異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

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探索を終えて

新しい仲間

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 そのまま固まってしまった廻に対して、カナタはそのまま言葉を口にしていく。

「俺達は、アルバス様を師事すると決めました。だったら、ジーエフの住民になるべきだと思ったんです!」
「いや、まあ、それは嬉しいんだけど、そんな簡単に決めていいものなの? だって、住む都市を決めるってことだよね?」

 これが良いことなのか悪いことなのか、今の廻には判断がつかない。
 住民になると言うことが、どれだけその人に影響を及ぼすのかも分からないのだ。

「俺はそもそも、冒険者に憧れてドラゴンテールを出たんです。上位の冒険者を目指すなら、師事する人が暮らす都市に移住するのが正解だと考えました」
「うーん、二人はどう思ってるの?」

 カナタだけならいいだろうが、アリサとトーリはどうなのだろうか。廻は二人の気持ちも聞いてみることにした。

「……私は、孤児なんです」
「えっ?」

 そして、あまりにも予想外な回答に唖然としてしまう。

「カナタ君と出会ったのは、教会でした」
「教会?」
「はい。教会では、孤児が多くの方々からの寄付で生活をしているんですけど、カナタ君は孤児の子供達とよく遊んでくれてたんです」
「そうだったんだね。でも、それならやっぱりドラゴンテールに戻った方がいいんじゃないの? 他のみんなが待ってるんじゃ……」

 廻は気がかりを口にする。
 アリサはきっと面倒見のよい子だったのだろう。
 だから、小さい子供達と一緒にいたんだろうし、そのおかげでカナタと出会えたのかもしれない。

「いえ、少しでも多くの稼ぎを得るために冒険者になったんです。そして、教会に寄付をして子供達の生活を助けたいんです」
「……アリサちゃん」

 アリサの言葉に、廻は感極まり泣きそうになっている。
 その姿を見たアリサは慌てて手を顔の前で激しく振っていた。

「そ、そんな大層なことじゃないんです! ただ、本当に少しでも楽になってくれたらって思っただけで、特別あれがしたいとかこれがしたいとかはないんです」
「でも、そう考えられることがすごいことだよ。アリサちゃんは、本当に偉いね」
「メ、メグル様……」
「私に様付けなんていらないよ! 私のことはメグルって呼んで!」
「いや、それはさすがに……」
「もー! それならさん付けにしてちょうだい!」

 ただでさえ様付けされるのを嫌っている廻である。
 ロンドにも言っているが全く聞いてくれないので、せめて同じ女性であるアリサには様付けを止めてもらいたかった。

「……そ、それじゃあ、メグル、さん?」
「そうそう! いやー、やっぱりそんな感じの軽い方がいいわね!」
「……は、はぁ」

 アリサからの呼び方を直させた廻は、最後にトーリへと視線を向けた。

「トーリ君は大丈夫なの?」
「僕は家を追い出された身なので問題ありません」
「追い出されたって、何があったの?」

 そこで、トーリは自身がパニック症候群を持っていること、そのせいで後継者から外されてしまったことを口にした。
 カナタとアリサとの出会いや、新人講習会を途中退席したことも含めて。

「講習会を退席したのはいただけないわね。だから安全地帯セーフポイントも分からなかったの?」
「お恥ずかしい話ですが」
「そっかぁ。でも、生きてここにいるんだからよかったね!」
「……そ、そうですね」
「うーん、元貴族のトーリ君でも、経営者と話をするのは緊張するものなの?」

 貴族であれば、その都市の経営者とも面識があり、面と向かって会話もしていると思っていた廻なのだが、そうじゃないのだろうか。

「当主である父上は何度か経営者様と顔を会わせていたようですが、それでも一言二言話せる程度だと聞きました。ましてや後継者から外された僕が顔を会わせる機会なんてありません」
「後継者だった時も?」
「ありませんでした」
「そっかぁ。みんな、大変だったんだね」

 その後、うーんと唸り始めた廻を見て、三人は顔を見合わせてしまう。
 その間にニーナが注文を受けて三人を廻と同じテーブルに座るよう促した。
 断っていた三人だが、廻の答えがまだだと言われると何も言えなくなり、恐る恐る席についていた。

 料理が出てきてからも廻は考えたままだったので、三人はやはり恐る恐る食事を始めた。
 経営者を前にこんな態度でいいのかとドキドキしていると──廻が突然立ち上がった。

「「「ご、ごめんなさい!」」」
「へっ? 何が?」

 いきなり謝られて首を傾げている廻に対して、食事を終えて水を飲んでいたアルバスが盛大に溜息をついていた。

「てめえはアホか。経営者の前で食事をしてる一般人の前でいきなり立ち上がったら、殺されると思っても仕方ないぞ」
「こ、殺すだなんて、そんなことするわけないじゃないですか!」
「それはてめえの基準だな。大抵の経営者は自分一番で、不敬を働く相手は容赦なく死罪にすることもあるんだ。それを踏まえた上で、慣れない相手には対応しろ」

 そこまで言われて、初めて三人が怖々とこちらを見ていることに気がついた。廻は慌てて腰かけるとなんでもないのだと訴えた。

「さ、三人とも、ごめんね? その、三人がここで暮らす時のことを考えてたら、つい興奮しちゃって」
「いえ、その、謝らないでください。俺達が勝手に……って、え?」
「……メグルさん」
「……今、なんて?」

 さらりと伝えられた言葉に、三人はポカンとしてしまった。

「いや、だから三人がここで暮らす時のことを考えてたら興奮しちゃったって」
「「「い、いいんですか!」」」
「えっ? そりゃもちろん、三人が良ければ大歓迎だよ! ただ、私は無理してないか心配だったんだけど、三人なら問題無さそうだし、もし嫌じゃなかったらこちらこそお願いします」

 あまりに唐突な快諾の言葉に、三人は再び顔を見合わせた後、遅れて満面の笑みを浮かべていた。
 アルバスに師事できたことがそれほど嬉しかったのかと少し驚きでもある。

「アルバスさん、責任もって三人を教えてあげてくださいね!」
「それはいいがな、こいつらの家はどうするんだ?」
「家ですか? それは……あっ!」

 アルバスに指摘され、廻は初めて問題点に気づかされた。
 ジーエフには最初の住民にしか家が与えられていない。新しく住民を増やすのであれば、自分達で作らなければならないのだ。

「ど、どどどど、どうしよう! 大工さんなんていないんだけど!」

 慌てふためく廻を見て、カナタが即座に口を開く。

「俺達も自分の荷物を取りに帰らないといけないから、すぐにってことではないですよ。もしよかったら、戻ってくる時に大工さんも連れてきましょうか?」
「お、お願いします! カナタ君は神様ですか!」
「い、いや、そこまでのことじゃないと思いますけど?」

 目の前で小躍りする廻に困惑しながら、三人はジーエフの住民になることを改めて決定した。
 トーリは帰る家がないので荷物は手元のものだけなのだが、カナタとアリサは違う。
 一度ドラゴンテールに戻り、荷物を取ってからまた戻ってくる。
 アリサに関しては教会の神父や同じ孤児達にも話をしたいだろうから、戻ってくるのは数週間先になるだろう。

 家ができるまでの間は宿屋に泊まることも決定された。
 経営者の部屋マスタールームに泊められれば一番よかったのだが、最初に契約した住民しか入れないので断念した。
 だが、できたとしても三人が猛烈な勢いで首を横に振っていたので、どちらにしても無理だったのだが。

 そうして朝食が終わると、カナタ達はすぐにジーエフを後にした。
 数週間後には戻ってくると知ってはいても、やはり寂しいものがある。
 三人が早く戻ってくることを祈りながら、廻は経営者の部屋で新たな来訪者を知らせる電子音を聞いていた。
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