっと、その……」
伝えたいことは間違いなくある。
しかし、これを口にすることでアーノルドから疑いの眼差しを向けられることになるかもしれない。
そう考えると、なかなか口から言葉が出てこなかった。
「……とりあえず、歩こうか」
「……う、うん」
アリシアが不安な表情を浮かべている中、アーノルドは柔和な笑みを浮かべながら頭を優しく撫でてそう口にすると、彼女も素直に頷いて歩き出す。
先ほど走ってきた道のりを、今度はアーノルドとゆっくりとしたペースで歩いていく。
その間、二人は無言のままであり、アーノルドもアリシアが何を言わんとしていたのかを聞き出そうとはしなかった。
「……何も、聞かないの?」
無言の時間に耐えられなくなったのはアリシアだった。
アーノルドがどうして何も聞かないのか、自分の行動に不信感を抱かなかったのか、それをどうしても確認したくなってしまった。
すると、アーノルドは変わらない笑みのまま優しい声音でゆっくりと口を開いた。
「うーん……気にならないと言えば嘘になるけど、アリシアが苦しんでいるのに、それを無理やり聞くのは違う気がしてね」
「あ……」
「それに、私は信じているんだよ」
「……信じる?」
「あぁ。アリシアが私に話してくれるのをね」
そう口にしたアーノルドは、再び頭を優しく撫でてくれる。
その優しさが嬉しくもあり、重くもあった。
アリシアはアーノルドに多くのことを隠している。
前世の記憶があること、これから起こるであろう出来事のこと、自分が何を成そうとしているのかも。
それが、自分を信じてくれているアーノルドに対して誠意に欠いていると、この一年の間、ずっと思っていたのだ。
「……ごめんね、お父さん」
「どうして謝るんだい?」
「……私、話していないことが、たくさんあるの」
「そうか?」
「うん。だから……家に帰ったら、聞いてくれる?」
「もちろんだよ」
「長くなるかもしれないよ?」
「構うものか」
「信じられないこともたくさんあるんだよ?」
「父さんがアリシアの言うことを疑うと思うかい?」
「私の言葉でも、疑いたくなるようなことなんだよ?」
「構うものか。私はアリシアを信じているからね」
二人は普段よりも小さな歩幅で歩いている。
会話は途中途中でアリシアが口ごもり、多くを語ることはできなかった。
それでもアリシアにとっては無言よりは非常にありがたく、会話に集中することができた。
気づけば家の前に到着しており、グッと歯を噛みしめながら覚悟を決める。
「……苦しいのであれば、言わなくてもいいんだよ?」
緊張しているのが伝わったのだろう、アーノルドはここでも優しく声を掛けてくれた。
だが、アリシアは首を横に振ってアーノルドに笑みを向けた。
「大丈夫だよ、お父さん。私も……覚悟を決めたから」
「……そうか。わかったよ」
頭を撫でていた大きな手がアリシアの肩に置かれ、そして一緒になって歩き出す。
家の中に入った二人は、これから長い、とても長い話をすることになるだろう。
それがこれからのディラーナ村の行く末を大きく変えることを、二人はまだ知らない。
だが、今はそれでもいいのだ。
アリシアの物語は、まだ始まったばかりなのだから。
「お父さん!」
「アリシアじゃないか。先に帰ったんじゃないのかい?」
驚きの声をあげたアーノルドに対して、アリシアは息を切らせながら口を開こうとしたのだが、言葉がすぐには出てこなかった。
(……いったい、どうやって伝えたらいいの? 私しか知らないことなのよ?)
「……どうしたんだい、アリシア?」
「えっと、その……」
伝えたいことは間違いなくある。
しかし、これを口にすることでアーノルドから疑いの眼差しを向けられることになるかもしれない。
そう考えると、なかなか口から言葉が出てこなかった。
「……とりあえず、歩こうか」
「……う、うん」
アリシアが不安な表情を浮かべている中、アーノルドは柔和な笑みを浮かべながら頭を優しく撫でてそう口にすると、彼女も素直に頷いて歩き出す。
先ほど走ってきた道のりを、今度はアーノルドとゆっくりとしたペースで歩いていく。
その間、二人は無言のままであり、アーノルドもアリシアが何を言わんとしていたのかを聞き出そうとはしなかった。
「……何も、聞かないの?」
無言の時間に耐えられなくなったのはアリシアだった。
アーノルドがどうして何も聞かないのか、自分の行動に不信感を抱かなかったのか、それをどうしても確認したくなってしまった。
すると、アーノルドは変わらない笑みのまま優しい声音でゆっくりと口を開いた。
「うーん……気にならないと言えば嘘になるけど、アリシアが苦しんでいるのに、それを無理やり聞くのは違う気がしてね」
「あ……」
「それに、私は信じているんだよ」
「……信じる?」
「あぁ。アリシアが私に話してくれるのをね」
そう口にしたアーノルドは、再び頭を優しく撫でてくれる。
その優しさが嬉しくもあり、重くもあった。
アリシアはアーノルドに多くのことを隠している。
前世の記憶があること、これから起こるであろう出来事のこと、自分が何を成そうとしているのかも。
それが、自分を信じてくれているアーノルドに対して誠意に欠いていると、この一年の間、ずっと思っていたのだ。
「……ごめんね、お父さん」
「どうして謝るんだい?」
「……私、話していないことが、たくさんあるの」
「そうか?」
「うん。だから……家に帰ったら、聞いてくれる?」
「もちろんだよ」
「長くなるかもしれないよ?」
「構うものか」
「信じられないこともたくさんあるんだよ?」
「父さんがアリシアの言うことを疑うと思うかい?」
「私の言葉でも、疑いたくなるようなことなんだよ?」
「構うものか。私はアリシアを信じているからね」
二人は普段よりも小さな歩幅で歩いている。
会話は途中途中でアリシアが口ごもり、多くを語ることはできなかった。
それでもアリシアにとっては無言よりは非常にありがたく、会話に集中することができた。
気づけば家の前に到着しており、グッと歯を噛みしめながら覚悟を決める。
「……苦しいのであれば、言わなくてもいいんだよ?」
緊張しているのが伝わったのだろう、アーノルドはここでも優しく声を掛けてくれた。
だが、アリシアは首を横に振ってアーノルドに笑みを向けた。
「大丈夫だよ、お父さん。私も……覚悟を決めたから」
「……そうか。わかったよ」
頭を撫でていた大きな手がアリシアの肩に置かれ、そして一緒になって歩き出す。
家の中に入った二人は、これから長い、とても長い話をすることになるだろう。
それがこれからのディラーナ村の行く末を大きく変えることを、二人はまだ知らない。
だが、今はそれでもいいのだ。
アリシアの物語は、まだ始まったばかりなのだから。
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