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第二章:自由と束縛と
第95話:シルバー冒険者アリシア 4
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「あくまでも期待されているだけで、今はまだミスリル冒険者だよ」
「いや、それでも十分すごいんですけど?」
「その通りです。だからこそ、冒険者ギルドはあなたに期待しているのですよ」
「んなこと言われてもなぁ……」
頭を掻きながらそう口にしたネイドを見て、アリシアはこれからどうするのかが気になった。
「そういえば、ネイド兄はラクドウィズに用事があるって言ってなかったっけ?」
「ん? あぁ、そうだった。なんでも、魔導師ギルドのお偉いさんが俺を呼びつけているらしい」
「魔導師ギルドが?」
「あぁ。無視してやろうかとも思ったが、どうにも断るとこっちの冒険者ギルドに支障が出るってんで、遠くから足を運んだってわけさ」
そう口にしたネイドは横目でメリダを見る。
「……なんの話でしょうか?」
「え? いや、俺はノウズタウンの冒険者ギルドのギルマスから直接そう言われたんだぞ?」
「ノウズタウンのギルドマスター……確か、フェルズでしたか?」
「そんな名前だったはずだ」
どうにも話がかみ合っておらず、アリシアたちは顔を見合わせながら首を傾げる。
しかし、メリダには何やら心当たりがあったのか、小さく息を吐きながらネイドを見つめ、謝罪を口にした。
「申し訳ございません、ネイドさん。どうやらあなたは、魔導師ギルドから狙われているかもしれません」
「はあ? 俺がなんで狙われるんだ? 魔法なんてこれっぽっちも使えないんだぞ?」
当然の疑問を口にしたネイドに対して、メリダは申し訳なさそうな表情のまま答えていく。
「本来、冒険者ギルドと魔導師ギルドの関係性は良好でなければなりません。多くの都市に支部を持っている大きなギルドなのですから、当然のことです。ですが、ラクドウィズではそうではない」
「魔導師ギルドが圧倒的な力を持っているんだよな、知ってるよ」
「その通りです。そして、先ほど名前が出たノウズタウンのギルドマスターであるフェルズは、元々ラクドウィズの魔導師ギルドで幹部を務めていた人物なのです」
「……いや、だから何なんだ? それが俺を狙う理由にはならないだろう」
「もちろんです。……ここからは私の推測となりますが、よろしいですか?」
メリダの真に迫った表情にアリシアはやや気圧されてしまったが、ネイドは真正面から受け止めて大きく頷いた。
「アリシアたちはどうする? 一度席を外すか?」
「う、ううん。私も聞く。ネイド兄がかかわっていることだもの。みんなはどうする?」
「俺たちも聞くぜ。何か力になれるかもしれねえしな」
「私も大丈夫です!」
「分かりました。では、お話しします」
ゼーアとケイナの答えも聞いたメリダは姿勢を正して話し始めたが、その内容はラクドウィズならではの考えによるものだった。
「フェルズがノウズタウンの冒険者ギルドへ移動となった話を、私はこの目で見ております。その時の彼の表情は怒りに震えており、今にも爆発しそうな状態でした」
「でも、それを受け入れたんですよね?」
「えぇ。おそらくは、ノウズタウンで実績を挙げればラクドウィズの魔導師ギルドに戻すとでも言われたのでしょう」
「その実績ってのが、俺を狙うことだっていうのか?」
「荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、その通りです」
「あまりにも荒唐無稽すぎる。ギルマスがそう結論付けた理由はいったい何なんだ?」
ネイドから鋭い視線を向けられたメリダは、表情を引き締めて質問に答えていく。
「冒険者ギルドが期待を寄せるネイドさんは、ラクドウィズの魔導師ギルドからすると邪魔者でしかない、ということです」
「……はあ?」
「可能であれば魔導師ギルドへ引き込み、冒険者ギルドの情報を引き出すためのスパイに引き立てようと考えているはずです」
「ちょっと待て! ……魔導師ギルドに引き込む? スパイ? ラクドウィズはいったいどうなってるんだ?」
「本当にそう思うよね。私もそう思ったもの」
呆れたように口にしたネイドを見て、アリシアも同じ感想を口にした。
「フェルズはネイドさんをこちらへ向かわせて、魔導師ギルドに引き込むことができれば、それが成果になるとでもこちらの魔導師ギルドから言われたのでしょう」
「それを俺が引き受けるとでも思っていたのかよ」
「ラクドウィズの魔導師ギルドは、他の都市に比べて多少の無茶でも通ってしまう場所ですからね。そうかもしれません」
「ってことは、俺がここを離れても全く問題はないってことだよな?」
「その通りです。……ですが、それはあなた方がここへ来たことで変わってしまいました」
「……どういうことだ?」
メリダの言葉にネイドは鋭く反応する。
それは彼女の言葉が『あなたが』ではなく、『あなた方が』となっていたからだ。
「いや、それでも十分すごいんですけど?」
「その通りです。だからこそ、冒険者ギルドはあなたに期待しているのですよ」
「んなこと言われてもなぁ……」
頭を掻きながらそう口にしたネイドを見て、アリシアはこれからどうするのかが気になった。
「そういえば、ネイド兄はラクドウィズに用事があるって言ってなかったっけ?」
「ん? あぁ、そうだった。なんでも、魔導師ギルドのお偉いさんが俺を呼びつけているらしい」
「魔導師ギルドが?」
「あぁ。無視してやろうかとも思ったが、どうにも断るとこっちの冒険者ギルドに支障が出るってんで、遠くから足を運んだってわけさ」
そう口にしたネイドは横目でメリダを見る。
「……なんの話でしょうか?」
「え? いや、俺はノウズタウンの冒険者ギルドのギルマスから直接そう言われたんだぞ?」
「ノウズタウンのギルドマスター……確か、フェルズでしたか?」
「そんな名前だったはずだ」
どうにも話がかみ合っておらず、アリシアたちは顔を見合わせながら首を傾げる。
しかし、メリダには何やら心当たりがあったのか、小さく息を吐きながらネイドを見つめ、謝罪を口にした。
「申し訳ございません、ネイドさん。どうやらあなたは、魔導師ギルドから狙われているかもしれません」
「はあ? 俺がなんで狙われるんだ? 魔法なんてこれっぽっちも使えないんだぞ?」
当然の疑問を口にしたネイドに対して、メリダは申し訳なさそうな表情のまま答えていく。
「本来、冒険者ギルドと魔導師ギルドの関係性は良好でなければなりません。多くの都市に支部を持っている大きなギルドなのですから、当然のことです。ですが、ラクドウィズではそうではない」
「魔導師ギルドが圧倒的な力を持っているんだよな、知ってるよ」
「その通りです。そして、先ほど名前が出たノウズタウンのギルドマスターであるフェルズは、元々ラクドウィズの魔導師ギルドで幹部を務めていた人物なのです」
「……いや、だから何なんだ? それが俺を狙う理由にはならないだろう」
「もちろんです。……ここからは私の推測となりますが、よろしいですか?」
メリダの真に迫った表情にアリシアはやや気圧されてしまったが、ネイドは真正面から受け止めて大きく頷いた。
「アリシアたちはどうする? 一度席を外すか?」
「う、ううん。私も聞く。ネイド兄がかかわっていることだもの。みんなはどうする?」
「俺たちも聞くぜ。何か力になれるかもしれねえしな」
「私も大丈夫です!」
「分かりました。では、お話しします」
ゼーアとケイナの答えも聞いたメリダは姿勢を正して話し始めたが、その内容はラクドウィズならではの考えによるものだった。
「フェルズがノウズタウンの冒険者ギルドへ移動となった話を、私はこの目で見ております。その時の彼の表情は怒りに震えており、今にも爆発しそうな状態でした」
「でも、それを受け入れたんですよね?」
「えぇ。おそらくは、ノウズタウンで実績を挙げればラクドウィズの魔導師ギルドに戻すとでも言われたのでしょう」
「その実績ってのが、俺を狙うことだっていうのか?」
「荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、その通りです」
「あまりにも荒唐無稽すぎる。ギルマスがそう結論付けた理由はいったい何なんだ?」
ネイドから鋭い視線を向けられたメリダは、表情を引き締めて質問に答えていく。
「冒険者ギルドが期待を寄せるネイドさんは、ラクドウィズの魔導師ギルドからすると邪魔者でしかない、ということです」
「……はあ?」
「可能であれば魔導師ギルドへ引き込み、冒険者ギルドの情報を引き出すためのスパイに引き立てようと考えているはずです」
「ちょっと待て! ……魔導師ギルドに引き込む? スパイ? ラクドウィズはいったいどうなってるんだ?」
「本当にそう思うよね。私もそう思ったもの」
呆れたように口にしたネイドを見て、アリシアも同じ感想を口にした。
「フェルズはネイドさんをこちらへ向かわせて、魔導師ギルドに引き込むことができれば、それが成果になるとでもこちらの魔導師ギルドから言われたのでしょう」
「それを俺が引き受けるとでも思っていたのかよ」
「ラクドウィズの魔導師ギルドは、他の都市に比べて多少の無茶でも通ってしまう場所ですからね。そうかもしれません」
「ってことは、俺がここを離れても全く問題はないってことだよな?」
「その通りです。……ですが、それはあなた方がここへ来たことで変わってしまいました」
「……どういうことだ?」
メリダの言葉にネイドは鋭く反応する。
それは彼女の言葉が『あなたが』ではなく、『あなた方が』となっていたからだ。
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