異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

文字の大きさ
40 / 183
探索を終えて

ランキング

しおりを挟む
 カナタ達がジーエフを離れてからというもの、今までの静寂が嘘のように多くの冒険者が訪れてきた。
 宿屋も満室となり、時にはロンドやアルバスの家に泊まることもあった。
 ロンドの家には比較的新人に近い冒険者が泊まり、アルバスの家には中堅からベテランの冒険者が泊まる。
 女性冒険者がいる場合は優先して宿屋に泊めていた。

 話を聞けば、発見されたばかりのダンジョンではよくある光景らしく、冒険者からも不平不満の声は聞こえてこなかった。
 持ちつ持たれつが暗黙のルールでできている冒険者は、ある意味でとても真面目な人なのかもしれないと廻は思っていた。

 そして、廻が一番気になっていたのは都市の評判である。
 人気ダンジョンを作ることが目的なのだが、ニーナと話したことでダンジョンだけでなく、人の良さも大事にしなければと考えている。
 都市で受けたおもてなしがどうだったのか、そこを冒険者の口から直接聞きたかった。

 廻は自身が経営者であることを名乗り、その上で忌憚のない意見を求めた。
 最初は困惑する冒険者達だったが、廻の見た目も功を奏したのだろう。多くの冒険者から率直な意見を聞くことができた。
 おもてなしは上々で、宿屋の料理は絶品なのだとか。
 さらに、アルバスがいることで中堅やベテラン冒険者も様々なアドバイスを受けることができると、こちらも喜んでもらえた。

 意外だったのは、ロンドに対する評価である。
 新人とは思えない身のこなしでダンジョンに潜る同じ新人達を助けて回っていた。そのことが高評価につながったらしい。
 新人に近い冒険者がロンドの家に集まったのも頷ける結果だった。

 最後にダンジョンの評価である。
 こちらは──概ね良い評価を得ることができた。
 新人からは難易度が高いという声が聞こえてきたが、配置しているのはレア度1のモンスターがほとんどで、最高でもレア度2である。
 そのことに気づいていた中堅冒険者から新人達がお叱りを受けていた。これも冒険者の心得にあたるらしく、先輩からの洗礼だと叱っていた冒険者は笑っていた。

 中堅やベテラン冒険者からは、発見されたばかりのダンジョンにしては手応えがあったのだと喜んでもらえた。
 だが、レア度が低いためにドロップアイテムに期待ができないのは改善が必要だとも言われてしまった。
 そこはガチャ運次第でもあるが、最高でもレア度3しか出てこないことは知っているので難しいところである。
 レア度の低いモンスターをこつこつと育てては、昇華と進化を繰り返さなければならないだろう。
 後は、何とかしてレアガチャ券を手に入れる。これが一番早い解決方法だろうとも思っていた。

 後は施設についての声も上がった。
 多かった声が、やはり酒場である。
 ダンジョンから戻ってきたら、酒を飲んで盛り上がりたいのだが、宿屋の食堂ではそれも難しいらしい。
 ニーナの雰囲気もあるのかもしれないが、食堂だと酒を飲まない客もいることから冒険者達はそこまで騒げないのだとか。
 それと、ロンドが口にしていた鍛冶屋についても声が上がった。
 武具の整備は冒険者の命に直結するとあって、絶対に必要だと念を押されたのだ。

 総合的な評価として、出だしは好調だったと言っていいだろう。
 当面の目標としては、酒場と鍛冶屋を造ることになる。
 レア度の高いモンスターに関しては、どうしても時間が掛かってしまうので保留となった。

 ※※※※

 そして今、廻は経営者の部屋マスタールームに足を運んでいた。ニャルバンから呼び出しを受けたのだ。
 何事かと思っていたら、ニャルバンが少し興奮ぎみに理由を教えてくれた。

「新しいダンジョンランキングが更新されたのにゃ!」
「えっ! そうなの!」

 ダンジョンランキングは二週間に一度更新される。
 誰がどのようにしてランキングを決めているのかは分からないのだが、そのランキングによっては得られる情報が増えたり、神様からのプレゼントが貰えることもあるので、なるべくなら早く上がりたい。
 廻はウインドウを開くと、ジーエフの情報欄を開いてニャルバンと顔を寄せ遭いながら確認した。

「……あ、上がってる!」
「本当だにゃ! 上がってるにゃー!」

 ジーエフを開放した直後のランキングは1025位だった。
 廻以外にもダンジョンを開放させた経営者がいたということなのだが、現在のランキングでは──

「1013位!」
「二桁も上がってるのにゃ! メグル凄いのにゃ!」
「やったー! ニャルバン、ありがとね!」
「僕はなにもしてないのにゃ! これは廻の成果なのにゃ!」
「ううん、違うよ。私一人じゃあ、こんな成果を出せなかったよ。ニャルバンとみんながいてくれたからの結果なんだ! だからニャルバン、本当にありがとう!」

 改めて言われて、ニャルバンは耳に手を当てながら照れている。
 その姿が可愛かったのか、廻はニヤニヤしながらその姿を眺めていた。

「そうだ! 目標の1000位はどうなってるかな?」
「そうだにゃ……あれ? 変わらずオレノオキニイリなんだにゃ」
「ここって、私が開放する前からこの順位だよね? まさか、狙ってやってるとか?」
「それは難しいと思うのにゃ。他のダンジョンもランキングを上げるために頑張ってるんだから、向かれれば下がるのにゃ。きっと、多少は上下しているはずなのにゃ」

 だとしても、この順位ばかりを上下しているとなれば、あまり成長を感じられない気がする。
 それこそ最初に感じた違和感そのままなのではないだろうか。
 気になりオレノオキニイリの情報を確認すると案の定、鍛冶屋や武具屋が多く、住居が極端に少ないままだ。というか、その差がさらに広がっているのだから驚きである。

「この二杉ふたすぎ礼央れおって人は何を考えてるんだろうね」
「どうなんだろうにゃ。本当に、自分好みの都市にしている意外には考えられないのにゃ」
「ここまでやられると、住民も大変でしょうね」

 だが、廻からすると気になる点も一つある。

「これだけ鍛冶屋があるんだから、職人の一人くらいこっちに来てくれないかしら?」

 鍛冶屋は冒険者から話が出ていた中でも優先順位の高い施設である。
 どうにかして勧誘できないかニャルバンに聞いてみると、それは難しいという答えが返ってきた。

「ロンド達みたいに意識を連れてくることも今はできないのにゃ。冒険者から噂が広がって、鍛冶師が自発的に来てくれることを祈るばかりなのにゃ」
「そっかぁ。……それじゃあ、誰かオレノオキニイリに行く冒険者がいたら、声をかけてもらうってのはありなのかな?」
「それはありなのにゃ! だけど、過度な勧誘は相手側から抗議されることもあるから注意が必要なのにゃ」

 過度に勧誘を続けてしまうと、住民を奪ったと難癖をつけられることがある。
 自主的に移住してくれれば一番なのだが、目的の職種を連れてくるならば、やはり勧誘が一番早いのだ。
 無理矢理にならないよう、注意できる冒険者にお願いしなければならなかった。

「その辺はきっと大丈夫よ」
「どうしてなのにゃ?」
「んー、なんとなく? 話を聞いてたら、中堅さんやベテランさんなら、その辺りをいい塩梅でやってくれそうだものね」
「そんな単純じゃないのにゃ。本当に、気をつけて頼むのにゃ!」
「了解したわよ!」

 こうして廻のダンジョン経営は始まった。
 ダンジョン開放と冒険者来訪でいくつか神様からのプレゼントも手に入っている。
 レアガチャ券はなかったが、見た目を豪華にするアイテムだったので、その辺りはまたみんなで配置を決めていくことにした。

「さーて、明日もガチャをしながらダンジョンを経営するわよ!」

 まず目指すはランキング1000位。廻はそこを目指し、毎日欠かさずガチャを引くのだった。

 第1章 完
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...