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魔法学園
女湯
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──かぽーん。
リリーナ、クルル、マリー、アンナの女性四人は、大きめの布で体の前面を隠しながら湯船に浸かっていた。
「うわー! 広いお風呂だね!」
「わ、私の屋敷でも、ここまで大きなお風呂はありません」
「うふふ、お母様がお風呂を大好きなので特注したみたいなんです」
「このサイズが男湯にも。ノワール家、恐るべしです」
男性陣とは異なり、女性陣は緊張することもなくとても楽しそうな会話をしながらお風呂を楽しんでした。
「アンナちゃんは羨ましいなー。こんな気持ちのいいお風呂に毎日入れるなんてー」
「お風呂に関して言えば、そうかもしれませんね」
「お風呂だけですか? ノワール家は地方の貴族としては文武で優秀だと有名ですけれど」
「平民も知っている周知の事実」
「……それは、お父様やキリアンお兄様が優秀だからなんです」
ノワール家という名を背負うプレッシャーは計り知れないのだと、アンナは語った。
「下級貴族でもこれだけのことをやれるんだってお父様が他貴族に示し、そしてキリアンお兄様がそれに追従しました。だからこそガルボお兄様も必死になって勉強しているのだと思います」
「アンナ様はどうなのですか?」
「たぶん、私もそのような道を進むことになると思います。水属性にレベル4を与えられた身としては、責務を全うしなければならないと思っています」
そこでアンナの全ての属性について耳にした三人は、開いた口が塞がらなくなっていた。
水属性のレベル4に続き、木属性のレベル3、土と光属性のレベル2。
レベル1がなく四属性もの適性があるとなれば、それは期待されても仕方がないと納得するしかない。
「ガルボお兄様からは、属性レベルでいえば上になってしまったのであまり良く思われていないのです。私は気にしていないのですが……」
「大変なのですね」
「うーん、私にはさっぱりの世界だけど、リリーナは分かるんだね」
「はい。貴族とはそういうものですから」
「貴族、面倒臭い」
「はいはい、そう思っていても貴族の前でそんなこと言わないの、マリー」
「むっ……うん、ごめん」
クルルに怒られてしまい、マリーは一瞬だけムッとしたもののすぐに謝っていた。
その姿にリリーナとアンナは笑みを浮かべ、特に気にしていないと告げてくれた。
「あれ? だけど、アルはどうなってるの? あいつはレベル1しかないけど、実力は相当高いと思うんだけど」
「確かにその通りですね」
「アルさんは規格外」
三人の言葉に、アンナは初めて曇った表情を浮かべた。
「……アルお兄様は、不当な評価を受けているんです。レベル1しかないからといってFクラスにされて、それにガルボお兄様もアルお兄様のことを全く相手にしていない。私には、キリアンお兄様と同じくらいの存在にアルお兄様ならなれると思っているのに」
「あー、えっと、アルはすでにキリアン様の記録を塗り替えたんだっけ?」
「いえ、まだ並んだだけだと思います」
「入学して数日で並ぶとか、本当に規格外」
「そうなんですか?」
「あれ、聞いてないの?」
首を傾げていたアンナに、クルルがパーティ訓練での出来事を説明し、そして今日の出来事も合わせて伝えていった。
すると、先ほどの曇った表情はどこへやら、アンナは見る見るうちに笑みを浮かべて、最後にはとても楽しそうに前のめりで話を聞いていた。
「ダンジョンというものがよく分からないのですが、八階層というのはそんなにすごいところなのですか?」
「キリアン様が一年次の最後にようやく到達できた階層、といえばそのすごさが分かるんじゃないかな」
「キ、キリアンお兄様が!? ……そんな階層にアルお兄様は入学数日で到達したのですね」
「だから規格外」
「私たちもほとんどついていっただけのような状況でしたからね」
マリーが念押しするように言葉にして、リリーナは苦笑しながらも楽しそうにそう口にした。
「アンナちゃんがアルに魔法の指導をしてもらっているのは絶対に役に立つはずだから、頑張ってね! ……って、私みたいな平民が言うことでもないんだけどね」
「い、いえ! その、私は皆さんとお友達になりたいと思っていますし、もうお友達と思っていたのですが……その、ダメですか?」
恥ずかしそうにそう口にしたアンナを見て、三人は顔を見合わせると満面の笑みを浮かべてはっきりと答えた。
「もちろん、私なんかでよろしければ」
「私もよ! っていうか、そう思ってくれてたなんてとっても嬉しいわ!」
「私は初対面だけど、いいの?」
「もちろんです! マリーさんも、よろしくお願いします!」
「……うん、ありがとう」
そこからは何気ない話を交えながらお風呂を楽しんだ四人は、笑顔のままお風呂を上がったのだった。
リリーナ、クルル、マリー、アンナの女性四人は、大きめの布で体の前面を隠しながら湯船に浸かっていた。
「うわー! 広いお風呂だね!」
「わ、私の屋敷でも、ここまで大きなお風呂はありません」
「うふふ、お母様がお風呂を大好きなので特注したみたいなんです」
「このサイズが男湯にも。ノワール家、恐るべしです」
男性陣とは異なり、女性陣は緊張することもなくとても楽しそうな会話をしながらお風呂を楽しんでした。
「アンナちゃんは羨ましいなー。こんな気持ちのいいお風呂に毎日入れるなんてー」
「お風呂に関して言えば、そうかもしれませんね」
「お風呂だけですか? ノワール家は地方の貴族としては文武で優秀だと有名ですけれど」
「平民も知っている周知の事実」
「……それは、お父様やキリアンお兄様が優秀だからなんです」
ノワール家という名を背負うプレッシャーは計り知れないのだと、アンナは語った。
「下級貴族でもこれだけのことをやれるんだってお父様が他貴族に示し、そしてキリアンお兄様がそれに追従しました。だからこそガルボお兄様も必死になって勉強しているのだと思います」
「アンナ様はどうなのですか?」
「たぶん、私もそのような道を進むことになると思います。水属性にレベル4を与えられた身としては、責務を全うしなければならないと思っています」
そこでアンナの全ての属性について耳にした三人は、開いた口が塞がらなくなっていた。
水属性のレベル4に続き、木属性のレベル3、土と光属性のレベル2。
レベル1がなく四属性もの適性があるとなれば、それは期待されても仕方がないと納得するしかない。
「ガルボお兄様からは、属性レベルでいえば上になってしまったのであまり良く思われていないのです。私は気にしていないのですが……」
「大変なのですね」
「うーん、私にはさっぱりの世界だけど、リリーナは分かるんだね」
「はい。貴族とはそういうものですから」
「貴族、面倒臭い」
「はいはい、そう思っていても貴族の前でそんなこと言わないの、マリー」
「むっ……うん、ごめん」
クルルに怒られてしまい、マリーは一瞬だけムッとしたもののすぐに謝っていた。
その姿にリリーナとアンナは笑みを浮かべ、特に気にしていないと告げてくれた。
「あれ? だけど、アルはどうなってるの? あいつはレベル1しかないけど、実力は相当高いと思うんだけど」
「確かにその通りですね」
「アルさんは規格外」
三人の言葉に、アンナは初めて曇った表情を浮かべた。
「……アルお兄様は、不当な評価を受けているんです。レベル1しかないからといってFクラスにされて、それにガルボお兄様もアルお兄様のことを全く相手にしていない。私には、キリアンお兄様と同じくらいの存在にアルお兄様ならなれると思っているのに」
「あー、えっと、アルはすでにキリアン様の記録を塗り替えたんだっけ?」
「いえ、まだ並んだだけだと思います」
「入学して数日で並ぶとか、本当に規格外」
「そうなんですか?」
「あれ、聞いてないの?」
首を傾げていたアンナに、クルルがパーティ訓練での出来事を説明し、そして今日の出来事も合わせて伝えていった。
すると、先ほどの曇った表情はどこへやら、アンナは見る見るうちに笑みを浮かべて、最後にはとても楽しそうに前のめりで話を聞いていた。
「ダンジョンというものがよく分からないのですが、八階層というのはそんなにすごいところなのですか?」
「キリアン様が一年次の最後にようやく到達できた階層、といえばそのすごさが分かるんじゃないかな」
「キ、キリアンお兄様が!? ……そんな階層にアルお兄様は入学数日で到達したのですね」
「だから規格外」
「私たちもほとんどついていっただけのような状況でしたからね」
マリーが念押しするように言葉にして、リリーナは苦笑しながらも楽しそうにそう口にした。
「アンナちゃんがアルに魔法の指導をしてもらっているのは絶対に役に立つはずだから、頑張ってね! ……って、私みたいな平民が言うことでもないんだけどね」
「い、いえ! その、私は皆さんとお友達になりたいと思っていますし、もうお友達と思っていたのですが……その、ダメですか?」
恥ずかしそうにそう口にしたアンナを見て、三人は顔を見合わせると満面の笑みを浮かべてはっきりと答えた。
「もちろん、私なんかでよろしければ」
「私もよ! っていうか、そう思ってくれてたなんてとっても嬉しいわ!」
「私は初対面だけど、いいの?」
「もちろんです! マリーさんも、よろしくお願いします!」
「……うん、ありがとう」
そこからは何気ない話を交えながらお風呂を楽しんだ四人は、笑顔のままお風呂を上がったのだった。
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