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第二章:集落誕生?
もう一つのやりたいこと
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教会での話し合いを終えた俺たちは、シェリカさんを残してその場を移動した。
シェリカさんは神父様と子供たちとの話し合いに参加したいと言ってきたので置いてきたのだ。
そうなると、次に何をするべきかと考えたのだが……うん、やることは一つである。
「新しい作物を探しにいこう!」
「……それ、必要かしら?」
「一番大事だろうに!」
新しい作物が育てば、食事の幅が広がるのだ。
先ほどの子供たちの話にもあったが、お腹いっぱい食べさせてあげるには、相応の食べ物が必要になってくる。
今育てている作物だけでは、事足りないのだよ。
「それと、花の種も必要だな。公園は森で伐採した木材でどうにかできるだろう」
「……ねえ、スウェイン。それを全て、一人でやろうっての?」
「最初の方はね。畑と花畑は後から他の人に世話をお願いできるかな」
「公園は?」
「遊具とかを作ればなんとかなるんじゃないか? まあ、作るのは俺だけど」
建築スキル持ちの大工がいれば話は別だけど、現状では俺しかいないので仕方がない。
新しく移住を希望する人の中にいたら嬉しいんだけど、無いものをねだっても仕方がないしな。
「大々的に移住者を募集するわけにもいかないしな。そこはシルクさんに期待してるけど」
「……まあ、仕方ないか。私じゃあ、木を切るくらいしか手伝えないしね」
いやいや、こうしてシェリカさんのことを紹介してくれただけでも十分助かっているんだけどな。
「頼りにしてるよ、ヴィリエル」
「……感謝しなさいよね」
何故に褒めたら上から目線になるのかね、この人は。
そして、俺たちは市場に足を運んだ。
先ほど話に出てきた作物と花の種を購入するためだ。
素材の売却で15000Dが懐の中に入っている。
これは結構な額であり、作物と花の種を購入してもまだまだ余裕があるはずだ。
「そういえば、スウェイン。宿屋を先に決めなくて大丈夫なの?」
唐突な質問に、俺はすっかり宿屋について忘れていたことを思い出した。
「あー……今回はツヴァイルがいないし、すぐに見つかるんじゃないか?」
「宿屋を最初に確保するのは、冒険者として当たり前のことなんだけど?」
だったら最初に言って欲しかったんですけど。
しかし、市場には露店や屋台がほとんどで、建物といえば住居がほとんどで宿屋は見当たらない。
わざわざ宿屋が並んでいる大通りに戻るのも時間がもったいないし、どうするべきか。
「……市場を見て回ってからでも大丈夫だろう!」
きっと大丈夫だ。うん、根拠は特にないけどな。
「ものすごく心配になってきたんだけど。野宿は嫌だからね?」
「……この流れ、前にもあったような気がするけど、気のせいか?」
「知らないわよ!」
初めてボートピアズに来た時にリリルに言われた気もする。
しかし、市場を見て回ってからと決めたのなら、さっさと見て回り宿屋を探すことにしよう。
「行くぞ、ヴィリエル!」
「はいはい、分かりましたよ。全く、計画性があるのかないのか、さっぱりだわ」
……お前にだけは言われたくないよ!
市場を見て回りながら、俺はホクホク顔で大通りへと足を進めていた。
何せ、新しい作物の種が三つも手に入ったのだよ!
一つ目が紫色の野菜でナビス。
二つ目が小さな緑色の豆でグリンビーン。
三つ目が甘味の高いメロリン。
特にメロリンは子供たちが喜びそうな作物なので、ブレイレッジに戻ったらすぐにでも育ててみたい。
それと、花の種も複数手に入った。
こちらに関して、俺はほとんどノータッチである。
というのも、ヴィリエルが花屋の店主と意気投合してしまい、子供たちが喜びそうな花を勝手に選んでしまったのだ。
多分、二桁は種があるんじゃなかろうかと思っている。
お金は払ったが、実物はヴィリエルが大事に懐に入れていたから分からないのだ。
「だいぶ、楽しみみたいだな」
「そりゃそうよ! 子供たちの喜ぶ顔もそうだけど、シェリカには相当お世話になってたからね。彼女の喜ぶ顔も、同じくらい見たいのよね」
「……そうか。そうだよな」
なんだろう。こういう友人想いなところを見ると、これがヴィリエルの……ルリエの本心なんだろうなって思えて嬉しくなってしまう。
俺が嬉しくなる理由はどこにもないんだけど、元勇者が行ってきた蛮行を側で見てきたルリエに、少しでも楽しい気持ちを与えてあげたいと思ってしまう。
……まあ、俺にできることなんてたかが知れているけどな。
「……何よ、どうしたの? ニヤニヤしちゃって」
「いんや、なんでもないよ」
俺は気持ちをはぐらかしながら、ヴィリエルの少し前を歩いて宿屋を探した。
シェリカさんは神父様と子供たちとの話し合いに参加したいと言ってきたので置いてきたのだ。
そうなると、次に何をするべきかと考えたのだが……うん、やることは一つである。
「新しい作物を探しにいこう!」
「……それ、必要かしら?」
「一番大事だろうに!」
新しい作物が育てば、食事の幅が広がるのだ。
先ほどの子供たちの話にもあったが、お腹いっぱい食べさせてあげるには、相応の食べ物が必要になってくる。
今育てている作物だけでは、事足りないのだよ。
「それと、花の種も必要だな。公園は森で伐採した木材でどうにかできるだろう」
「……ねえ、スウェイン。それを全て、一人でやろうっての?」
「最初の方はね。畑と花畑は後から他の人に世話をお願いできるかな」
「公園は?」
「遊具とかを作ればなんとかなるんじゃないか? まあ、作るのは俺だけど」
建築スキル持ちの大工がいれば話は別だけど、現状では俺しかいないので仕方がない。
新しく移住を希望する人の中にいたら嬉しいんだけど、無いものをねだっても仕方がないしな。
「大々的に移住者を募集するわけにもいかないしな。そこはシルクさんに期待してるけど」
「……まあ、仕方ないか。私じゃあ、木を切るくらいしか手伝えないしね」
いやいや、こうしてシェリカさんのことを紹介してくれただけでも十分助かっているんだけどな。
「頼りにしてるよ、ヴィリエル」
「……感謝しなさいよね」
何故に褒めたら上から目線になるのかね、この人は。
そして、俺たちは市場に足を運んだ。
先ほど話に出てきた作物と花の種を購入するためだ。
素材の売却で15000Dが懐の中に入っている。
これは結構な額であり、作物と花の種を購入してもまだまだ余裕があるはずだ。
「そういえば、スウェイン。宿屋を先に決めなくて大丈夫なの?」
唐突な質問に、俺はすっかり宿屋について忘れていたことを思い出した。
「あー……今回はツヴァイルがいないし、すぐに見つかるんじゃないか?」
「宿屋を最初に確保するのは、冒険者として当たり前のことなんだけど?」
だったら最初に言って欲しかったんですけど。
しかし、市場には露店や屋台がほとんどで、建物といえば住居がほとんどで宿屋は見当たらない。
わざわざ宿屋が並んでいる大通りに戻るのも時間がもったいないし、どうするべきか。
「……市場を見て回ってからでも大丈夫だろう!」
きっと大丈夫だ。うん、根拠は特にないけどな。
「ものすごく心配になってきたんだけど。野宿は嫌だからね?」
「……この流れ、前にもあったような気がするけど、気のせいか?」
「知らないわよ!」
初めてボートピアズに来た時にリリルに言われた気もする。
しかし、市場を見て回ってからと決めたのなら、さっさと見て回り宿屋を探すことにしよう。
「行くぞ、ヴィリエル!」
「はいはい、分かりましたよ。全く、計画性があるのかないのか、さっぱりだわ」
……お前にだけは言われたくないよ!
市場を見て回りながら、俺はホクホク顔で大通りへと足を進めていた。
何せ、新しい作物の種が三つも手に入ったのだよ!
一つ目が紫色の野菜でナビス。
二つ目が小さな緑色の豆でグリンビーン。
三つ目が甘味の高いメロリン。
特にメロリンは子供たちが喜びそうな作物なので、ブレイレッジに戻ったらすぐにでも育ててみたい。
それと、花の種も複数手に入った。
こちらに関して、俺はほとんどノータッチである。
というのも、ヴィリエルが花屋の店主と意気投合してしまい、子供たちが喜びそうな花を勝手に選んでしまったのだ。
多分、二桁は種があるんじゃなかろうかと思っている。
お金は払ったが、実物はヴィリエルが大事に懐に入れていたから分からないのだ。
「だいぶ、楽しみみたいだな」
「そりゃそうよ! 子供たちの喜ぶ顔もそうだけど、シェリカには相当お世話になってたからね。彼女の喜ぶ顔も、同じくらい見たいのよね」
「……そうか。そうだよな」
なんだろう。こういう友人想いなところを見ると、これがヴィリエルの……ルリエの本心なんだろうなって思えて嬉しくなってしまう。
俺が嬉しくなる理由はどこにもないんだけど、元勇者が行ってきた蛮行を側で見てきたルリエに、少しでも楽しい気持ちを与えてあげたいと思ってしまう。
……まあ、俺にできることなんてたかが知れているけどな。
「……何よ、どうしたの? ニヤニヤしちゃって」
「いんや、なんでもないよ」
俺は気持ちをはぐらかしながら、ヴィリエルの少し前を歩いて宿屋を探した。
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