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第一章:逆行聖女
第51話:聖女アリシア 4
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アリシアに聖女の神託が現れたことは、事情を知っている面々にはすぐに伝えられた。
その日以降、アリシアは右手に包帯を巻いて訓練を行なっている。
「あれ? アリシアちゃん、右手どうしたの?」
「料理の時に軽い火傷をしてしまいまして」
「そっか。あんまり無理しないようにね」
「ありがとうございます、ダレル分隊長」
ダレル含め、誰も疑うようなことはなかったが、ヴァイスやジーナはアリシアが声を掛けられるたびにドキドキしていた。
「……はあぁぁ。ダレル分隊長、何も言わなかったな」
「それはそうだよ、ヴァイス。包帯を外せだなんて、普通は言わないでしょ?」
「そうだけどさー。やっぱり気になるよねー」
「ジーナちゃんも心配性だなぁ」
「はいはーい! 雑談はそこまで。ここ最近は弛んでいて訓練に身が入っていなかったんだから、やる気のある時にしっかりやっておきなさいよー!」
「「「はーい!」」」
三人の会話を遮るようにしてシエナが声を掛けると、元気の良い返事が聞こえてきた。
「特にアリシアちゃん!」
「わ、私ですか?」
「そうだよー。……本格的に剣を振れるのって、王都に行ったらできないんじゃないの?」
最後の言葉だけは耳元で小声になっており、アリシアも最後まで耳にするとすぐに背筋を伸ばして気合いを入れた。
「……は、はい!」
「まあ、今の実力があれば大抵の相手には負けないと思うけど、実力をつけておくに越したことはないからね」
「それじゃあアリシア、俺と模擬戦をやろうぜ! 今日は絶対に勝つからな!」
「ずるーい! 先に私からだよー!」
「あはは、二人とも、落ち着いて」
アリシアが言い合いを始めたヴァイスとジーナを宥めていると、その横からシエナが割り込んできた。
「いーや! 今日はまず最初に私と模擬戦をしてもらうわ」
「……シ、シエナさんと!?」
「あら、嫌だったかしら?」
「まさか! よ、よろしくお願いします!」
アリシアはシエナと模擬戦をしたことが何回もあったが、全てがアリシアから声を掛けるか、三人と順番で行うかのどちらかだった。
(シエナさんから声を掛けてもらった! これは、成長した姿をしっかりと見てもらわなきゃ!)
先ほどのやり取りから、アリシアはシエナが残りの期間で最大限鍛えるつもりなのだと理解した。
「……ごめん、二人とも」
「どうしたんだ、アリシア?」
「なんで謝るの?」
「たぶん、シエナさんと模擬戦をしたあとは、動けなくなるから二人とはできないかも」
故に、今できる全力をシエナにぶつける覚悟を固めていた。
「……あー、やっぱりそうなるかー」
「わかったよ、アリシアちゃん!」
「ありがとう、二人とも」
「うふふ。私も久しぶりに全力のアリシアちゃんとやれるから楽しみだなー」
「シエナさんの胸、お借りします」
「ドーンと来なさい、ドーンとね!」
ヴァイスやジーナには勝ち越しているアリシアだが、師匠であるシエナにはまだまだ負け越している。
時折勝つこともできはするが、その全てがヴァイスとジーナと模擬戦を終えたあと、つまりはシエナが疲れている時にしか勝利できていない。
今回はシエナが万全の状態で真正面からぶつかれるチャンスとあって、アリシアはあと先考えず全力で戦うつもりだった。
「よろしくお願いします!」
「審判はヴァイス君ね! ジーナちゃんは私たちの動きをしっかりと見ておくように!」
「「はい!」」
二人の返事にも力がこもっている。アリシアの気合いが乗り移ったかのようで、その様子を見たシエナは微笑みながら大きく頷いている。
「そんじゃまあ、いっちょやりますか!」
アリシアとシエナ、お互いに剣を抜くと同時に構える。
二人の準備が整ったと見たヴァイスが右手を上げた。そして――
その日以降、アリシアは右手に包帯を巻いて訓練を行なっている。
「あれ? アリシアちゃん、右手どうしたの?」
「料理の時に軽い火傷をしてしまいまして」
「そっか。あんまり無理しないようにね」
「ありがとうございます、ダレル分隊長」
ダレル含め、誰も疑うようなことはなかったが、ヴァイスやジーナはアリシアが声を掛けられるたびにドキドキしていた。
「……はあぁぁ。ダレル分隊長、何も言わなかったな」
「それはそうだよ、ヴァイス。包帯を外せだなんて、普通は言わないでしょ?」
「そうだけどさー。やっぱり気になるよねー」
「ジーナちゃんも心配性だなぁ」
「はいはーい! 雑談はそこまで。ここ最近は弛んでいて訓練に身が入っていなかったんだから、やる気のある時にしっかりやっておきなさいよー!」
「「「はーい!」」」
三人の会話を遮るようにしてシエナが声を掛けると、元気の良い返事が聞こえてきた。
「特にアリシアちゃん!」
「わ、私ですか?」
「そうだよー。……本格的に剣を振れるのって、王都に行ったらできないんじゃないの?」
最後の言葉だけは耳元で小声になっており、アリシアも最後まで耳にするとすぐに背筋を伸ばして気合いを入れた。
「……は、はい!」
「まあ、今の実力があれば大抵の相手には負けないと思うけど、実力をつけておくに越したことはないからね」
「それじゃあアリシア、俺と模擬戦をやろうぜ! 今日は絶対に勝つからな!」
「ずるーい! 先に私からだよー!」
「あはは、二人とも、落ち着いて」
アリシアが言い合いを始めたヴァイスとジーナを宥めていると、その横からシエナが割り込んできた。
「いーや! 今日はまず最初に私と模擬戦をしてもらうわ」
「……シ、シエナさんと!?」
「あら、嫌だったかしら?」
「まさか! よ、よろしくお願いします!」
アリシアはシエナと模擬戦をしたことが何回もあったが、全てがアリシアから声を掛けるか、三人と順番で行うかのどちらかだった。
(シエナさんから声を掛けてもらった! これは、成長した姿をしっかりと見てもらわなきゃ!)
先ほどのやり取りから、アリシアはシエナが残りの期間で最大限鍛えるつもりなのだと理解した。
「……ごめん、二人とも」
「どうしたんだ、アリシア?」
「なんで謝るの?」
「たぶん、シエナさんと模擬戦をしたあとは、動けなくなるから二人とはできないかも」
故に、今できる全力をシエナにぶつける覚悟を固めていた。
「……あー、やっぱりそうなるかー」
「わかったよ、アリシアちゃん!」
「ありがとう、二人とも」
「うふふ。私も久しぶりに全力のアリシアちゃんとやれるから楽しみだなー」
「シエナさんの胸、お借りします」
「ドーンと来なさい、ドーンとね!」
ヴァイスやジーナには勝ち越しているアリシアだが、師匠であるシエナにはまだまだ負け越している。
時折勝つこともできはするが、その全てがヴァイスとジーナと模擬戦を終えたあと、つまりはシエナが疲れている時にしか勝利できていない。
今回はシエナが万全の状態で真正面からぶつかれるチャンスとあって、アリシアはあと先考えず全力で戦うつもりだった。
「よろしくお願いします!」
「審判はヴァイス君ね! ジーナちゃんは私たちの動きをしっかりと見ておくように!」
「「はい!」」
二人の返事にも力がこもっている。アリシアの気合いが乗り移ったかのようで、その様子を見たシエナは微笑みながら大きく頷いている。
「そんじゃまあ、いっちょやりますか!」
アリシアとシエナ、お互いに剣を抜くと同時に構える。
二人の準備が整ったと見たヴァイスが右手を上げた。そして――
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