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最強剣士
ダンジョン・一階層②
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アルがゴブリンを黒焦げにしてから数分後には、二匹目のゴブリンと遭遇した。
一度目にしているからだろう、リリーナとクルルは冷静にゴブリンを見据えることができ、協力して討伐を試みる。
クルルが攻撃、リリーナが援護で役割分担を行い、まずはリリーナがウッドロープを発動した。
地面を蠢きながら迫るウッドロープにゴブリンは横に飛んで回避すると、着地と同時に駆け出した。
だが、ウッドロープは一本だけではなかった。
回避されたものとは別にさらに二本のウッドロープが左右からゴブリンを巻き取るように、リリーナの意思に合わせて動き回る。
鋭い爪を、牙を獲物に突き立てたいゴブリンは一気に間合いを詰めたかったが、仕方なく飛び上がってやり過ごす――これがリリーナの狙いだった。
チグサとの模擬戦に勝利した時と同じで、空中で回避行動をすることはほぼ不可能。これは人間も魔獣も同じである。
飛び上がったゴブリンを狙っていたのが、攻撃の役割を担っているクルルだった。
レベル3のメガフレイムが一直線にゴブリンへと迫り──着弾とともに大爆発を巻き起こした。
砂利が吹き飛び、大爆発が起きた一帯だけは地面や壁、天井までが黒く焦げ付いている。
ゴブリンはというと、その肉片すら残すことなく灰となり砂利と共に吹き飛んでしまった。
「……や、やった、クルル様!」
「……うん、やったよ、リリーナ!」
初めての魔獣討伐、それを成功させた二人は両手を重ねてその場で飛び上がり喜んだ。
これが自信につながってくれればアルとしても嬉しいのだが、一言だけ伝えたいことがあった。
「二人とも、おめでとう」
「はい! やりましたよ、アル様!」
「どんなもんよ! これが私たちの実力なんだからね!」
「もちろん、その通りだ。だが──魔獣の死体がなければ素材が取れないんだよなぁ」
「「……あっ!」」
そう、素材がないのだ。
クルルのメガフレイムはゴブリン相手だと過剰な魔法である。
本来ならアルが放ったようなレベル1のファイアボールで事足りるので、レベル3のメガフレイムでは肉片すら残らないのが当然だった。
「次回からは、その辺を注意して魔法を使おうな?」
「「……は、はい」」
リリーナはウッドロープしか使っていないので謝る必要はないのだが、協力して戦っていたからか一緒になって頭を下げている。
パーティであればこれくらいの一体感は必要かもしれないと思いながら、三人はさらに奥へと進んでいった。
しばらくすると、遠くの方からも戦闘音が聞こえ始めてきた。
それがどんどんと数を増し、時にはメガフレイムの時のように地面が揺れる時もある。
過剰な魔法はそれだけ魔力を消費することにもつながるので、クルルだけではなく他のパーティも気をつけてほしいものだとアルは内心で思っていた。
そんなアルたちはというと──二階層へつながる階段を発見していた。
「これで、一階層は終わりですか?」
「全てを回れたわけではないが、俺たちが目指すのは八階層以上だからな。そのまま下りてしまってもいいと思うが……どうだろう?」
「リーダーはアルなんだから、それでいいんじゃないの?」
「はい。私もアル様の決定に従います」
「……待て待て、リーダーってなんだ?」
いつの間にやらリーダーにされていたアルが慌てて声をあげるが、二人は気にすることなく階段を下りようとしている。
「ちょっと待て! なんで俺がリーダーなんだ!」
「いや、誰がどう見てもアルがリーダーでしょう」
「そうです。私たちの誰よりも強く、そして判断力もあるのですから」
「……俺はレベル1しか持ってない──」
「「それは聞き飽きました」」
「……いや、だって、事実だし」
「ほら、行きましょう、リリーナ」
「そうですね、クルル様」
アルの静止を気にすることなく、二人は最初の緊張はどこへやらさっさと階段を下りてしまう。
「……なんか、俺の扱いがひどくないか?」
頭を掻きながらそんなことを呟いたアルだったが、実のところリーダーと言われて嬉しくもあった。
アルベルトとして国家騎士団長を務めていたアルは、誰かの世話をすることが嫌いではなかった。
だからこそパーティ訓練が決まった時も二人に対して助言をし、ノワール家で訓練ができないかと提案も口にしてきた。
もちろんリーダーというのは責任も伴ってくる。
「……何を犠牲にしても、二人は絶対に守らないといけないな」
アルベルトとして部下を守ってきたように、アルとしてリリーナとクルルを守ると密かに誓う。
「──アル様、まだですかー?」
「──早く来なさいよー!」
「……魔獣がいるダンジョンなのに、大声で呼ぶなよな」
呆れながらも、その表情には笑みが浮かんでいる。
アルは気を引き締めつつ、二人を追い掛けて二階層へと進出した。
一度目にしているからだろう、リリーナとクルルは冷静にゴブリンを見据えることができ、協力して討伐を試みる。
クルルが攻撃、リリーナが援護で役割分担を行い、まずはリリーナがウッドロープを発動した。
地面を蠢きながら迫るウッドロープにゴブリンは横に飛んで回避すると、着地と同時に駆け出した。
だが、ウッドロープは一本だけではなかった。
回避されたものとは別にさらに二本のウッドロープが左右からゴブリンを巻き取るように、リリーナの意思に合わせて動き回る。
鋭い爪を、牙を獲物に突き立てたいゴブリンは一気に間合いを詰めたかったが、仕方なく飛び上がってやり過ごす――これがリリーナの狙いだった。
チグサとの模擬戦に勝利した時と同じで、空中で回避行動をすることはほぼ不可能。これは人間も魔獣も同じである。
飛び上がったゴブリンを狙っていたのが、攻撃の役割を担っているクルルだった。
レベル3のメガフレイムが一直線にゴブリンへと迫り──着弾とともに大爆発を巻き起こした。
砂利が吹き飛び、大爆発が起きた一帯だけは地面や壁、天井までが黒く焦げ付いている。
ゴブリンはというと、その肉片すら残すことなく灰となり砂利と共に吹き飛んでしまった。
「……や、やった、クルル様!」
「……うん、やったよ、リリーナ!」
初めての魔獣討伐、それを成功させた二人は両手を重ねてその場で飛び上がり喜んだ。
これが自信につながってくれればアルとしても嬉しいのだが、一言だけ伝えたいことがあった。
「二人とも、おめでとう」
「はい! やりましたよ、アル様!」
「どんなもんよ! これが私たちの実力なんだからね!」
「もちろん、その通りだ。だが──魔獣の死体がなければ素材が取れないんだよなぁ」
「「……あっ!」」
そう、素材がないのだ。
クルルのメガフレイムはゴブリン相手だと過剰な魔法である。
本来ならアルが放ったようなレベル1のファイアボールで事足りるので、レベル3のメガフレイムでは肉片すら残らないのが当然だった。
「次回からは、その辺を注意して魔法を使おうな?」
「「……は、はい」」
リリーナはウッドロープしか使っていないので謝る必要はないのだが、協力して戦っていたからか一緒になって頭を下げている。
パーティであればこれくらいの一体感は必要かもしれないと思いながら、三人はさらに奥へと進んでいった。
しばらくすると、遠くの方からも戦闘音が聞こえ始めてきた。
それがどんどんと数を増し、時にはメガフレイムの時のように地面が揺れる時もある。
過剰な魔法はそれだけ魔力を消費することにもつながるので、クルルだけではなく他のパーティも気をつけてほしいものだとアルは内心で思っていた。
そんなアルたちはというと──二階層へつながる階段を発見していた。
「これで、一階層は終わりですか?」
「全てを回れたわけではないが、俺たちが目指すのは八階層以上だからな。そのまま下りてしまってもいいと思うが……どうだろう?」
「リーダーはアルなんだから、それでいいんじゃないの?」
「はい。私もアル様の決定に従います」
「……待て待て、リーダーってなんだ?」
いつの間にやらリーダーにされていたアルが慌てて声をあげるが、二人は気にすることなく階段を下りようとしている。
「ちょっと待て! なんで俺がリーダーなんだ!」
「いや、誰がどう見てもアルがリーダーでしょう」
「そうです。私たちの誰よりも強く、そして判断力もあるのですから」
「……俺はレベル1しか持ってない──」
「「それは聞き飽きました」」
「……いや、だって、事実だし」
「ほら、行きましょう、リリーナ」
「そうですね、クルル様」
アルの静止を気にすることなく、二人は最初の緊張はどこへやらさっさと階段を下りてしまう。
「……なんか、俺の扱いがひどくないか?」
頭を掻きながらそんなことを呟いたアルだったが、実のところリーダーと言われて嬉しくもあった。
アルベルトとして国家騎士団長を務めていたアルは、誰かの世話をすることが嫌いではなかった。
だからこそパーティ訓練が決まった時も二人に対して助言をし、ノワール家で訓練ができないかと提案も口にしてきた。
もちろんリーダーというのは責任も伴ってくる。
「……何を犠牲にしても、二人は絶対に守らないといけないな」
アルベルトとして部下を守ってきたように、アルとしてリリーナとクルルを守ると密かに誓う。
「──アル様、まだですかー?」
「──早く来なさいよー!」
「……魔獣がいるダンジョンなのに、大声で呼ぶなよな」
呆れながらも、その表情には笑みが浮かんでいる。
アルは気を引き締めつつ、二人を追い掛けて二階層へと進出した。
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